なぜなにPBM・基礎編
「なぜなにPBM、はじまるよ〜」
「はじまるよー」
「ところでおねえさん」
「なあに、ウサギさん」
「わたしたちっていったい何者なの?」
「単にかけあいで進めたほうがやりやすいから引っ張り出されたキャラクターだから、どこかに似たキャラクターがいても気にしちゃだめよ」
「ふ〜ん、そうなんだ。それじゃおねえさん、PBMってなに?」
「PBMっていうのはPlay By Mailの略で、郵便を使って進めるゲームのことよ。広い意味ではいろいろあるけど、ここで取り上げるのはいわゆるRPG形式のものね」
「RPGっていうと、ド○ゴンク○ストとか、ファ○ナルファ○タジーみたいなの?」
「基本的にはそう。自分のキャラクターを架空世界で冒険させるというゲームね。どちらかというとテーブルトークRPGに近いけど」
「テーブルトークRPGって?」
「コンピューターじゃなくて人間が行動の結果を判定するRPGのことよ。もともとアメリカでRPGが生まれたときはこちらの形式だったんだけど、それをコンピューターゲーム化した方が日本では先に普及しちゃったから、区別するためにテーブルトークと呼んでるの。みんなでテーブルを囲んでゲームするからこう呼ばれるわけ」
「人間が判定すると、どんないいことがあるの?」
「なんといっても柔軟に判定できるってことがあるわね。例えば、コンピューターのRPGだと単なる町の人に何回声をかけても同じセリフがかえってくるだけでしょ。違っていてもせいぜい数パターンね。でも人間が判定すると、おんなじ人に何回も話しかけたら怪しい人物となって、役人につかまっちゃうかもしれないわ」
「え〜っ、つかまっちゃうのはやだなぁ」
「もちろんそうなるかもしれないってだけよ。逆に仲良くなって、いろいろ親切にしてもらえるかもしれないわ」
「う〜ん、それはどうやって違ってくるの?」
「能力値も関係するけど、一番は話しかける内容ね。いきなり横柄な口をきけば相手だって警戒するし、丁寧に話せばそれなりにこたえてくれるでしょうね。その辺を柔軟に判定できるのが人間のいいところ」
「そっかぁ、コンピュータ相手じゃ結局プログラムに無い事はできないもんね」
「そういうこと。で、それを郵便を使ってやるのがPBMってわけ。参加者もたくさんいて、こちらの行動を郵便で送ると、向こうで判定して状況説明が帰ってくる。それを繰り返してゲームが進むわけね。それじゃあ次では実際の流れを追ってみましょう」
「は〜い」
なぜなにPBM・実践編
「おねえさん、最初は何をすればいいの?」
「まずは架空世界で動かすキャラクターを作るのよ。ウサギさん」
「それじゃあねぇ、魔王を倒せる伝説の勇者の生まれ変わりで無敵の剣士なんだけど、実は滅んだ国の王子様なの」
「それはちょっと無理ね」
「え〜っ、どうしてぇ〜?」
「PBMっていうのは何百人、何千人もの参加者がいるの。みんながそんなことしちゃったら伝説の勇者の生まれ変わりが何百人、滅んだ国が数百個なんてことになっちゃうでしょ。普通はせいぜい勇者候補、貴族の息子ってとこね」
「普通は、ってことはそうじゃないこともあるの?」
「あるけど、周りもみんな勇者の生まれ変わりなのよ。自分だけが特別ってわけにはいかないわ」
「う〜ん、それじゃこのへんでガマンする。それで、次はどうするの」
「データを送って登録してもらうの。会社によっては一緒に最初の行動を決めておくこともあるわね。郵便事故に遭うかもしれないからコピーをとっておいた方がいいわ」
「郵便事故ってなぁに?」
「ごくまれにだけど、郵便物が行方不明になったりするの。そういうときに控えが無いと不便でしょ。郵便事故以外にも、会社側でデータ処理をミスすることもあるから、訂正を頼むのに控えをとっておくべきね」
「控えもとって、ポストに入れた、と。次はどうなるの」
「会社によってはまず登録完了のお知らせが来て、期日がくると最初の情報が送られてくるわ。たいていは小説形式だけど、コミック形式のところもあるわね」
「どれどれ、ふむふむ、お姫様がドラゴンにさらわれてるのね・・・あれ、この住所録はなぁに?」
「それは一緒の舞台にいるキャラクターのプレイヤーさんの連絡先よ。プレイヤー同士で話がまとまればいっしょに行動してもいいの」
