カトリック系の女子校「私立創新女学院」では「前世」に「目覚め」た生徒たちがその記憶に戸惑い、ちょっとした行き違いが生じることもあった。中でも前世がハディムという天使だったという桜小路エリカは、前世が悪魔のリリスであった橘梨奈を「前世で恋人同士だった」と追いかけ回す騒動を起こし、寮での謹慎処分を受けることになる。
エリカの部屋に食事を運んでいったものは、部屋に鍵がかけられていて、中からの返事もないのに困っていた。結局用務員室でマスターキーを借りてきて扉を開けたのだが、中にはエリカの姿は無かった。
学生たちも含めてエリカの捜索にとりかかっていた最中、中庭の方で何かが光ったのが目撃された。そちらに向かっていた者は、何者かが裏門の方向へ走り去るのとすれ違った。そして門の外を通りかかった男子学生からは「身長180cmぐらい、やせ型で黒のソフトスーツ、細いフレームのメガネ」の怪しい人物とすれ違ったということを聞くことができた。
校内の中庭にある「清雅の泉」の淵でエリカの死体は発見された。背中から矢のようなもので射られた傷があるのに、矢も、抜いた跡も見つからなかったという。
事件からずっと橘梨奈は休みを続け、数日後の葬儀にも床を離れられず出席しなかった。夏休み前の文化祭も中止となり、嘆いている者は内外を問わず多い。そして警察の発表は「事故」であり、鑑識でも確認された矢傷などは問題にされていない。前世に目覚めたものは、これは「裁きの矢」によるものと感じ、前世絡みの事件であると確信していた。
邦久は当直として用務員室に。エプロン付けて料理してました。今回は顔見せ要素も強いんでしょうね。それでも目立つ人は目立ってるよな〜。PCの作り方がうまいんでしょうね。
2000,07,24創新女学院を騒がせた事から謹慎中であった桜小路エリカは前世で天使であったものが使える「裁きの光」で殺された。そして夏休みが始まったが、今年は赴任して来た当麻巽の歓迎会を開こうというものや、事件に興味を持ったものなどが大勢残っている。また、どこかで噂を聞きつけた別の学校の男子生徒なども入り込んでいるが、ほとんどが転生者であるようだ。
事件の調査をしていたものは前世の因縁を思い出しながら、やがて当麻が怪しいという結論に至る。校内のコンピューターのデータベースの当麻のデータは名前と年齢以外は全て厳重なプロテクトが施されていた。
また、時計台の伝説に興味をもって用務員の永倉源八郎に話を聞きに行ったものもいる。なんでも17年前に突然動かなくなったのだが、扉に鍵が掛かっていて誰も入ることができないのだという。その鍵は普通ではなく、とにかく開けるのは無理なのだという。
当麻の歓迎会当日までに、エリカの検死結果に対して虚偽の発表をするよう圧力をかけたのは政府であり、その線上に当麻らしき者がいるという。そして当人に直接、転生者を監視し場合によっては処分する「公安調査庁第4部」通称:公4所属の者ではないかと訪ねた者がいたが、一応の否定は見せたものの形だけのように見て取れた。
その歓迎会でも当麻は質問責めにあったが肝心な事を話す事はなかった。その途中、高等部校舎裏で倒れていたという橘梨奈が運び込まれた。
梨奈はその前に時計台を調べていたものに目撃されていたらしい。時計台には結界でも張ってあるらしく魔法でも傷つく事はなかったのであるが、その途中で見かけた人影が梨奈であったらしい。それはその後、梨奈が夢遊病であるとの噂が流れてきてから思い当たった事であるのだが。
そして、やはり騒ぎを起こしたとして犯人から呼び出された者がいる。それはやはり公4であった当麻巽であったが、騒ぎは学園内だけであり、迷惑をかけたのは梨奈一人に対してだけだということを指摘されると「次はない」と言い捨てて去っていった。
翌日、泉の女性像はそんな仕組みは無いのに涙を流し続けているという異変が起きていた。
邦久は梨奈と、女性像の涙を見つけています。ちなみにアクションは事件現場にしばらく花を供えるというものでした。場所を限定したのがそれなりに効いているようです。あと、前世アクションの結果がかなりのウェイトを占めて描写されていますが、その辺は要約ではばっさりとカットしています。
2000,08,21創新女学院では2年生の桜小路エリカが殺害されて以来、小規模な騒動が続いている。そしてエリカを殺害したのは先月赴任してきた古典教師・当麻巽であり、彼は「公安調査庁第4部」通称:公4所属であるという。「転生者が騒ぎを起こしたから処分する」という彼の言葉は当然ほとんどの者に受け入れられる事はなかった。
事件の影響で創立記念式典もごく簡素なものになっているが、それだけではなく生徒たちには覇気がない。それは「転生者」以外の人間であるという共通点がある。
