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何故、人は人を好きになるのか? 何故、恋は3年で冷めてしまうのか? 何故、多くの夫婦は4年で離婚してしまうのか? ・・・・その謎を解く鍵は、頭の中・脳にあった。 ここ10年の間に随分と新しい事実を知ることが出来るようになった。 脳の状態をリアルタイムで見るとの出来る機械(MRI)が開発されたからだ。 |
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◇ | 恋する脳 ・・・・そこでは何が起きているのか? | |||||||||||||||||||||||||||||||
○ | アメリカ・ラトガーズ大学教授ヘレン・フィッシャー博士(女性)の研究報告 | |||||||||||||||||||||||||||||||
博士は、男女の恋愛の仕組みについて30年にわたって研究してきた。 研究への協力を申し出た、このカップルは、アルバイト先で知り合った二人は瞬く間に恋に落ちたという。
装置に入った被験者は、恋人の写真と無関係な異性の写真を交互に見せられる。 こうして、恋人を見たときにだけに反応する脳の場所を探っていく方法である。 測定結果は、 |
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「恋をしたときに、脳の特定な場所が活発になると言うことは、このカップルに限ったことではない。 それは、各国共通で見られる現象である。 この場所こそ”恋の中枢”なのである。」と言う。・・・・それは、脳の奥深い場所にある「服側被蓋野(ふくそくひがいや)」と言う場所であった。 ここでは、神経伝達物質・ドーパミンが造られている。 人が嬉しいと感じたり快感を得たりするときに、ドーパミンが大量に放出されていることが知られている。 このカップルにも、お互いに相手を見たときにドーパミンが放出され、歓びと快感を感じていたのであ。 更に、脳はドーパミンが出たときの状況を学習し、次に同じ行動を起こしやすくすることが知られてい。 つまり、相手を見て快感を覚えると、また、見たくなるのだ。 |
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「恋をすると、相手に夢中になり、常にその人のことを考えるようになる。 これこそドーパミンの仕業のである。 恋をすると集中力が高まり気力に満ちあふれ、疲れを感じなくなる。 電話の前でずっと待ち続けたりすのもこのためである。」 |
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○ | 一方、恋をしているとき、脳の活動が抑えられている場所が見つかった。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
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博士は、カップルの二人が激しく恋に落ちている状況を調べた。 すると、恋人の顔を見たときに限って、活動が低くなる場所を発見した。 それは、扁桃体や頭頂側頭結合部など、物事を否定的にとらえたり批判や判断を行う場所であった。 「恋は盲目と言いますが、正にその通り。恋人を批判的に見ることが出来なくなってしまう。 相手を受入れられずには居られなくなるのである。」と、アンドレアス・バーテルス博士。 恋は、この二つの連携によって成り立っているのである。 |
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◇ | 何故、恋のメカニズムが生まれたのか? | |||||||||||||||||||||||||||||||
それは脳に潜む男女の違いを見ればわかる。 調べてみると同じように恋をしているはずなのに、活発な場所には男女の違いもあった。 |
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○ | 男性の場合:島皮質(とうひしつ)の一部であった。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
ここは視覚に関係していると言われている。 つまり、恋する男は特に視覚を活発に働かせているというのである。 ヘレン・フィッシャー 博士:「健康な子供を産んでくれるかどうか?男性はそれを見極めなくてはならなかったからである。」・・・・情勢が健康な赤ちゃんを生んでくれるかどうかを、無意識のうちに確めている男性。 |
