逃避行の途中で紛失した覇王剣ヴァルザドーンが「深紅の森」に流れ付いたという情報を聞いた王女ローザは、書き置きを残して一人で出発した。だが「深紅の森」はそこに住むベヘール族が内部抗争をはじめて不穏な状況だという。残された傭兵団には帝国の凶将・骸烈が覇王剣を追っているという情報も入り、ローザと覇王剣の探索、骸烈軍対策、ベヘール族との接触などに向けて動き出した。
メインであろう全10回の二つのシナリオのうち、Bブランチは戦争メインになりそうに感じたので、こちらのブランチを選びました。やっぱり最後まで関れるシナリオが欲しかったし。
紛失していた覇王剣が森に流れついたとの噂を聞き、旧ノンブリルの第2王女ローザは一人で森に向かった。一方で帝国軍の骸烈が剣の探索任務についたと言う情報が伝わり、傭兵団も慌ただしくなっている。
ローザの捜索は川沿いに行なわれた。そして上流に向かってそれほどしないうちに野宿の跡が見つかり、それは隠密行の出来ないローザの物と推測され、増援が要請された。
「深紅の森」はベヘール族の住む精霊の森であり、行動するには彼らの協力を得る必要がある。分裂状態の片方のグループの長のルージュは、森に被害を及ぼさないためと、帝国に協力するつもりのスカース率いる「青のグループ」に対抗するために協力を受け入れる。
ようやく発見されたローザは、負傷をおしてムリをしたために消耗が激しかった。そして帝国軍も近付いていて、捜索の傭兵隊との戦闘も始まっていた。
骸烈率いる帝国軍は統制の取れた行動で、分散していた傭兵団を次第に追い込んでいく。そして戦場が森の中に入ってしまうと、ベヘール族の言う「森の精霊の怒り」で強風が襲う。ルージュはベヘール族であるからかダメージそのものはなかったが、風に飛ばされて川に転落してしまう。
ルージュが川から上がった時、その手には剣が掴まれていた。また、ローザを手土産に帝国軍に取り入ろうとした者もいるが、骸烈の目的は「覇王剣」のみであり、興味を持つことなく一緒に吹き飛ばす。そして森の木々を盾に使う行動は精霊の怒りを呼び、ますます激しく荒れ狂う風は無差別に襲い掛かり、さすがの骸烈も動きが鈍る。傭兵隊はその間に撤退した。
吹き飛ばされたローザは生命には別状はないが、安静が必要だった。そしてルージュは回収した覇王剣を鞘から抜いてしまい、狂戦士と化して暴れ回っているという。ベヘール族きっての使い手であるルージュを止めることができず、ベヘール族の娘カレンは傭兵隊に助けを求める。ローザは剣に執着し、確認だけでもと移動を始めた。
青のグループリーダーのスカースは骸烈と接触。剣をルージュが手に入れたという情報を伝え、協力を約束した。
操り師のタック・アイナムがとてとてやってきて相棒の人形を差し出した。その少女の姿をした人形にネコ耳が付いていた。
「森の中の探索なら僕たちに任せてくれるかなあ」
シオンが首を傾げた。
「この子、僕の人形の『ミケ』なんだけど、身の熟しをできる限り本物みたいに再現できるようにしてあるんだよぉ。小柄だしねぇ。なんといってもニャルサの少女に似せてあるから、万が一の時もごまかすことができるんだよぉ」
「人形では人捜しには向かないんじゃないのか」
鎌使いのディーン・レインツに指摘されて、タックがすねる。それをなだめつつ、テッサロスが捜索部隊に指示を出した。
「ここから川上に向かっていこう。あのお姫様を一人で放っておくわけに行かないからな」
ディーンは装備の確認を行なっていた。
「だいいちまだ怪我が治ってないんじゃなかったか」
「そうそう、そうなんだよねぇ」
敵を警戒して人形のミケを先行させているタックが、のんびりと答えた。
「ブランチ間リンクのないゲーム」であり、情報として他のブランチの情報を使うのも意味がないということで参考にはならないかもしれませんが。しかしこの姫様、エンパイアでの聖女シルメーラと似てるなぁ。圧倒的に力不足のくせに独断専行して、結果的に他人に多大な負担をかけている。
