A FREE
去り方を、覚えるためだったのかも知れない。
あいつらとの日々は。
そう、思うようにしている。
あの男を倒して、俺は自由を手に入れた。
自由・・・・・・。
ずっと、渇望していた。
もう、誰も俺を縛ることはない。
その自由と引き換えに失ったものを、不意に思い出す。
それは、ひどく静かな場所にいる時。
(そういえば、あいつはいつも煩くて、元気だけは人一倍あって)
それは、喧騒の中に在る時。
(そういえば、あいつの判断はいつも的確だった)
それは、泣いている幼子を見た時。
(そういえば、あいつは意外に意地っ張りな所があった)
そして、暗闇の中で鏡を覗いた時。
(同じ魂を持っているのに、これほど違うものかと驚かされたこともあったな)
空はなお高く、雲は変わらず流れていく。
俺は、自由だ。あれから、ずっと。
なのに、何故。
俺は、あいつらを思うのだろう。
道は既に別れたというのに。
それを選んだのは俺自身だというのに。
何故・・・。