彦根城
ひこねじょう

■所在地:滋賀県彦根市金亀町 ■立地:独立丘上 ■別称:金亀城 ■築城年:1603年
■築城者:
井伊直継 ■遺構等:天守、櫓、門、石垣、堀など

国宝の天守
馬屋 佐和口多聞櫓
表御殿を外観復興した彦根城博物館 天秤櫓下の登城路
天秤櫓 鐘の丸
太鼓門櫓 本丸と天守
天守内部 西の丸から見た天守
西の丸の三重櫓 玄宮園

■歴史
 彦根城は1603年に着工したが、大坂の豊臣家に備える戦略的要素も強く、幕府の命により近隣の諸大名が築城にあたった。途中、大坂の陣で工事は中断したが、再開後は井伊家単独で工事を進めた。完成したのは1622年である。
 井伊家は幕府の重鎮として幕末まで彦根藩主として領民に慕われた。

●現状(2006年7月)

 彦根城は何度か行ったことがあるが、国宝ということもあり、いつ行っても観光客でにぎわっている。
 城内を巡るには東の佐和口からスタートするのが効率がよい。彦根駅や駐車場が東側にあるので丁度良い。
 東側の中堀を渡ると虎口両側に多聞櫓がある。左側が1771年築で重要文化財、右側が1960年の再建で市民ギャラリーとなっている。城内の現存建築物はほとんど重要文化財である。さらに進むと、城内には彦根城にしか現存しないという馬屋がある。馬屋の前から内堀を渡り、表門跡を抜けると入城券の券売所がある。
 券売所の前には彦根城博物館がある。これは彦根城表御殿を外観復興したもので、内部は井伊家に伝わる品々の展示がされている。城の資料館的な要素は薄いので、彦根城自体のことを知るには物足りない。御殿の奥部分は内部まで正確に復元されている
 御殿を出て入城口から城内に入ると、石段の上り坂が続き、登り切ると頭上に天秤櫓と橋があり、他の城ではあまり見られない素晴らしい光景である。この通路は、中世の城でいう堀切の底である。ここから一旦、本丸の南側の鐘の丸に上がり、そこから橋を渡って天秤櫓をくぐって太鼓丸へ入る。天秤櫓は左右非対称の美しさがある。櫓が左右非対称なら、その下の石垣も左右非対称で面白い。
 太鼓丸を過ぎて太鼓門をくぐれば本丸である。本丸御殿は残っていないので、広い本丸に小ぶりの天守がぽつんと建っているような状態である。天守は小さいながらも複雑な破風で飾られ、他の城にはない美しさがある。内部はもちろん木造で、天井の梁などは曲がった大木を実にうまく利用している。階段は城特有の垂直に近いような急勾配だが、滑り止めのためか摩損防止のためか、カバーがしてあり、現存の国宝天守ということを思えば賛否あるかもしれないが、大変昇降しやすい。姫路城のように年間に何十万人も観光客が訪れる城の階段は磨耗してつるつるである。かつて、私の叔父は見事に滑り落ちていったことがある。
 天守を出て西の丸へ入ると、本丸までの登城路の賑わいがウソのように人がいなくなる。最短距離の見学コースは、西の丸へ入らずに玄宮園へ最短で向かうコースなので、趣味でここへ来ている人以外はほとんど最短コースを通るか、本丸からUターンして帰っていく。だが、西の丸には三重櫓があり、城好きは避けては通れない。それに、とても静かで木々も多く、歩くのが気持ち良い。やがて堀沿いの道へ出るので、左へ行けば山崎郭、右へ行けば玄宮園である。
 玄宮園は城を背景にした庭園で眺めが良く、庭を眺めながら休憩をしている人も多い。時期的に庭園の池はおたまじゃくしが大量発生していた。他の魚も良く見るとほとんどブルーギルである。
 駐車場へ向かう途中、堀を眺めていると、体長1メートルほどの巨大な鯉らしき魚の群れがいたるところにあり、不気味なほどの大群である。でっかい鯉だなあと思って近づいてみると頭はひらぺったいし、鯉特有の大きなウロコやヒゲもない。どうやら中国のコクレンかハクレンのようである。堀の水は藻が発生して汚いので浄化のために放してあるのだろう。他にも目につくのはブルーギルの群れとブラックバスばかりである。国宝の城の堀が外来魚ばかりというのもさびしい気がする。


◆場所