2001,08,25
分裂しているベヘール族の「赤グループ」の長、ルージュはヴァルザドーンを手にし、その力によって狂戦士化して暴れているという。ベヘール族のカレンに助けを求められた傭兵団からは救助隊が出発、「覇王剣を確認したい」というローザも傷付いた体に鞭打ち出発する。ローザはほど無くして発見されたが、連れ戻すのは保留された。
帝国軍と接触している「青グループ」のスカースは骸烈から覇王剣の奪取を命じられていた。だが、普段のルージュを知っているだけに容赦のない「狂戦士」の戦いぶりに青グループの者達は動揺する。必死に鼓舞するスカースだが、それはかえって信用を落としている。
それとは別に行動していた帝国軍の陽動隊と本隊も森に向かった。「青グループ」も関係なく攻撃する帝国軍に、離反するものが続出。森に逃げたスカースを除き、なしくずしにベヘール族は再統一された。
和解した「青グループ」のメンバーと共に、それらしい剣を持ったローザが逃げだすことで骸烈軍を引き付けようとの作戦も立てられた。それはうまくいったが、戦闘による森への損傷は精霊の攻撃を呼ぶ。それは実際に火薬を使った帝国軍だけでなく無差別なものであったため、双方共にダメージを受けた。その状況に、骸烈は先ほどのローザが囮であったのを理解し、戦況の不利をさとって撤退する。
狂戦士となったルージュは、「剣を離せば元に戻る」と予想され、それを狙っての戦法がとられることになる。同時に剣を安全に持ち運ぶための鞘も探され、覇王剣は取り落としたルージュから無事に回収される。
落ち着きを取り戻したベヘール族は傭兵隊を歓待する。そして入ってくる情報では、森から帝国へ向かう際に抜けねばならない砦には骸烈の姿がないこともわかった。
そしてローザはまたしても独断で先行する。それを追おうとした傭兵団に、森が燃えているという知らせがもたらされた。自暴自棄となったスカースの仕業らしい。精霊たちの怒りも凄まじいものになりそうだ。
帝国側は去っていったが、問題がそれでなくなったわけではない。最大の問題が集落には残されていた。人形使いのタック・アイナムは、青グループと一緒に集落に戻ってきたローザを見つけて駆け寄ってきた。
「え?ええ、そうよ。鞘に入れておけば持ち運ぶ分には影響は受けないわ」
「やっぱりそうなんだねぇ。ねえ、カレンさん。なら鞘はどこにあるのかなぁ」
ルージュが狂戦士化したとき集落にいたカレンなら、鞘の在処も知っているはずだ。タックの質問にカレンが顔を輝かせた。
「ルージュ様の家にあると思うわ。私が案内します」
「頼むねぇ。じゃあちょっと探してくるから、その間にルージュの方をなんとかしておいてくれるかなぁ」
「まかせてくれ。ルージュも剣に操られているだけだろう。なんとかしてみせるさ」
現物を知っているローザもタックに同行する。斬鋭剣士のシオン・アルシオーネが、タックの肩をたたきながら言った。
「おそらく剣さえ手放せば正気に返るんだろう。ここは倒すとかよりも、剣から離させることを考えたほうがいいかもしれないな」
「見つけたよぉ」
急激に剣の呪縛から解放されたためか、ルージュはそのまま意識を失った。とりあえず横たえさせ呼びかけていると、鞘を振り回しながらタックが戻ってきた。
周囲の様子にローザが息を呑む。カレンは剣を手放し意識を失ったルージュに駆け寄った。幸と言うか不幸と言うか、ルージュは極度の疲労状態に陥ってるだけで、残像閃で受けた以外の大きな怪我はしていないようだった。タックが人形を操って剣を取り上げる。鞘に納められたヴァルザドーンがローザに手渡された。
ローザは「ありがとう」と周囲にいた者に告げると、切なそうにしっかりと剣を抱え込んだ。