転生者達が気にしているのは当麻巽以外に、彼が気にしているらしい、夢遊病で校内を彷徨っているという橘梨奈であったり、エリカの殺害現場である清雅の泉の女性像が涙を流し始めたという事件であったりする。その泉では水に沈んでいた涙滴型の透明な石が見つかった。それを見つけたものは、それが「聖女の涙」と呼ばれていたものである事を「思い出して」いた。
その女性像は、用務員の永倉源八郎の話すところによると、創立者・一条孝徳の招致した教師であり婚約者でもあったが結婚式の半年前、今から116年前に病死したマーガレット・サリンジャーを偲んで作られたものだという。そしてその4代後の彰と真帆の夫婦も5年前に他界、現在分家筋のものが理事長を努めているが、今は学生である一人娘の結女が将来は後を継ぐはずだ。結女は幼い頃には度々姿をくらまし、見つかるのは決まって時計台の前だったという。「あの中におるものに呼ばれておったのかもしれん」という永倉は何かを知っているようだが、まだ明かす気はないようだ。
当麻に対して反感を持つものは彼を観察したり、直接批判をぶつけたりする。それに対し「転生者に法律など意味がない」という当麻だが、彼が殺人にまで至ったのは私情が大きく関っているらしい。
他の生徒を操って当麻を攻撃したものもいたが、夏休み後から警備員と入れ替わっていた公4のメンバーと巽に協力する者たちにより阻止された。
寝込んでいた橘梨奈は、長期欠席であるが両親が海外勤務で親戚もない為、寮内に留まっていた。しかしある夜、ある生徒を部屋の鍵を壊すという強引な方法で連れ出した。その彼女が向かったのは時計台であった。既に調査していたものの前で時計台に向けて「アケロンの濁流」を放つ。その結果、観音開きの扉に跨がるように円形のレリーフがあらわれる。それには泉の女性像に良く似た女性の横顔が彫られていて、その頬には涙の形の窪みがつけられていた。梨奈・・・ではなく、魔王サタンの妻リリスはそこになにが封印されているか知っているようだ。
当麻巽には、警備員が配置されたことや、正体を知った上で協力を申し出るものがいたこともありその負担は軽減していた。”彼女”を守るという仕事におおっぴらに動く事は少なくなるかもしれない。
古い記録から泉の彫刻について調査したものもいた。それによると、泉の建設は115年前の1901年4月1日。設計と製作は現在は名門美術大学となっている専門学校の彫刻家講師で、特注された中国産の特級大理石は当時の一般家庭の生活費1年分にあたったという。そして建設当時の写真には、現在には見られない「我、汝を永久に愛すると誓う」という言葉が英語で彫られていた。風化した跡も、改修記録も残っていないのだが。
邦久は当麻を問い詰める役。ただし殺人を責める人は多いと踏んだので「公務員の副業は禁止」という論点で。あまり役には立っていませんが。
2000,09,27創新女学院には「新月の夜に何かが起こる」というのが定説となりつつある。その学院の創設者の一族である学生である一条結女は、13年ほど前の幼い時期に度々家を抜けだして時計台を飽きもせず眺めていた事があるという。その時計台は1999年に突然止まって以来手入れするものもなく、他の者は近付く事も無い場所だった。また、幼い時には用務員の永倉源八郎にもいろいろ世話になっていたようだ。さらには「前世」を思い出したものによると前世の永倉も結女の前世・ヴィストリアを気にかけていたようだ。そして何か重要な役目をまかされていたとも。しかしそれが具体的にどういうものかはまだわからない。その「前世」を思い出していた結女は、そこにヴィストリアに良く似た、しかし髪の色がヴィストリアのプラチナシルバーとは違う蜂蜜色である者がいるのに気がついた。
「静かなところに行きたい」という結女を、周囲のものは「清雅の泉」につれて行った。そこの女性像はしばらく前から涙を流しており、それは時計台に現われた女性像のレリーフによく似ていた。レリーフに涙滴型の窪みがあった事で、これが関係しているのではと探す者もいた。そして古い女性像の写真にはある「我、汝を永久に愛すると誓う」という英文が今は存在しないのに気がついた者もそれについて聞こうと結女を探して泉に辿り着いていた。そして結女がそれを口に出して読むと、女性像は涙を流すのを止めた。やはり一条家とここには関係があると問い詰める者がいたが、結女は貧血を起こしてしまう。そこ「今がその時期」であると助け船を出したのは永倉源八郎であった。