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では具体的のどこを見ているのであろうか? テキサス大学 進化動物学者 テファンドラ・シン博士(男性)は、”腰のくびれ”だと考えている。 ウエストとヒップの関係を見ることを意味している。 これまでに、博士は、世界各地で男性がどういった関係を好むのかを調査してきた。 細めの女性・標準的な女性・太めの女性、それぞれヒップと腰の比率違う線画を示して選択させた。 その結果、どのような女性もウエストとヒップの比率が7:10の女性が選ばれた。 太めを好む男性でもこの比率はやはり7:10の比率が好まれた。 博士は、世界各地の美術作品を調べたところ、多くの文化で共通して腰のくびれが描かれていた。 しかも、ウエストとヒップの比率の平均は7:10であったというのである。 |
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テファンドラ・シン博士:「腰とヒップの比率は、女性の年齢や健康状態、妊娠のしやすさを正確に表ている。 従って、昔から男性が女性を選ぶ際の役に立ったに違いない。男性は、一瞬見ただけで判断でるようにプログラムされているのだ。
つまり、ウエストとヒップの比率は、出産の準備が整うにつれて、7:10に近づくのだ。 |
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○ | 女性の場合:女性の場合は、帯状回(たいじょうかい)が、記憶と深い関係のある場所だった。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
何故、女性には記憶なのか? それもやはり、子作りに関係しているというのだ。 ヘレン・フィッシャー 博士:「相手がいい父親になってくれるかどうかは、見た目だけではハッキリわからない。だから女性には記憶が頼りなのである。」「相手が何を約束し、それを果たしてくれたのか?・・・正しい相手を選ぶことが大事なのである。」・・・女性にとっては”記憶”が重要だった。 |
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恋をする男も女も、相手を選ぶときに”子育て”のためにふさわしい相手を選ぶという事情が隠されてたのであった。 実は、子育てこそ、生物として人間が恋愛システムを進化させた理由なのであった。 だが、何故子育てなのだろうか? |
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◇ | 数百万年前の進化の歴史を引きずっている。・・・男・女 ! | |||||||||||||||||||||||||||||||
実は、人間には子供を産み育てることが大変になる歴史であった。 私たちの祖先は、およそ4百年万年までにアフリカの大地で二足歩行を始めていた。 自分の体重を二本の足で支えるために、骨盤の形が大く変わっていた。 そのせいで、産道が大きくできないという制約ができてしまった。 更に二本の足で駆めぐるようになった人類は、道具を使って狩りを始めた。 |
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栄養価の高い肉を食べるようになり、脳が飛躍的に大きくなっていった。 しかし、産道を大きくできないため、赤ちゃんを小さい内に未熟児の状態で産むしかなかった。 人口ミルクもない時代、赤ちゃんは女性が付きっきりで世話をしなければならない。 このため、子育ての間きちと協力をしてくれるパートナーが必要となった女性は、記憶を頼りにして男性を見極めるようになったのでないか?・・・と思われる。 |
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一方、男の方も生ませっぱなしと言うわけにはいかない。 大量のエネルギーを消費する大きな脳を持つが子が育つには栄養価の高い食べ物を常に届けなければならなかった。 このように、男と女が特定の相手とペアを組み確実に子供を育てる。そのために恋愛のシステムが発達したとフィッシャー 博士は考えている。 ほ乳類の中で、番で子育てをする動物は3%しかいない。人間はその少数派に属している。 子育てが大変だから男と女が協力をする。 そのために恋愛のシステムが進化したと考えられる。 |
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◇ | 熱烈な恋もしばらくすると冷めてしまう。 これは、何故?? | |||||||||||||||||||||||||||||||
ところが、熱烈な恋もしばらくすると冷めてしまうことが、研究を通してわかってきた。 ”恋の中枢”が働なくなるのだ。 博士は、恋は通常18ヶ月から長くとも3年しか保たないと言う報告を行っている。 これは一体何故か?! |
