1 国民生活の基盤である食糧供給の安定を期すために・・・・ |
食糧の自給は、
国家社会・国民生活の安定と安心の基盤をなすものである。 |
○ 今、世界的な飢餓の時代なのだ!「お金さえ払えば、いつでも食糧は手に入る。」だろうか?
○ 気候の予想外な変化によって、輸入先の国の作物が不作だったら・・・?!
それでも、食糧を、売ってくれるだろうか?・・・。何時までも買えるだろうか?
○ 農薬や害虫混入のチェックができるだろうか? ・・・ 等と不安である。
By 苦縁讃 |
2 水をはぐくみ国土をつくる農地と森林・・・・ |
農地や森林を守り、水を維持管理する活動が持続的・継続的に行われることにより、荒廃を免れ緑豊かな人口扶養力の高い国土が維持される。 しかし、昔はそれが出来ていた。 |
○ |
地球の砂漠化の原因は、樹木の伐採から始まった。
昔、青銅をそしてもっと効率の良い「鉄」を造るために、樹木伐ってしまった。
土地の保水力が落ち、作物が不作となった。・・・・。そして、降雨量が減少。砂漠化した。
分かってはいても、山の手入れはできない。経費のみ掛かって、収益がないからだ! |
○ |
農山村が、水資源を守っている。文明の排出するCO2を吸収する森を守っている。だが、街の人々は、土地を所有する里の人々に羨望の目で反感さえ抱いている。水と空気は永久・無限に存在するモノではないのである。 |
By 苦縁讃
|
|
|
3 持続的な社会の形成が求められる21世紀 ・・・・ 人々の価値観や生き方の転換が求められる。 |
|
20世紀は |
○ |
鉱物や化石燃料など、枯渇性資源に依存してきた
|
|
めざましい経済発展 |
○ |
大量生産、大量消費、大量廃棄が、経済発展のためには必要なことでもあった |
○ |
自然の循環や再生を重視しない形で機能性、経済性、効率性の追求してきた |
これからは、
三つのことを 重視すべきである |
○人間と自然・環境の再発見
○人間と人間(国際化)
○人間の過去(歴史、伝統、文化) |
|
進歩発展といった価値観 |
○ 調和と共感
○ 物からこころ
○ 健康や暮らしの心地よさ、美しさを優先 |
これらの感覚を回復しなくてはならない !!
|
◇ |
人が自然を慈しみ
|
|
いのちの安全と安心の確立 |
|
◇ |
食べ物を大切にし |
|
◇ |
人と自然との美しい関わりを、今一度考える。 |
|
4 地球規模の問題である人口・食糧・環境・エネルギーについて |
◇ 人口増加の問題化
人口増加 |
1960年 |
1996年 |
2010年 |
2025年 |
資料:国連(World Population Prospects:the 1996 Revision) |
30億人 |
58億人 |
69億人(ピーク) |
80億人 |
|
|
◇ 食生活の向上により、需要が大幅に増大するであろう |
◇ そのために、過放牧、過耕作、塩類集積による土壌劣化、砂漠化、等の不安要因が考えられる |
◇ 地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雨による農業生産物への影響が予想される。 |
◇ エネルギー需要の増大ひっ迫
注:
畜産物1Kg生産に要する飼料穀物量(トウモロコシ換算) Kg |
畜産業界では、この数値を「飼料要求率」と言っている。
右の各動物タンパク質を生産するために、表に示した量のトウモロコシが必要とされるのである。
世界の何処かには、トウモロコシはおろか、砂混じりの小麦さえも口にできない人々が居る。 |
鶏卵 |
鶏肉 |
豚肉 |
牛肉 |
3 |
4 |
7 |
11 |
|
注:過放牧、森林過伐、塩類集積による砂漠化の進行 |
資料:UNEP(Status of desertification and Implememtation of the United
Nation Plan of Action to Combat Desertification) |
