NOW IS TIME〜今、この時を〜
瞳を開けると、見慣れた天井があった。
もうこれで何度目になるのだろう?
薄暗がりの中でこの天井を見上げる度に、繰り返す。
『また、戻ってきてしまった。
また・・・連れ戻されてしまった』
永遠に終わる事のないような気さえする時の輪に捕らわれて、もう何度も同じ『歴史』を繰り返し見つめ、『トキ』を歩んできた。
扉の向こうで他人の気配がした。おそらく、ハワードだろう。
ユーゼスの元を逃げ出し、乗っていたトーラスが撃墜され、宇宙空間に投げ出された俺を救助してくれたピースクラフトの面々と、なにくれと面倒をみてくれた代表のハワード。
いつも俺の『記憶』はここから始まっている。
そしてまた・・・俺は俺の『記憶』の出発点に引き戻されてしまった。
「また・・・抜け出すことは・・・かなわなかったか・・・」
ぽつりと呟きが漏れた。
突き付けられた現実に思考はぐるぐると堂々巡りを繰り返すだけ。
〃それでも〃
どろりとした脳裏に一筋、不意に光が響く。それが『光』なのか、『声』なのか、俺自身のものなのか、それとも別の存在のものなのか・・・もうわからない。
〃貴方が刻んだ時と、貴方が結んだ出会いは、必ず意味有るものだから〃
それでも『光』は静かに俺の思考を切り捨てて、俺を前に向かせる。
「俺がしてきたことは・・・俺達が出会った事は・・・決して無意味ではない・・・」
これから先、俺はまた繰り返す。
同じ歴史と、同じ出会いと、同じ過ちを。
俺を取り込んだメビウス・リングを断ち切るために、もう二度と、繰り返さないために。
薄暗がりの中で見つめた天井に、誓う。
「何度繰り返そうとも・・・俺は諦めない。必ず・・・未来を手に入れる・・・!」
〃貴方が刻んだ時と、貴方が結んだ出会いは〃
いつか未来の俺が触れるであろう、すべての歴史と、すべてり出会いに誓って、必ず・・・・
「無駄になどするものか・・・!」
END
後書き。
えーと、アトガキという名の言い訳と解説です。久しぶりにSS書きました。そしていきなり皆さんをぶっちぎってるかと・・・(汗)
このSSはウチのサイトにおいてある、『星刻の時』という三連作の後のハナシということになります。ウチのイングラムはαで行方知れずになってから再び『ヒーロー作戦』のOPに戻って、また同じ歴史を繰り返す、というメビウス・リングに嵌まっていることになっています。この話はまたヒーロー作戦のOPに戻ってしまった時のモノ・・・となる訳なんですが・・・一体何人の方がヒロ作を知っているんでしょうねー。少なくともここの管理人リヴィーをぶっちぎってるコトは請け合いです。
あー、それにしても・・・
実感したよ。
天野ってばやっぱりイングラムスキー・・・