源八郎は護れなかった「孫(現在は転生している学生)」に対し、その力を封じると誓った満月の一族のものだった。その源八郎が1999年、泉で経験した出来事を語り始めると、そこにいた者達は同じくしてその時の映像を経験することになる。それは人間界を滅ぼすはずだった「神の火花」がなぜか天魔界を滅ぼしてしまった後、残された予備爆弾を託された傀儡のヴィストリアとエフェルティと出会い、エフェルティが爆発させるのを拒んで自らと共に予備爆弾を「封印」するところであった。その、天使クリームが作ったという封印装置がレリーフと「聖女の涙」だという。その後機能停止したヴィストリアは源八郎が一度だけ「満月の一族」の能力を使い泉の女性像に封じ、文字を埋め潰す事で封印とした。
現在の校内の警備員は「公4」と呼ばれる転生者を監視する組織の人間に置き換わっている。そして転生者である教師の一人は前世である悪魔の意識に引きずられてか、その一人を惨殺した上に流れ出る血で挑戦状らしき文を壁に書きつけ、更にはそれを目撃されるという事態を招く。それを知らされた、同じく公4から派遣された教師である当麻巽は目撃者の証言を「転生前の関係」からのイヤガラセかもしれないと簡単には納得しなかった。当麻は「監視者として前世について把握しているのは当然」という。前世に引きずられては待っているのは破滅だけだともいう。そして橘梨奈の前世リリスについては「愛する者の為に、ある計画の犠牲になる事を自ら望んだ」というが、その詳しい内容は「知りようがなかった」のだという。また、当麻は魔法を使った影響か「人魔一体」が進行している様子があった。
「魔王サタンの妻リリス」と名乗った橘梨奈は、その夜のことは覚えていない様子で普通に生活しているという。その梨奈に、というよりはリリスに対して脅威を感じる者が集まって「リリスは当麻巽の前世ルゥカの母親」であるなどという情報を交換したりして相談している最中、「梨奈に刺された」という女生徒が入ってきた。それは「梨奈が事件を起こしたら当麻が取り締まらなくてなならない」ということからの狂言であったのだが、それを確かめようと梨奈の部屋に向かった一同は、そこがもぬけの殻になっているのを見ることになる。それは梨奈を連れ出そうというものが複数同時に行動した結果であったが、今の梨奈はすでに「リリス」としての意思で行動しているようだ。
リリスが向かった時計台では封印を解こうというものと、それを望まない者との争いが起きる。しかし数で勝る解放派が勝利し、レリーフに「聖女の涙」をはめ込んだ時、止まっていた時計台からは鐘の音が響きわたる。そこにいたのはまだ眠っているヴィストリアの双子の弟エフェルティであった。そして彼の胸には炎を宿した水晶玉のような「神の火花」の予備が収められていた。リリスはそれを爆発させるため「強く愛し合う者同士」の生け贄を探そうという。それ以外にも発動には「術者が最も愛する者の命」も必要だという。鐘の音に気付いた結女も時計台に到着した時、朝の光がさし込んできて、リリスの意識は途切れた。
その後、警備員を殺害した教師は免職処分になったと発表された。公4からも指名手配を受けているらしい。また騒ぎを起こしたとして一人の学生が再び謹慎処分となっている。当麻に対する風当たりは厳しくなりそうだ。
邦久は結女の家庭訪問を目論んでいましたが、家に辿り着くことなく、鐘の音を聞いた結女と一緒に時計台へ向かうことになりました。
ところで今回は名簿が同封されていませんでした。連絡先はともかく、前世アクションかけにくいのでFAX入れましたがいつになるかな?
2000,10,27「リリス」は「神の火花」の予備爆弾を胸に納めた傀儡エフェルティを見つけ出したが、日の出と共に意識を失った。その事件の後、「リリス」の現世の姿である梨奈は「リリスのように強くなりたい」と願うようになるが、それに危惧を覚えるものもいた。
泉の女性像にはまだ何かが隠されているはずと思い、危険を避けるため破壊しようとしたものもいるが、それは用務員の永倉源八郎に止められる。像のモデルとなった女性・マーガレットは彼の前世での母親であったという。満月の一族であった彼女は、婚約者の学院創設者・一条孝徳にその正体を知られるのを恐れて失踪、世間には病死と発表されていたそうだ。その後転生してこの事を「思い出した」源八郎は学院を訪れ、女性像の台座に刻まれた「我、汝を永久に愛すると誓う」という文に心を打たれ、一条家の一族とこの像を守る事を誓ったのだという。また、源八郎の記憶では予備爆弾はエフェルティに収められているものだけのはずであった。
エフェルティが眠る時計台は公4の人間によって警備されている。解放の時に鳴り響いたはずの鐘の音も聞いた記憶を持つ一般人はいないようで、公4が何らかの処置を施したのは確かなようだ。時計台に近付くことはできなかったが、公4に協力する転生者の一人は「次の新月の夜」に手配すると告げた。