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未熟で生まれる赤ちゃんも、3〜4年位になると両親が付きっきりで世話をする必要がなくなるからでないかとフィッシャー 博士は考えている。 男と女の絆は、もともと赤ちゃんの成長が一段落するまでの”期間限定”なのでは・・というわけである。 「狩猟採集社会では、出産は四年ごとに起きる。恋はこの間だけは保たれるように進化したのかもしれない。 その後カップルは解消され、また、別の恋が始まる。 こうして遺伝的に多様な子孫を残したのかも知れない。」 恋は長続きしない。 このことは国連統計からも知ることができる。世界58の地域をフィッシャー博士が調べたところ、離婚は4年がピークだという結果が得られたのである。 このようなメカニズムは、大昔は良かったとしても、現代の私たちには大きな障害となってきている。 夫婦となる目的が、子作りと言うことに限らないし、夫婦だけで過ごす期間が年々延びてきているからである。 では、どうすればよいのだろうか? 夫婦の、二組に一組は離婚するというアメリカにおいては、夫婦のすれ違いは、国家予算を使って研究される重要なテーマである。 |
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◇ | 何故? 女と男はすれ違うのか? | |||||||||||||||||||||||||||||||
ワシントン州立大学名誉教授 ジョン・ゴットマン博士(男性)は、35年間にわたって夫婦がすれ違う原因を科学的に分析してきた心理学者である。 3,000組の夫婦を分析した結果、すれ違いの最大の原因は会話のパターンにあることを突き止めた。 「15分の会話を分析するだけで、その夫婦が四年以内に離婚するか、85%の確率で予測できるようになった。」 ・・・では、 どのような会話のやり方が、夫婦の関係にとって良くないのか?・・・・・研究の様子を見せてもらった。 結婚四年目に子供ができて以来、気持ちのすれ違いに悩んでいるというのだ。 それを乗り越えるきっかけを得たいと、研究への協力を申し出た。 ジェフさん「子育てを始めた後、夫婦の力学が大きく変わったと感じている。 二人だけの親しい関係でなくなってしまったと思うのです。」 ケリーさん「二人の新しい関係が何なのかを模索するのは大きな試練だった。 口論がエスカレートして手に負えなくなっていた。」 指には心拍数をはかる装置を付けてもらい、話し合いの様子はビデオで撮影する。 こうして集めた結果を基に、すれ違いの原因を分析する。 二人はクレジットカードの使い方について話し合うことにした。 話し始めるとすぐに雲行きが怪しくなった。 会話の出だしを見ただけで、ゴットマン博士は、この後二人は口げんかにエスカレートしていくと予測した。 ゴットマン博士:「もう会話には成らない。後はけんかを繰り返す典型的なパターンだ。」 実は、日頃不満に感じていることを話題にしても、すぐに口げんかに発展する夫婦と、しない夫婦が居るという。 この違いこそ、夫婦の関係が長続きするか否かの鍵を握っているのだ。 その理由はジェフさんの次の発言だった。
その果てに待っているのが、相手を見下す発言である。 これが、”話し合い”であったはずの会話を、不毛な口げんかに替える典型的なパターンである。」・・と。 話し合いをはじめて2分、ジェフさんが相手を見下す行為に出てしまった。 「わかっていないのは君だけだ」と関係のない第三者を持ち出し、妻を見下した。 これが決定打となって、二人の会話は激しくなる一方だった。
互いに話し合っているのに喧嘩になるのは何故か?しかも、それを繰り返すのは何故か? ところが妻ケリーさんの場合には、激しい口論の間でも心拍数は70前後と落ち着いていた。よく女性が感情的だという通説を聴くのだが、心拍数から見ればその限りではない。 何故、そうした差が出るのか? 実は私たちが辿った歴史に理由があった。
理性的な対応ができなくなる中、衝突を避けるために本能的に会話を打ち切るのである。 「男性は、女性に比べて心拍数が速く上がり、落ち着くにも時間がかかる。 警戒心を維持するために進化したこの特徴を、現代でも引きずっているのだ。 進化で獲得した能力のこの違いが、夫婦すれ違いの原因となっていることが意外と多い。」 |
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◇ | 男と女の人間関係に障害となる二つのこと | |||||||||||||||||||||||||||||||
@ | 男性が女性の気持ちを読み違え、ついつい余計なことをしてしまうこと。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
実は、男性は女性に比べて気持ちや感情が読み取れないと言う報告がある。
表情を読み取っているときの、脳の活動を見てみたところ・・・・ 女性は、脳の一カ所を使っているに対し、男性は二カ所働かせていた。 つまり、男性は脳を二倍使っているにもかかわらず正確に読み取れないのに対し、女性は脳力をさほど使わなくても当てられると言うことだ。 |
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A | 「会話」の目的:女と男の違い。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
