ORIENTの秘密その11

まずは、この時計をご覧ください。




極めて普通のAAAに見えますね。AAAにしては、普通すぎる位です。
しかし、この時計には多くの謎が、隠されています。
実は、以前ガラ板で話題になった事のある不思議な時計なのです。
(私信:TAKAYAさん、やっと発見しましたよ!!)

次に機械を見て下さい。




不自然なローターの石にお気付きでしょうか???
何気なくローターに7個の石が埋め込まれています。
この石は、ローターの回転効率向上等の機能的意味があるとは、思えません。

このローターの飾り石は、グランプリ100には存在する事は周知の事実ですが、
なぜかこのAAAにも搭載されています。
しかも、グランプリ100のローターには、青い石(サファイヤ)が埋め込まれていますが、
このAAAには赤い石(ルビー)が入れてあります。
しかも、ローターにきっちりと「35JEWELS」と書かれている事から
GP100の部品の流用とは、考えられません。


35JAAA ローター拡大 と GP100 ローター拡大


では、この飾り石の意味はいったい???

さらに、驚く事は緩急装置です。このAAAには、TRIOSTATが搭載されています。
TRIOSTATといえば、グランプリ100/64にのみ搭載されたオリエントの特殊な緩急装置なのです。
今の所、グランプリ100/64以外でのTRIOSTATの搭載の事実は知りませんでした。(驚)

とはいえ、画像で見比べて頂けると判りますが、GP100のTRIOSTATと比べると
取り付け位置も構造も異なる様ですし、かなり簡素化された機構となっている様です。(謎)


35JAAA テンプ拡大 と GP100 テンプ拡大


と・・・、グランプリ100/64との共通点・類似点が多い様な気がするのですが、
基本的に機械が大きく異なります。この機械は、明らかにAAA系の機械に見えます。



35JAAA と 30JAAA


12時位置の表記や2時位置にある日付の早送りプッシャーからも、明確ですね。
というよりも、35石機械は、単に27石の機械に8個の飾り石を追加した感じが、強いです。(爆)
すなわち、製造時期はグランプリ100系よりも、後の時期と思われます。

さらに、この35JAAAが、普通のAAAと異なると感じさせる所は、側の作りです。
通常のAAA系のケースは、確かに金メッキ仕上げ品もありますが、裏ブタはSS製であると
思われます。(少なくとも、ガラ研の今までの調査では。)
ところが、この35JAAAは、GP100/64を思わせるOGP(ケース)+14kGP(裏ブタ)の仕上げであり
この面からも只者では無い雰囲気があります。


35JAAA裏ブタ と GP100裏ブタ


さて、このモデルが登場したのは、GP100/64よりも後だと思われますから、
'60年代の後半から'70年代初頭(AAA系の登場時期から考えても)だと考えます。
すでに、その頃は多石信仰の雰囲気は薄れているハズです。
その段階で敢えてローターに飾り石を入れる理由があったのでしょうか?
また、普及機系のAAAにTRIOSTATを搭載する理由があったのでしょうか?
単にAAA系の27石仕様機械に飾り石を入れたダケの多石機械ではなく、敢えてTRIOSTATを
搭載し、側の作りも高級系に仕上げてある所が、謎を醸し出しています・・・。(笑)

このモデルは一体どの様な位置づけだったのでしょう???
実は、グランプリ100の後継機種として開発された高性能・高級機だったでは? と
考えたくなる条件が揃っています。実際には、若干量生産されて消えていったのか?
全く売れずに現存情報の無いモデルなのかもしれません。

いずれにしろ、これぞオリエントのオリエントらしさ(?)と思わせる謎の多いモデルですね!!