ネットワールドの記事とは違った展開となりました。本来(あるいはNW〆切時点)では、カレンが身を挺してルージュを止めるストーリーだったようです。違った展開にできたのに、一役買えたかな。
2001,09,25戦いに敗れたスカースは森に火を放った。傭兵団はベヘール族に協力して消火活動にあたるが、延焼を防ぐために樹木を伐り倒そうという動きすらも「森に対する攻撃」とみなされ、精霊からの攻撃を受ける。だが、非効率とも思われた水をくんでの消火活動では精霊がその行為を認め、行動の協力も見られるようになる。そして激しい雨も振り出した。
鎮火に向かう森の中、ベヘール族のリーダーのルージュはスカースを探して森の中にいた。今だに怒りをぶつける精霊もいる中、ようやく見つけたスカースは全てを失い自暴自棄になっていた。故意に樹を傷付けたスカースは精霊の怒りに触れ、息絶えた。
鎮火したもののかなりの面積を失った森には最低限の非戦闘員を残し、ベヘール族は傭兵隊と同行することになる。一方で覇王剣を持ち独断専行したローザは砦に入れず立ち往生した。ローザは一旦は帝国側に捉えられるが、追いついた仲間に助け出された。
そのままの勢いで突入したローザ達に後発組も追いつき、砦内は乱戦となる。危機におちいったローザは覇王剣を抜き狂戦士化。傭兵団はそれを止めるために遠慮のない攻撃をするしかなく、ローザは腕を折られて剣を取り落とすことでようやく解放された。
砦を制圧した傭兵隊はローザの姉のグラシア王女が処刑されるらしいという情報を手に入れた。帝都に入るには強力なダイムレム砲台を突破しなくてはならない。力不足を痛感したローザは、覇王剣を「もっとも相応しい人」に託すことを決めた。
「やっぱりベヘール族の人って、精霊には攻撃しにくいんだねえ」
ルージュが首を傾げていると、やってきた人形使いのタック・アイナムがのんびりと声をかけてきた。
「お、いたいた」
また別の方角から、斬鋭剣士のテオ・トラヴァースも姿を現した。
「スカースは見つかったか」
「まだだけど、行動範囲は限られてるからね。なんとかなるさ」
ルージュとテオが話している間に、ニャルサの少女を引き寄せたタックが近寄ってきた。
「ああ、そうそう。彼女に助けてもらったんだ。ありがとう」
「本当はあんまりやりたくないんだけどねえ。ミケは痛みを感じないから、それで悩むことはないからねえ」
その言葉で違和感の正体に気づいたルージュは、改めて頭を下げた。と、不意に近くの木がざわめいて、不穏な気配がした。
悪意で木を傷つけたスカースに精霊が容赦するはずもない。スカースもそれを望んでいたのか、あえて無防備に精霊の攻撃を受けた。
攻撃のどれかが致命傷になったのだろう。息絶え地面に転がったスカースを、ルージュが苦々しく見つめた。テオがその肩に手を置いた。
「自分で招いた結果なのは解っていたんだろう。おまえが苦しむことはないさ」
「……ああ」
タックが操ったのか、人形のミケがルージュの手を引いた。
「僕らももう逃げないとねえ。行こう」
うながされて3人が歩き出す。雨はますます激しくなり、火は完全鎮火の方向に向かっていた。
ようやくお姫様が「人に任せる」ことを覚えたようです。自分に不足するものを認められるようになったのは成長でしょうね。
2001,10,29ローザの姉、グラシア王女が処刑されるという情報を得た傭兵団は帝都ペネスティアに向かっていた。グラシアは王宮の庭に立てられた十字架に生きたまま磔にされているという。そして傭兵団はダイムレム砲台の攻略戦に入る。
飛行できる種族が先発し、いくつかの砲台に爆裂弾などを落としたり魔法で攻撃したりとして無力化させた。ローザを含む地上部隊も進軍し、覇王剣を使って狂戦士化した者の戦闘力もあって突入に成功する。
砦内部での民兵は「家族が生け贄にされる」と必死で向かってくる。それに傭兵団は戦意を削がれて苦戦するが、民兵を巻き込むことを厭わない帝国の戦法に民兵達も自分の身を優先して逃げ出し、傭兵団は砦を突破する。