永い進化の歴史の中で、女性達は部族の他の女性達と行動を共にし、会話を絶やすことはなかった。仲間の絆を深めるための会話は、相手の感情を知ったり自分の感情を伝えることが大切だった。
この違いが、男女のすれ違いを生む最大の理由だとゴットマン博士は考えている。 「その日にあった出来事さえ話し合えないことがしばしばあります。しかも夫は疲れていて会話を交わす気分ではないのです。私は自分の気持ちが受け止めてもらえていないと感じ、絶望的な気持ちになります。しかも、その気持ちからなかなか抜け出せないのです。」・・・・・その日にあったことなどを、夫と共有したい妻。 しかし、夫は解決すべき事がない限り会話をすることに積極的ではないのだ。 頭では分かっているつもりでも、いざ面と向かうとなかなか女性の気持ちは読み取れない男性なのである。 |
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◇ | 女と男のコミュニケーションのこつは? | |||||||||||||||||||||||||||||||
ゴットマン博士は、男が上手に会話を続けることが鍵だという。そのコツを教える講習会を全米各地で開いている。 「女性に受け入れられる最大の秘訣とは、質問することです。 ほとんどの男性は質問しない。いつも主張ばかりしている。 質問をすれば、相手は関心を持ってくれていると知り心を開きます。だから質問は最も重要だ。」・・・・ 講習会では、実際に質問をする訓練をする。しかし、これは男性にとって容易なことではない。そこで、アドバイザーが助言をする。 |
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「男性は、社会の厳しい競争を生き抜くために自分を磨いてきた。そのため相手の気持ちを受け止め、感情に敏感になるのは容易ではない。 しかし、夫婦で過ごす時間が長くなる中、自ら変わり家族との絆を深める事が求められている。 子供を育てるために始まった男と女の恋愛のメカニズム、しかし、長い進化を経て男女関係は子孫を残すためのものから、人生を共に過ごすパートナーへと変化してきている。 お互いの違いを知り、それを受け入れる努力をする。それが新しいパートナーシップを築く道なのかもしれない。 |
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◇ | 男と女の新たなパートナーシップ ・・・ 宇宙開発に応用(NASAエイムズ研究所) | |||||||||||||||||||||||||||||||
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身体的な違い・・・・アメリカ・ロスアンジェルスに住む60歳の女性。6年前、会社からの帰りの渋滞中の車の中で突然意識を失った。狭心症による心臓発作であった。 彼女は、発作のずっと前から息苦しさを感じて、病院で検査を受けていた。しかし、結果はいつも「異常なし」であった。何故危険が見過ごされたのか?! |
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狭心症の原因は、心臓の表面を走る冠動脈の流れが悪くなって起きるというのが、それまでの常識であった。 ところがこれは男性に限った話であった。 女性の場合、心臓の筋肉の中を走る直径0.3mm以下の細い血管・微少血管で、狭心症を起こしていたのであった。これまで、微少血管は検査の対象にもなっていなかった。 「何年もの間、胸が苦しいという訴えを誰も聞いてくれませんでした。原因は精神的なモノだと言って、鬱病の薬を渡そうとした医師もいた。」 調査の結果、胸の痛みを訴えた女性の34%が冠動脈ではなく微少血管に問題があることが分かった。 シーダーズ・サイナイ病院 女性心臓センター長 ノエル・バリマーズ医師は、「この病気は今まで見過ごされることが多く、医師の間でも知られていなかった。 なぜなら、男性でこの病気を発症する例がとても低いからだ。過去、5〜60年の心臓の研究は、男性のみを対象として行われてきた。このため、地域の医師達はこの病気があることさえ教えられてこなかった。」 ・・・・これは、女性ホルモンの減少による影響と思われる。 女性ホルモンの一つEstrogenは、血管を広げる効果がある。 このホルモンが閉経によって突然減ってしまうと、血管が収縮しやすくなり、血液の流れが悪くなる場合があるのである。男性の場合、このようなホルモンの急激な減少を経験しないために、この種の狭心症は起こりにくいと考えられている。 この病気の女性に対する影響は深刻だった。アメリカでは、1980年代以降男性は心臓病による死亡者数が大きく減っているのに対し、女性は逆に増加1984年以降はずっと男性を上回っている。その原因の一つに、微少血管の狭心症が見過ごされてきた事がある。 「女と男の罹る病気に大きな違いはない。」という思いこみが、性の差を見過ごし女性の命を危険にさらす結果につながっていた。 |