灌漑農地 100~130万 ha/年 |
天水農地 350~400万 ha/年 |
|
|
5 わが国経済社会をめぐる将来展望 |
(1) 人口構成 ・・・・・・ 2007年にピーク 2010年に1.276億人 |
○ 輸入依存度の高いわが国の
食糧安定供給確保 |
|
食糧需要、労働力供給、農村地域の活力に影響 |
○ 少子化・高齢化の進行 |
|
(2) 経済の動向 |
○ 高齢化 |
|
貯蓄率の低下、資本蓄積の伸び低下 |
○ 海外生産比率の上昇、製品輸入の増加 |
経常収支の黒字減少 |
|
(3) 価値観の変化 ・・・・・ 過去は、欧米諸国へのキャッチアップが目標であった。 |
○ |
物の豊かさよりも心の豊かさを求め、満ち足りた生活や文化を優先 |
○ |
所得の向上や利便性だけではなく、こころのゆとり
人々や自然とのふれあいを求める |
|
(4) 国際化 |
|
国際的な協調、地球規模の課題への取り組み等・・地球的な視野から検討 |
|
|
Ⅱ 食糧・農業・農村の当面する課題 ・・・・・ 我が国の食料・農業・農村は次のような課題に当面している。 |
1
|
食糧の自給率が先進国の中でも特に低いもの(供給熱量自給率42%、穀物自給率29%)となっている中にあって、将来にわたって食料の安定供給を確保していくこと。 |
2
|
消費者・国民からは、食糧供給について量的な面ばかりでなく、質的な面での向上が求められている。今後、政策全般にわたり消費者・国民の視点に立ち、そのニーズに対応すること。 |
3 |
食品産業について、食糧供給の重要な担い手として健全な発展を図ること。 |
4 |
担い手や農地が減少する中で、農業が発展していくよう、構造の変革を進めること。また、意欲ある農業者の経営の安定を図ること。 |
5 |
中山間地域等をはじめとして農村の過疎化・高齢化が進む中で農村地域の振興・活性化と魅力ある「むらつくり」を進めること。 |
6 |
農業が環境を保全する機能を十分に発揮できるようにすると同時に、化学肥料、農薬等により環境に加えている負荷を軽減すること。 |
7 |
飢餓・貧困問題の解決に向けて、食料・農業分野における国際貢献を行うこと。 |
8 |
その他諸外国の農業政策の動向や財政事情を踏まえること。 |
|
|
|
(1) 食糧の安定供給の確保 |
|
☆ 食糧自給率の取り扱い ☆
|
食糧の自給率とは、木民に供給される食糧の内、国内生産でまかなうことのできた割合を示す指標(比率)である。
食料自給率には個々の品目ごとのもの、個々の品目を総合して一つのしたものがある。
また、計算方法としては重さをもとに計算する方法(重量ベース)や熱量をもとに計算する方法(カロリーベース)などがある。
現在。食料自給率として主に使われている指標として次の三つがある。 |
①
|
品目別自給率(重量ベースの自給率)・・・国民に供給された食料について、それぞれ品目ごとの量のうち、該当する品目の国内で生産された割合。
【平成8年度 米:102%、小麦:7%(小麦供給量640万t:国内での生産量48万t)、野菜:86%、肉類:56%】 |
② |
穀物自給率(重量ベースの自給率)・・・品目別自給率の一つであり、国民に供給された穀物(米、麦、飼料穀物など)の量のうち、国内で生産された割合。【平成8年度 29%】 |
③
|
供給熱量自給率(カロリーベースの自給率)・・・国民に供給された食料の総熱量のうち、国内で生産された食料の熱量の割合。
多種多様な個々の品目をカロリーに置き換えることにより一つのものとして総合的に見ることができる。
【平成8年度 42%(国民に供給された食料の総熱量約2,600kcal:国内で生産された食料の熱量約1,100kcal) 】
これについて畜産物についてみると、国内産の飼料で生産された畜産物のみが、国内産の供給熱量として計上される。
|
|
○ 畜産物の供給熱量ベースの自給率の計算方法(豚肉の場合) ○