「ふ〜ん。あっ、この人は住所が書いてないよ」
「プレイヤーさんによっては直接住所を教えるのがいやだって人もいるの。忙しくてお手紙書けないような人とかね。でも連絡をとりたければ、会社側が転送してくれるわ。その分の手数料はかかるけど」
「とりあえず打ち合わせはいいや。それで、どうするの」
「キャラクターに何をさせるか決めて、また会社に送るの」
「それじゃあなんとかしてドラゴンを倒して、お姫様を恋人にするの」
「それもだめね。なんとかして、じゃなくてどうするか具体的に書かないと。それにもしドラゴンを倒せてもお姫様が恋人になってくれるかはわからないわ。そうなりたい、っていうのはかまわないけど。あとはなぜドラゴンを倒したいかがあったほうがいいわ。勇者になりたいからだとか、お姫様にいいところを見せたいだとか」
「じゃあ、動機はお姫様にいいところを見せるため。方法はみんなに囮になってもらって、その隙に急所を狙う・・・」
「連絡も無しに囮になってくれるわけないでしょ。まあみんながヒーローになりたいわけじゃないから頼めばやってもらえるかもしれないけど」
「じゃあ、やっぱり連絡をとってみるね。・・・うん、なんとかなったよ」
「それじゃあそれを送ってまた帰ってくるのを待つの。締め切りには気をつけてね。これを繰り返してゲームが進むわけ」
「・・・帰ってきたけど、わたし達が戦ってる間に誰かが裏口からお姫様を助け出しちゃってるよ〜」
「ま、うまく行くとは限らないのがゲームよね」
なぜなにPBM・応用編
「ねぇねぇ、おねえさん」
「なあに、ウサギさん」
「なんだかキャラクターの性格が自分が思ったのと感じ違うんだけど」
「そういうときは私信をだすといいわ」
「私信ってなに?」
「実際に情報を書く人、たいていの会社ではマスターって呼ぶけど、その人にお手紙を書くの。○○気付、××マスター様でたいてい届くわ。キャラクターの行動と一緒に送っていいところもあるけど、重さが増えるから料金不足には注意してね」
「私信を書いたらそのように書いてくれるの?」
「普通は私信は公式のものじゃないから、必ずとはいえないし、本来の行動以外にやりたいことを書いてもやってもらえないと思っておいた方がいいわね。でも詳しいイメージは伝えられるし、感想など書いて送るとマスターも喜ぶわ」
「キャラクターのイメージって、どうやって伝えたらいいのかな?」
「そのキャラクターを使って、自分で小説形式で書いてみるのもいいわね。会社によって呼び方が変わるけど、プラリアとか、PRとか言われるわ」
「自分で書くって、難しくないの?」
「キャラクターの日常生活でもいいの。普段どんな行動をして、どんな受け答えをするか。それが書ければ派手な冒険が無くても立派にプラリアよ」
「う〜ん、今度挑戦してみるね。ところで、もっとゲームを楽しむ方法はないかなぁ」
「交流誌に参加するとか、イベントに行くとかあるわね」
「交流誌ってどういうものなの?」
「文字通り、ゲームの参加者の交流を目的とした同人誌のことよ。同じシナリオの人限定とか、制限無しとかいろいろなスタンスのものがあるわ。さっきのプラリア等を乗せてるところも多いから、出来たら送ってみるのもいいわね。参加するのが一番だけど、読むだけでも楽しいんじゃないかしら」
「どうやって参加するの?」
「会社から送られる情報誌にたいてい告知が載ってるわ。あとは誰かに紹介してもらうか、自分で作っちゃうのね」
「情報誌、っと。・・・このプライベってのはなぁに?」
「プライベート・イベントの略よ。参加者の主催によるイベントね。会社が公式(オフィシャル)に主催するイベントはオフイベと呼ばれるわ」
「イベントってどんなことをするの?」
「プライベだと情報交換、オフイベならマスターさんとのお話がメインになるかしらね。ファイナルイベントぐらいだといろんな企画があるけど」
「ファイナルイベントって?」
「文字通りゲームが終わったあと、打ち上げの意味も込めて行われるオフイベのことよ。全国から参加者さんが集まって盛大に行われることが多いわね」
「ふ〜ん、PBMにもいろいろな楽しみ方があるのね」
「そう。単に行動書いて、結果を受け取るだけじゃ楽しみの半分も無いんじゃないかしら。いろんな人との出会いがPBMの楽しいところね」