ずいぶん前に亡くなって今は無人であるという、ローザ達の家庭教師だった者の屋敷を拠点として傭兵団は情報収集に当たっていた。だが、街の様子は暗く人々もほとんどで歩いていない。かろうじて見つけた酒場での情報では、やはりグラシアが磔にされていて処刑されるのは事実のようだ。
ローザは「一目だけでも」と直接確認するのを希望する。警戒しつつ近づいて見たものは、十字架の根本で一般市民達を切り捨てている骸裂の姿だった。「いけにえ」とはこのことだったらしい。そして、実は帝国の息がかかっていた酒場の主人からの知らせでローザは捕らえられる。
帝国がローザを捕らえたことはすぐに公表され、グラシアと併せての処刑も発表された。ローザも同じように磔にして、十字架を倒すことで轢死させようというらしい。フォルセウス皇帝もそれを謁見するということで、傭兵団はこの期に王女救出と皇帝討伐を一気に成し遂げようとしていた。
人形使いのタック・アイナムは斬り込み部隊の仲間たちに剣を持つよう説得していた。
「俺が剣を持ってどうするんだよ」
兇拳士のライン・ノーリュートがあきれたように言い返してきた。タックは人形を抱えた拳を振り回した。
「それを使ってって言うんじゃないんだよお。持つのはねえ、覇王剣に似た剣をってことなんだぁ」
「は?どういうことですか」
「偽物を持たせても、敵に判別できる距離に行くまでに攻撃されるだけですよ。あれは長距離砲だから」
タックは言葉を封じられて黙ってしまった。
多少の独走はあるものの、ローザが落ち着いてきました。あと、AブランチはAAからACまであるのですが、覇王剣はAB以外では壊れてしまったそうです。同じシナリオでもリンクのないこのゲーム、今後にどう影響するのか楽しみです。
2001,11,26捕らえられたローザとグラシア王女の処刑は近づいている。奪回を目指す傭兵団はやがて機会が巡ってくると見て準備を始めている。強力すぎて制御できない「覇王剣」は使うべきものではないとして象徴として扱おうという意見も出ているが、その力が必要と考えるものもいる。
先に動いたのは帝国側だった。民兵を傭兵団にぶつけてきたのだが、強制されて戦闘に赴いた民兵の志気は低い。結局は多くが説得されて、傭兵団の軍旗を手に王宮へと向かう。
帝国軍側はローザを縛り付けた十字架を立てて見せたが、それはローザの位置を特定することにもなる。飛竜を駆るものがローザを救出し、囮の人形を代わりに落とすことで注意をひいて後方まで送り届けた。そしてローザは後方へ預けられていた覇王剣を、引き続きグラシア救出作戦に当たっている傭兵団へ届けるよう申し出る。
グラシアの縛られた十字架は骸烈が守備していたが、それを引きつけて奮闘したものの活躍もありグラシアも救助された。激昂した骸烈は激しい攻撃を見せるが、覇王剣を解放した者の戦闘力に倒れることになる。強力な頭を失った帝国軍はさほども待たずに投降した。
傭兵団はそのままの勢いで王宮に残るフォルセウスの元へ向かっていた。フォルセウスも流石に歴戦の勇士であるだけの戦闘能力を見せるが、覇王剣で増幅された魔力を使うものにより部屋ごと炎に包まれてしまう。フォルセウスは覇王剣を突き立てられたままバルコニーから落下していった。
そのとき、大地は揺れ動き地面には裂け目が現れていた。骸烈やフォルセウス、覇王剣もそれに飲み込まれていく。そしてそこからは瘴気が吹き出し、中から魔物と、一人の男が出てきた。自らも瘴気を吹き出す、20台後半ほどにみえる屈強な男はグランドリアと名乗り、魔界の復活を宣言した。だが、その様子はまだ不安定に見える。
「ええ、おかげさまで。なんとか全部仕上がりそうなんですよ。あ、タック・アイナム」
急に呼びかけられて、人形遣いのタック・アイナムが首を傾げた。
「なにかなぁ?」
「あのですね、お願いがあるのですが。等身大のローザ人形を作ることはできるでしょうか」
