その13
SEIKO手巻き高振動キャリバーとして、頂点を極めた45系について考えます。
皆さん、御存知の様に10振動の手巻き機械です。
まずは、45キングセイコー(45KS)の機械です。
次に45KSクロノメーターの機械です。
地板に個体番号が打たれているだけの違いしかありません。
機械番号は、普通機もクロノメーターも同じですので、区別できません。
元々、45KSクロノメーターは、通常の45KSの機械を選別・調整して個体番号を刻印し
クロノメーター検定を受けたモノですから。
最後に45グランドセイコー(45GS)の機械です。
地板の仕上げと個体番号、4520Aの刻印、角穴車の飾り彫りが相違点です。
で、ここからが本題です。
以前から、ガラの掲示板等でも話題になっている事なのですが・・・。
45KSには、45KSMの機械が入っている事があります。
この2本の45KSを御覧下さい。
45-7010
4502-7001
これらの45KSには、いずれもクロノメーター機械の証の機械に個体番号があります。
いずれも、普通の45KSなのですが・・・。
45KSの発売時期の中盤('69)には、SEIKOはクヲーツを世に送り出し、時代は機械式から
クヲーツ(電子テンプや音叉も含め)へと移り変わろうとしていました。
価格差は、まだありましたが高精度を望むならクヲーツの方が良い事も社会的に認知され
高精度機械式時計は、世代交代を迎えつつある時期だったと思われます。
そんな時代に発売されていた45KSクロノメーターは、お世辞にも売れていなかった様です。
当時のお客さんは、精度を望むのなら、クヲーツ(38SQ・39SQ)等を購入する事が出来ましたし、
機械式に拘るのなら汎用機の45KSや高級機の45GSを購入する事を選んだ様です。
つまり、最も中途半端なポジション(値段・精度とも)に位置していた訳です。
したがって、45KSクロノメーターは、あまり売れずにその機械も工場の中で在庫として
眠っていたモノが多く存在した様です。そして、とあるタイミングで生産調整が行われ
本来45KSクロノメーターに搭載されるべく準備されていた機械が、普通の45KSに
搭載され出荷された様です。(生産調整の行われた時期や数量は不明です。)
Aoの調べた範囲では、少なくとも'71年3月以降製造の45KSには、クロノメーター機械が入っている
可能性があります。調査の個体数が少ないので、'71年以前の可能性もありえます。
もちろん、本来普通機が搭載されるハズのモノに異例の生産調整の結果で
いわば仕方なく搭載されているのですから、クロノメーター機械が入っていれば
『運が良い!!』程度の事なのですが・・・。(笑)
最後に最も気になる事は、生産調整を行われたクロノメーター用機械は、
その時点(機械に個体番号を刻印した)でクロノメーター検定を受けていたのか? と言う事です。
少なくとも、クロノメーター用に選別・調整は、行われていたと思われますが・・・。
現状は、明確な結論を得ていませんが・・・。(謎)
この件に関しては、今後もガラ研で調査を継続します。