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アメリカ政府は、1990年:「NIH 国立衛生研究所」の中に、男女の違い・所謂、性差を研究する専門部所「女性健康局」を設けた。 女性健康局長・ビビアン・ピン博士は、「女性の健康に関する医療の遅れを見つけ出しその推進を図ることが目的であった。」 心臓病以外にも、発症頻度や症状など・・女性に深刻な問題が潜んでいるケースが、次々と明らかとなってきた。 ◇ 薬の副作用に性差があり、同じ薬の量を飲んでも女性に強く不整脈の症状が出る場合がある。 ◇ 女性は、骨粗鬆症の発症率が高い。これによる骨折は、男性の4倍近い。 ◇ 過敏性腸症候群は、男性のおよそ2倍。 ◇ 慢性疲労症候群。女性の有病率が高い。 何故、男女で違いがあるのか?こうした病気を克服するためには、その理由を知ることが重要であることに私たちはようやく気づいたところである。
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まず、子供達の脳の発達について大きな発見があった。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
☆ | 女と男:脳の違い・・・・・・・子供達の脳発達の違いを調査した | |||||||||||||||||||||||||||||||
アメリカ・国立精神衛生研究所(児童精神医学部門 脳画像研究チーム:ジェイ・ギード博士)では、子供の脳の成長を記録する長期プロジェクトが進められている。 参加者は4歳の子供。 二年ごとに研究所に来てもらい、18歳まで脳の成長を追いかけようというものである。 およそ100人の男女が参加した。
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「男の子と女の子の体は、ホルモンの受け止め方が違う。扁桃体は男性ホルモンに受け皿が多く、海馬は女性ホルモンの受け皿が多い。 そのためホルモン分泌の多い思春期に、扁桃体と海馬で、男女の差が大きくなると考えられる。」 ハーバード大学医学部精神科教授・ジル・ゴールドステイン博士:MRIによる調査の結果、48人の成人した男女を細かく調べたところ、大きさの違う場所が次々と見つかった。
◇ 鬱病にかかるヒトは、13歳を過ぎると女性の方が多くなる。 ◇ アルツハイマー病 ・・・55歳以降、発症のリスク(Risk)は女性は男性の二倍。 ◇ 自閉症 ・・・ 男性の方が、女性の2.5倍多い。 そこで、何故男女に違いがあるかを突き止めることが、謎に包まれた病気を解き明かすヒントになるのではないかと期待されてきた。 ハーバード大学医学部精神科教授・ジル・ゴールドステイン博士(女性):「脳の回路には、非情に大きな男女差が見られる。これはあらゆる病気の治療法を考える上できわめて重要なことだ。今後20年間の医療にとても大きな意味を持ってくると思われる。」 * 捜し物 ・・・ 女性が得意 * 記念日 ・・・ 女性の方が尊重する * 食べる量・・ 男性の方が多い。 * 空間認知力・・ 頭の中で物体の向きを回転させる脳力:日本でも欧米でも男性が高い。
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* 言葉の能力・・ 「例えば、Fで始まる言葉をどれだけ思い出せるか?」
女性は地図が読めないとよく言われるが、この本当の意味は何だろうか?そこには女と男の奥深い意味が含まれていた。 |
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◇ | 女性は地図が読めないか? ・・地図に女性に有利な情報が書かれていないからだ。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
カナダ・レスブリッジ大学準教授 デボラ・ソーシャー博士(女性)の実験 「宝探し」男女42人が協力した。
男性は、太陽の位置を目安とする。女性は東西南北が分からない。 |
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遠い昔の、人類の進化に影響を受けていた。 食糧の採集は、女性の役割だった。「三日月型の草むらの近くに芋があり・・・」・「大きな木下になっている木の実をとって・・」など、目印を目当てに採集を行っていた。 目印を決める時に、どのような能力を使っているか?まだ解明されていない。 これは、言葉を使っていたからだ。(仮説の1つ) 男性は狩りの獲物を追って狩りをし、走る方向は仕留める獲物次第。仕留めた後、男は考える。 「持ち帰る我が家はどこだ?!」・・獲物をまっすぐ家に持ち帰らなければならなかった。獲物を腐らせずに済む。つまり、方向を見極める能力が高い方が生き残る確率が高かった。 例え、女と男に祖先から受け継いだ得意・不得意の違いはあっても、「出来る・出来ない」と言う単純なことにはならない。 自分の得意を上手に活かせば、そもそも能力には差はない。 最新研究から、私たちの脳の仕組みが浮かび上がってきた。 |