「できる……と思うけどぉ」
「偽装工作に使えないかと思いまして」
「ああ!うん、ちょっとやってみようかなぁ」
「お願いいたします」
タックが立ち上がって、テッサロスにではなく仲間全員に向かって声を張り上げた。
「ねえ、みんなぁ!覇王剣にかけて誓おうよぉ。僕たちはローザを団長として掲げるものなんだってさぁ。僕も思うんだ。覇王剣は武器として使うべきものじやなくてさぁ、人々をまとめるためにあるんじゃないかなぁ」
と、レインが仕上がった分の軍旗をぱっと広げた。それはローザを意味する白バラをモチーフにした紋章が描かれていた。
覇王剣は失われ、魔界が復活しかけていますね。ABでは覇王剣はまだ無事だったんだけど、他のブランチでは前回もう壊れていたはず。どういう表現だったのかちょっと気になりますね。
2001,12,24王宮では復活した魔王グランドリアの驚異に対する方策が求められていた。だが城の建国当時の資料などはレディエナーラが処分したあとで、ローザの記憶にある伝承も「聖王家の5人の始祖が力を合わせることで魔界を封じ、封印を守るために聖王家をつくった」という程度の内容しかなかった。
おそらくは王家の血筋を狙い、グランドリアがローザを狙ってくる。ローザは人々の救出を望みもするが、彼女自身が封印の鍵である可能性を指摘されると郊外へと逃げる他はなかった。
郊外に陣を構えた傭兵団では、テッサロスが実はリシュトラクシスの第一王子であったことを明かしていた。グランドリアが聖王家の人間を襲うのならば、彼もまた襲われることになるのだろう。そして避難活動も進められ、帝国内の資材、人材を調達して国境の砦や、更に深紅の森までも目的地としてあげられた。
フォルセウスが倒されたことで暗示が解けたのか、帝国軍兵士達も簡単に説得に応じて作業は順調に進んでいた。更に何らかの処置が影響しているのか、帝国軍兵士は瘴気の漂う帝都での動きも傭兵団よりも勝っていた。ただ、一般市民を伴っての避難活動が大変な作業であるのは変わりはない。
魔王討伐を目指す面々は、吹き出る瘴気の濃さに行動を阻まれていた。帝国兵士は耐性が強いようだが、傭兵団員はそうもいかない。それでもメテオストライクによる隕石攻撃は効果を上げたようだ。そして「今は時間をやろう」というグランドリアは、その代償としてテッサロスの肉体を糧として帝都を破壊する力を放った。
廃墟と化した帝都で生き残りを捜しながら避難準備を始める一行の前に、テッサロスの肉体を借りてノンブリル王国の始祖、ラディックスが現れた。ラディックスによると、今は肉体を一時的に封じただけのグランドリアを滅ぼすには神の力を越える剣を手に入れる必要があるという。それは覇王剣の他にもある5本の聖剣とは更に別の、精霊に守られた森に眠る7番目の聖剣だという。ベヘール族のルージュによると、確かに森には精霊が守るのは神の力を越えるものという伝承が残っているそうだ。
しかしその途中で、傀儡師のタック・アイナムが足を止め、降りてきたばかりの階上を見上げる。タックの前を走っていた戦王のヴェーア・レリシアが、振り返ってうながしてきた。
「急がないと危険だぞ」
「鞘はどうなったんだろう」
「鞘って、覇王剣のか」
「そうだよぉ。剣はなくなってしまったけど、あの剣の力を封じていた鞘のことを調べられたら、魔族への対抗手段もなにかわかるんじやないかなぁ」
そしてタックが戻りかけたのと、上層階から火が吹き出してきたのははぼ同時だった。謁見の聞から広がった炎が、階下にせまってきたらしい。ヴェーアがタックの手を引いた。
「魔族に関する情報なら書物からでも調べられるさ。今はここから離れたほうがいい」
こっちのお姫様はずいぶんと物わかりがよくなっているので結構安心していられます。しかし正体を明かしたその回に死亡とは、テッサロスも軽いよなぁ。男性NPCだからかな?
