その8
今回は、自動巻きの万カレ(正式には、MULTI-YEAR
CALENDAR)に付いての考察です。
前述の手巻き万カレの後で、オリエントの送り出した万カレは、
当然、時代の流れから自動巻きを採用していました。
と言っても特別なモノでは無く、AAA系27石自動巻きを搭載しており
万年カレンダー表示機能も、手巻き万カレから変わっていません。
唯一の変更点は、曜日表示が追加された事です。
これは、自動巻き万カレの初期型です。
機械は、手巻き付き自動巻きの27石となっています。
カレンダーの表示可能範囲が、1960年〜1981年と手巻き万カレより1年だけ
長くなっただけの仕様です。おそらく、手巻き万カレのすぐ後で登場した為でしょう。
次に自動巻き万カレの後期型です。
こちらは、カレンダーの表示可能範囲が、変更され1975年〜2015年と今でも使用可能な機能です。
機械も、前期型から手巻き機能が削除された自動巻きの27石となっています。
従って、ORIENTの万年カレンダーの表示可能範囲(対応範囲)別に考えると、
下記の3種類の仕様が存在する事になります。
手巻き :万年カレンダー(1960-1980)
自動巻き前期 :万年カレンダー(1960-1981)
自動巻き後期 :万年カレンダー(1971-2015)
少なくとも、自動巻き後期型は現在でも使用できる優れた機能ですので、
もう、『無用の長物』扱いはさせません。(爆)
ちなみに、万カレの機能を誤解されている方がいらっしゃったので、念の為に説明しますが、
簡単に言えば『回転式インナーベゼル』の拡張機能です。(爆)
一ヶ月分のカレンダーの日付が表示できるだけ窓に、インナーベゼルに書かれた曜日を
毎月、手動回す事でまとめて一ヶ月分のカレンダーを表示させる事ができる機能です。
決して、閏年の調整が自動とかではなく、3時位置のカレンダーは31日まであるので
小の月の後は、1日(31日を)早送りしなければなりませんし、画像を見て頂ければ分かる様に
文字盤に表示している一ヶ月分のカレンダーも、何月に設定しても31日まであります。
あくまで、カレンダーの制御は、手動なのです。(苦笑)
一応、上の画像で分かりますが、カレンダー表示合わせ用の西暦(6時位置)が、
閏年は黒地白文字、00年は赤地白文字に分けてありますので、その意図を
理解していれば、それなりに親切な機能ですが・・・。
実は、この自動巻き万カレは、最近復刻されていますが、現物未入手の為、詳細は未調査です。
恐らく、カレンダー表示範囲は変更されていると思われますが、機械は不明です。
手巻きから始まったオリエントの万カレシリーズは、この自動巻き版で完成されたと
言えるでしょう。そして、その機能は、登場から30年近く経過した今でも使える
まさに、MULTI-YEARなCALENDAR機能だと思われます。