いつか、天に届く日

 

「・・・・」

備え付けの固いベッドに身を投げ出してぼんやりと見上げた独房の天井に今までの出来事の断片が浮かんでは消えていった。

戦いの記憶、戦場で培った掛け替えのない仲間達との絆、これからのコト・・・ぷかりぷかりと泡のように浮かんでは消え、浮かんでは消えていく。

すい、と手を伸ばして虚ろな白色灯に翳した。自分の手の陰が顔の上に落ちて薄闇を作った。

 

最後の戦いで一瞬だけ甦った記憶には再び霞みがかかり、朧げにしか思い出すことが出来なくなっている。だが、断片的に脳裏に残る映像の中で自分達は笑っている。

『彼』も自分も、仲間達も、みんな。

これ以上忘れてしまわないように折りにつけ思い出して心に焼き付ける映像。今では音もなく、ただ写真のように瞼に浮かぶ。

「何だったんだろうな・・・アレ」

自分に流れ込んできた『記憶』を直感的に『彼』のものだと感じた。その記憶の中には自分もいて、アヤもいて、ライもいて・・・そして彼もいた。

「・・・・・・・・・」

考えても考えても答えはでてこない。

「アレが何なのか・・・知ってるのは教官だけなんだろなぁ・・・」

〃だったら直接聞いてみるしかないか〃

寝っ転がっていたベッドから反動をつけて起き上がると、大きく伸びをした。独房に叩き込まれてから得られる情報も限られている。あの戦いのあと『彼』がどうなったのか、その行方は杳として知れないとライがそれとなく教えてくれた。

「ま、あの人のことだからどっかでひょっこり生きてるだろ。とりあえず、俺、自分のこと心配しねーとなー・・・」

蒔いた種が天を目指すように、視線は自然と前を向く。

 

『この世界で俺達がしたコトは決して無駄ではないのだから』

 

「いつか・・・もう一度・・・必ず会えるよな・・・」

 

 

END

 

2004 3月31日    天野蒼星

 


・・・えー、久しぶりにSRWを書きました。ずっとずっと温めてた話だったのですが、書き始めたらプロットとかなり変わってしまいました。最初はヴィレッタの一人語りだったんですけどねぇ・・・気が付いたら↑の彼が出張っていました。我がサイト史上初、イングラムご本人が出てこない話です。

でもね、天野、書きながら再確認しちゃいましたヨ。

 

くはぁっ!イングラム、好きだーッ!!!

 

たとえソレが茨の途だとしても!ウチのサイトはアンタを応援し続けるからッッ!←小さな『ッ』に気合が現れてイマス。

 

・・・実はこの話、続きがあるんですよ。機会があったら、書きたいなー、と思いつつ・・・

 

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