2002,01,28帝都を脱出し、壊滅した帝国の兵士や避難民をも加えた傭兵団は「真紅の森」に伝わる伝説の「七本目の聖剣」を手に入れるために移動の準備をはじめていた。避難民を落ち着かせ、希望を持たせることも行っている。
魔族は移動途中にも襲撃してきたが、一行はなんとか森にたどり着く。ルージュはしばらくぶりの帰還で妹分のカレンも迎えに来たが、ルージュは荒廃した森で精霊の力が弱まっているのを感じていた。
新しい集落は森の精霊が張った結界の中にあった。魔界の封印が破られて以来出現するようになった魔族に対応するためらしい。だが、森の木々が焼けてしまったことで精霊の力も弱まっている。
ルージュは「入ろうとすると精霊が怒る」場所のことを思い出していた。そこに何かがあるという伝説はないが、他の所にもそういう物がない以上一番怪しいだろう。変化した森の様子に戸惑いながらその場所に向かったルージュ達は、その周辺が陥没して木々も枯れているのを目にする。
いったん戻ったルージュ達の報告に、現在の森に詳しいカレンを案内役としての調査隊が向かうことになった。魔族についた者の襲撃も退け、やはりついてきてしまったローザとルージュを加えての調査で、陥没した穴の中に強い結界に守られた球を見つける。内部に細長い物が見えるその球体を守る結界は、ルージュにはなじみ深い精霊の物だった。どうも強力な結界を作るために近くの木々の力を使ってしまっているらしい。
いったん戻って「精霊の審判」を受けようという者達を率い、再び穴に向かうルージュは「光を自らの者として取り込んだ者が、闇を闇の世界に押し返した」という伝承を思い出していた。そして魔族を退けつつ辿り着いた「光」は皆を包むが、結界は解かれない。そこに現れた精霊長ダーヴィードと名乗る女性は、森が再生しない限り結界を解くことも力になることもできないという。また、テッサロスの身体を借りているラディックスは「あれが剣の形をしているのは自分が剣士だったから」で、使う者の望む形にできるはずだといった。
「今はそこになにかあるか調べるだけだが……」
「私が案内します」
名乗り出てきたのはカレンだった。確かに今の森を一番良く知っているのはカレンだろうが、特に戦闘能力が高いわけでもない。妹分の申し出にルージュが渋い顔をしていると、傀儡師のタック・アイナムがカレンを守るようにその隣に立った。
「大丈夫だよぉ。僕がカレンさんを守るからねぇ」
カレンがほっとしたように笑った。
「やっぱり森の木々を傷つけたら、精霊は怒ってしまうだろぉ。もちろんみんなだって、それは気をつけるだろうけどさぁ。夢中になると忘れちゃうかも知れないもんねぇ。だからカレンさんには、そのことも注意してもらいたいんだぁ」
「そうですね」
しかたないとルージュが肩をすくめた。それから小隊を編成して、マサムネが手筈を整える。はりきっているのはスローダースだ。タックは思わず、寄っていってお願いしてしまった。
「スローダースさん、森の中で爆弾使ったりしないでくださいよぉ」
「木は傷つけないから安心しろって。なあ!」
ディスとスローダースの攻防を見ていたタックは、なるほどと納得していた。
「確かにあれなら木は傷つけないよねぇ」
「そうですね」
タックの隣ではカレンがクスクスと笑っていた。その少し前では、魔鎌士のクウェル・ハイドフェルドが腕を組んで考えこんでいた。
移動シーンの度に魔族の襲撃がインサートされますが、なんだかルーチンワーク気味。個人的には数を減らして強敵という印象を持たせた方がよかったのではと思うところ。
2002,02,26「神の力を越えるもの」クレデルートを手に入れるには森を再生させ、精霊の力を取り戻す必要がある。それには避難民やベヘール族も協力して作業が進められていた。ローザも協力し、骸烈たち魔族の襲撃を警戒しながらも順調に作業は進んでいった。
森の再生を祝う「豊穣祭」を行おうというベヘール族や避難民を内側にかばい、魔族との戦闘も始まろうとしていた。魔族達の特性を押さえ、自分達に有利になるようにと戦術を立てることで戦闘はかなり優位に進んでいく。
そして森の内部では豊穣祭も始まっていた。楽士が音楽を奏で、族長のルージュが種をまき、空中から水が注がれる。水は虹を出現させ、それは光を増していった。
魔族との戦闘は本隊の骸烈の前まで迫っていた。以前よりも更に強力になっていた骸烈だが、冒険者達も成長していて力を合わせて圧倒しはじめる。そして降り注いできた光は魔族達を苦しめはじめた。