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☆ | IQを測定して、脳の仕組みを確認した カリフォルニア大学名誉教授 アーバイン校 リチャード・ハイヤー博士(男性) | |||||||||||||||||||||||||||||||
50人の男女に知能テストを受けさせた。IQを測定。この時に脳のどの場所を働かせたのかを調べた。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
同じテストで同じ成績を取った男女の脳では、女と男では使っている場所がまるっきり違っていた 「最新の研究で分かったのは、脳が情報を処理するプロセスに男女に違いがあると言うこと。 同じ結果に達する時でも、女と男ではその経路が違っていた。」 男性:空間を認識する場所を活発に使っていた。女性はこの場所を使っていない。 女性は、ブローカ野(中枢)を使っていた。この場所は言葉を話す時に使われる場所だ。 <女性は、言葉を使って、生きるための食糧を得る努力をしてきた。> つまり、女と男は違った脳のネットワークを使いながら同じ知性を獲得しているということになる。
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今、我々は狩猟採集生活とはまったく違った文明社会に生きている。女も男も、様々な食糧を選び、様々な生き方を模索している。 その中で、私たちの祖先が培ってきた男女の違いは、思いもかけない形で、私たちを支えている。様々な課題に取り組み、知能を働かせる時、女と男は知らず知らずに自分にあった脳の使い方を選び、課題を解決していたのであった。 リチャード・ハイヤー博士「脳は何百万年もかけて進化してきた。その長い間、言葉の役割を担って男女が、進化の道筋が違っていたはずである。 大切な点は、道筋は違っていても、問題を解決する能力は、女も男も変わらないと言うこと。 実に見事なことである。」 |
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☆ | 男女に違う教え方をする公立学校が出現 ・・・・フロリダ州のウッドワードアベニュー小学校 | |||||||||||||||||||||||||||||||
4年前から共学クラスとは別に男女別クラスをつくり、児童達が選べるようにしている。(ディーダラ・ヒックス校長) 長い間、「教育の機会均等」を大原則に、男女共学が当たり前であった。しかし、2002年新しい法律「落ちこぼれを作らないための初等中等教育法」が作られた。 学力向上のために男女別クラスを作るという選択肢が認められた。
Programs to provide same-gender schools and classrooms :同性による学校やクラスを設置すること |
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☆ | 女と男の思考システムの違いに注目する。 ・・・その取り組みは企業の間にも広がりつつある。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
企業では 企業の経営コンサルティングや監査業務を行う、全世界に15万人の社員を擁するデロイト社では、今、女性と男性の考え方の違いを学び、ビジネスに活用する社内研修を、会社を挙げて行っている。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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顧客がビジネス上の決断をする時・・・・
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◇ | 新たな仕事を提案する場合・・・どのようなチームで挑み、どういうプレゼンテーションをすればよいか? | |||||||||||||||||||||||||||||||
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こうしたやり方を取り入れることで、業績が上がったばかりではなく、会社を辞める女性社員も減ったという。男女の違いを知ることで、より働きやすい職場になったのだ。 デロイト社役員 バーバラ・アダチ(女性)「男性と女性が対等に活躍する時代になっている今、ビジネスでも男女の考え方の違いを学ぶ事は重要。違った目線を取り込むことで、我々は強さを増すことが可能だと思う。」
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