エフェルティの双子の兄弟ヴィストリアの転生である一条結女は前世の記憶に関らず「一条結女」として、今の世界を壊すつもりのない事を宣言した。それに同調するものは、他の同意見者と協力してエフェルティを守ろうと申し出る。
清雅の泉には「夜になると女性の歌声が聞こえる」という新たな噂が立ち、夜中に訪れる者もいる。そこからの帰り道、前世の記憶に引きずられて「人魔一体」の進みつつある者と遭遇したものがいた。そして過去を知るものとの接触は更に記憶を呼び覚まし、人魔一体は完全なものとなる。だが、その者の体には何か世界の影響を受けた異変が起きているようだ。
新月の夜、責任者の巽の名前を使って警備員を詰め所に引き上げさせて協力者の助けにより、リリス達は時計台に向かうが、エフェルティの中に収められていたのは精巧なニセモノであった。
一方で女性像に埋め込まれているヴィストリアの体の一部でエフェルティに影響を与えようと考えたものもいる。それは女性像の破壊という結果を生んだが、源八朗もそれを許した。だが、その中にあった銀色の円盤状の部品は源八郎の記憶には無いものであった。
時計台ではリリスとの小競り合いが起きている。だが、この場所に一同が入れたのも、既に爆弾がニセモノと疑っていたリリス達の仕組んだ狂言であったらしい。そして女性像から出てきた円盤状の部品は、解体された爆弾の一部だという。残りは二つで、一つは建物のどこかの像の中に、もう一つはあるものに与えてしまったらしい。
そんなやりとりの隙をつき、リリスに攻撃を仕掛けるものがいた。巽が防ごうとするがそれも阻まれ、力を解放した巽=ルゥカも人魔一体化することになる。リリスのダメージは大きく、自ら望んで自分の命を「生贄」にして予備爆弾に力の一部を与えた。その予備爆弾は、やはり人魔一体化し、龍身となった者が飲み込み飛び去った。ルゥカは公4を離れリリスの遺志を継ぎセカイを滅ぼすと宣言して、捕えようとした警備員達を惨殺し同じように飛び去った。そしてエフェルティは結女=ヴィストリアが発した言葉で目覚めたが、それを喜んではいないようだ。
邦久は時計台関連で活動しようかと思ったんですが、しっかり押さえられてましたね〜。とりあえず今回でナイトホークの魂を刈ったものも判明し、最終回を迎える事になりますね。
2000,12,02「神の火花」の予備爆弾は3つに分割されており、そのうちの一つはこの学院に隠されているらしい。それは中庭の礼拝堂の聖母像に隠されていた。発見し処分しようとしたものは、かけらからの「開かずの時計台に行け」というメッセージに、なぜか逆らうことができなかった。
学園近くの喫茶店では生徒たちが集まってクリスマスパーティーを開いている。それに出ていた者の一人はかけらの一つを体内に封印された者だったが、それが突然体内から出現した。そして彼らもかけらからのメッセージを聞くことになる。
パーティーが急遽お開きになり皆が時計台に向かおうとした時、前世が予言書であったものは皆に未来を見せる。それは皆が幸せに笑っている世界であった。しかし、力を使い過ぎた彼女は皆が出ていった後で世界に溶け込むよう姿を消した。
もう一つのかけらを守ろうと飲み込んでいた者も、突然の激痛と共にかけらを吐き出し、同じメッセージを聞く。
時計台には関係した人々が集まってきていた。そして集まった3つのかけらは一つになり、更にエフェルティに隠されていたもう一つ、天界の予備爆弾も見つかる。その争奪戦は元公4の当麻巽であったルゥカも加わるが、魔界の爆弾は制作者により使う者にセカイを惜しむ心が少しでもあれば爆発しないよう細工がされており、また、爆弾の威力を封じるための結界も用意されている。そして結界は発動した。
争奪戦の結果、ルゥカは彼を自分だけのものにしたいと思う者に毒を飲まされて倒れ、死の間際に自分を贄として魔界の予備爆弾を発動させる。だが、それは既にプログラムし直されていて、世界を破壊するのではなく精霊力をふりまく物へとかわっていた。
結界をも超えて広まった精霊力が世界へ振りまかれた後、人魔一体を果たしていた者たちは世界に溶け込むように消えていた。まだ中途だったものはその影響がなくなり、前世の記憶も薄れ始めている。そしてただ一人、転生前の存在であったエフェルティは残った「天界の爆弾」と共に再び眠りについた。彼を慕うもの一人と共に。
2017年1月、新学期を迎えた学院には帰省していた生徒たちも帰って来ていた。「誰が壊したかもわからない」泉の女性像なども修復されている。今だに微かな記憶を持つものもいるが、遠くない未来には人々は新しいセカイの住人としての存在になるだろう。
邦久はかけら探し。本人が見つけることはできなかったけど、なかなかいい味だしてます。
2001,01,25