光は森の復活と、クレデルートの解放を告げるものだった。精霊ダーヴィードはこの光一つ一つがクレデルートであり、この光を受けたものなら誰でも武器として使えるのだという。
骸烈は「魔界ゲート」が肥大化したのを知り、グランドリア復活を護るために撤退していった。ラディックスは真っ青な顔をしつつ、「あれは壊さなくてはならない、彼もそう望んでいるはず」とつぶやいていた。
森の中ではすでに作業が始まっていた。パペットマスターのタック・アイナムは、人形に手伝わせてなにやら土をせっせと袋に詰め込んでいた。
「あ、あれか?」
クウェルが問いかけると、少し疲れたのかタックが大きく伸びをした。
「そう。灰の混じった土は植物を育てるのに条件悪くないはずだからねぇ。けど人手は欲しいよぉ」
「この辺はすっかり焼けちゃってるからねぇ。土は肥料として運び出してぇ。あと残ったのなんかは集めてきちんと灰にしないとねぇ」
タックの言葉に、引き続き他の場所に向かおうとしていたクウェルの足が止まった。
「大丈夫なのか、火なんか使って」
「これは植え直せば根付くんじゃないかなぁって。そうだ。苗木を植える班があったらさ、渡してきてくれないかなぁ。これも一緒に植えてもらってくれよぉ」
「わかった」
「いいえ。森を再生させているこの光一つ一つが、クレデルートなの。この光を受けたものなら誰でもあれを武器として使うことができるわ」
「そう」
と、タックがラディックスを見上げて聞いてきた。
「あ、そうだぁ。聞きたかったんだけどねぇ、僕がクレデルートを使ったら、やっぱりニャルサの女の子になるのかなぁ」
人形の話である。ラディックスはいつもの皮肉めいた笑みを浮かべた。
「そう思い描けばそうなるんじゃないかな」
「ふうん……って、君、真っ青じゃないかぁ」
タックの悲鳴混じりの言葉に、ローザたちが思わず振り返った。ラディックスは冷や汗をかき、顔色を青くさせていた。
森の再生は案外と簡単に進みましたね。超自然的な力に頼らず地道な作業が実を結んでいます。その結果が超常現象というのもなんですが。
2002,03,25「力」である光クレデルートを手に入れた傭兵団は、魔界ゲートを消滅させるための再編成などを進めていた。そして魔族の単発の襲撃も退け、ノンブリルへと進軍する。
それに同行する、テッサロスの身体に宿ったラディックスは、テッサロスの魂はグランドリアに封じられていてこの身体が奪われていたらゲートはもっと早く肥大化したはずという。ラディックスの力ではこの身体が魔族の魂に汚されないようにするのが精一杯であるという。
砦を抜けた都市内部は魔族の領域と化していた。先発隊はその軍勢を分断するように攻撃し、主部隊はそこを突破してゲートに迫る。高位の魔族や骸烈も立ちはだかるが、クレデルートの力を受けた骸列は消滅していった。
ゲートに辿り着いたローザたちは、瘴気に苦しみつつもクレデルートの光をゲートに投げ込み、消滅させることができた。だが、完全復活を果たしていた魔王グランドリアはその力で新たなゲートを作り、瘴気と魔族を地上へと出現させた。
ニィツがゴーレムに乗り込もうとしたときだった。パペットマスターのタック・アイナムが下から呼びかけてきた。
「ニィツ君、ちょっといいかな」
「なんだい?」
ニィツが降りていくと、タックはしげしげとニイツのゴーレムをながめていた。多少は豊かになった財政のおかげで、ゴーレムには飛行ユニットや長距離、短距離の大砲などが装備されていた。
「君のゴーレムはなかなかだねえ。これからの戦いはもっと大変になるだろぉ。ボクのに行も強化しておきたいんだぁ。少し参考にさせてもらってもいいかなぁ」
「うん、いいよ。強度も少し増してあるんだ。その辺が役に立つといいなあ。あ、そうだ。今ね、スローダースお兄ちゃんに装備できる爆弾を作ってもらってるんだけど、タックお兄ちゃんのも作ってもらおうか」
「ああ、そうだねえ。人形は乱戦向きだしねえ。混乱用の爆弾とかあると便利かなぁ」
そこではタックがいまだ混乱作戦を行なっていた。
「え、真中を開けろって?」
「ああ。ゲート破壊部隊が一気にそこを抜ける。おまえの人形なら二手に分けられるだろ。軍の先導役になってくれ」
「うん、わかったよぉ」
2対の人形は炎を吹きつけつつ戦場を拡大し始めた。それぞれにグレッドとクウェルの隊が入る。そして中央を開けるために、魔族の勢いを押し止めるような戦いを展開させていった。
なんだか要約したら短いなぁ…。ラスト前で告白アクションやった人が多いのもあるかな? あとは戦闘シーンメインだとどうしてもね。
2002,05,09地上に蘇った魔族の王グランドリアは、現在力を取り戻しつつある状態であるというのに既に強い力を持っている。次々に産み出される魔族を前に、ローザの率いる傭兵団は対魔族と対魔王、本陣防衛に分割してあたることになった。
クレデルートの力は必ず魔王を倒せると信じ、ローザを筆頭とする部隊をグランドリアの元まで辿り着かせるために傭兵団は戦いを始めた。彼らの浴びた光=クレデルートの力は、ローザの元に収束していっている。
闇の力に魅せられたものもまた、傭兵団に立ちふさがる。彼を闇と人間との争いを象徴するものと感じるのか、苦戦はしたもののなんとか殺さずに戦闘力を奪うことが出来た。
グランドリアの元に辿り着いたローザたちだが、攻撃を加えてもますます人間離れした姿に変貌していくグランドリアには焦りを隠せない。そのグランドリアがその手に持つ光の玉を握りしめたとき、本陣ではテッサロスの身体に入り込んだラディックスが苦しんでいた。聖王家の血をひくテッサロスが完全に闇のものに支配されたなら、その力は手がつけられないだろう。
戦闘でローザは利き腕を負傷した。退却してきた本陣では、テッサロスの身体からグランドリアの持つテッサロスの魂へとクレデルートの力を送り込もうという案が出ていた。ラディックスはそれが可能で、動きを止める程度にはなるだろうと言った。クレデルートの力を守ってきたベヘール族の戦士達も加わり、テッサロスにクレデルートの力が集められる。
動きを止められたグランドリアは傭兵団の攻撃を受け、内と外からの光の力でついに消え去った。溢れだした光はそのまま世界に広がり、魔族達異界のものを消し去っていった。テッサロスの魂も身体に戻り、ラディックスは再び魂だけの存在となる。
傭兵団は戦いの傷を癒すため、ベヘールの村に滞在していた。「真紅の森」はその名の通り、ちょうどグランドリアが滅びた頃に紅の光を放っていたということだ。族長のルージュも、団長のローザも共に伴侶を見つけ、テッサロスは再び流れ者となった。
「ラディックスさん、どうしたのぉ?」
興味がないのか、激戦が繰り広げられても相変わらず黙り込んでいただけのラディックスが急に苦しみ出し、操人師のタック・アイナムは驚きながら声を掛けた。
「グランドリアめ……テッサロスの魂と身体の繋がりを利用して、僕をこの身体から追い出そうとしてる」
珍しく悔しそうな感情を見せながら、ラディックスは唸った。
「グランドリアの手にある魂からこの身体に、魔族の波動が流れ込んでくる……」
苦しむ人を前に、自分も倒れそうになっているタックに言うともなく、ラディックスは続けた。
「聖王家の血を引く者が完全に魔族にけがされれば……まずいね……さあどうするのかな、我が子孫……」
すると、その彼の横にタックの姿が現れた。
「ねえ軍神さん、ラディックスさんの具合が悪いんだけどさぁ」
ずり落ちた眼鏡をずり上げて、あくまでのんびりした口調で許しかける。「グランドリアがテッサロスの魂を取り込んでいて、テッサロスの身体に魔族の波動を送れるんなら、こっちもその身体を通じてグランドリアに影響与えられるんじゃないかなぁ?」
そうか、とマサムネが感嘆の声を上げると、タックは考えを話し続けた。
「テッサロスの身体にクレデルートの力を注いでグランドリアに送り込んだらどうだろう?」
「悪くないね」
マサムネが答える前に、ラディックスが言った。
「ふ・ざ・け……おって……!!」
そして、魔王の口から憎しみを込めて漏れる呟き−−ついに、魔王は光の力に動きを封じられた。
「軍神さん、魔王本体への号令、よろしく頼むよぉ」
タックに言われ、マサムネは進み出て士気上昇の声とともに指示を下す。
「これより全軍攻勢に転向する。本陣防衛部隊も前線の援護に回ってくれ!王女を始めとする負傷者は司令部の防御陣形で必ずや守り抜く!お互いの力を信じて、お互いの全力を尽くせ!!」
「マスターより」を見る限り、うちのキャラが関わらなければラディックスの出番はなかったのかも。単純に「正義の力で勝つ」だけにならなかったのはよかった点でしょうね。
2002,07,03