{豚肉の国内生産量(126万t)÷豚肉の供給量(213万t)}×国内の豚肉生産に充てた飼料の国内での生産割合(10%) =59% × 10% = 6%
我が国の畜産に用いる飼料はその大部分を穀物として輸入している。
例えば、豚肉は国内生産割合が59%であるが、飼料の国内生産割合は10%に過ぎないため、供給熱量ベースの自給率では6%となる。
このように「畜産物そのものの国内生産が多くても、飼料の多くを輸入に依存しているために、供給熱量ベースで見た場合自給率は低いものとなる。
仮に、食生活の変化によって豚肉の消費が増え、その増加分をすべて国内生産でまかなったとしても、豚肉の生産には一般的に大量の輸入穀物を飼料として用いるため、供給熱量ベースで見た場合、食料自給率は低下する可能性も十分にある。 |
|
自給率 |
|
平成7年度 |
昭和35年度 |
資料:農林水産省「食料需給表」 |
カロリーベース(供給熱量自給率) |
42% |
79 |
穀物自給率 |
30% |
82 |
供給熱量/人/日 |
2,638kcal |
2,291 |
食料自給率は、供給熱量自給率で昭和40年の73%から平成8年の42%にまで低下した。これは、
① 自給品目である米の消費が減少したこと。
② 畜産物や油脂の消費が増大し、このため飼料穀物や油脂原料等の農産物の輸入が増大した。
など、食生活の変化が大きく影響している
☆ 食糧自給率の低下要因 ☆ |
|
低下寄与率(%) |
主要指標 |
昭和40年度 |
平成7年度 |
米の消費減少 |
31 |
純食料kg/人/年 |
111.7 kg |
67.8 |
飼料輸入増 |
16 |
穀物輸入量 |
597 (万t) |
1,640 |
油糧原料
輸入増 |
16 |
大豆・菜種輸入量 |
195 (万t) |
669 |
○ 食料自給率を政策目標として位置づけるべきか ○ |
意見 |
A 政策目標とすべき |
B 政策目標とすべきでない |
理由 |
① |
食料自給率が先進国中で極めて低いものになっている。食料はできる限り国内でつくる方がよいと考える人が8割以上も占めるという世論調査の結果も踏まえ、食糧自給の向上を図るべきである。 |
① |
食料自給率は、主に消費変化によって低下してきたたものであり、行政が介入することは困難である。 |
② |
食料自給率は分かりやすいので、政策目標につき国民合意を得やすい。 |
② |
食料自給率は国内生産力を示す客観的な指標ではない。むしろ食糧供給力の維持のための政策体系が重要である。 |
○ 我が国の自給率はきわめて低い水準である ○ |
人口一億人以上の国の穀物自給率 |
国 |
中 国 |
インド |
旧ソ連 |
米 国 |
インドネシア |
ブラジル |
日 本 |
パキスタン |
バングラデシュ |
ナイジェリア |
資料:
FAO 2010年の世界農業 |
人口 (百万人:90年) |
1119 |
853 |
289 |
250 |
184 |
150 |
124 |
123 |
116 |
109 |
穀物自給率(88~90年) |
95% |
99% |
74% |
151% |
96% |
88% |
29% |
101% |
89% |
88% |
◇ |
農地面積は減少し、耕作放棄が増加しつつある。 |
◇ |
担い手の減少がはじまり、更に高齢化が進む。 |
|
(2) 消費者・国民のニーズへの対応 |
(3) 食品産業の健全な発展
零細な経営が多い。 流通の合理化の遅れ 海外との競争激化、空洞化 |
(4) 農業構造の変革と農業経営の安定
経営規模の拡大等経営体質の強化が立ち後れている
○ |
地域による農業の立地条件の相違に配慮しつつ農業構造の変革を進める |
|
(5) 農村地域の振興・活性化と魅力ある「むらづくり」 |
過疎化・高齢化の急速な進行 |
|
地域社会の維持や国土・環境の保全に支障 |
耕作放棄 |
|
(6) 農業と環境の調和 |
(7) 食糧・農業分野における国際貢献 |
(8) その他の食糧・農業・農村をめぐる環境条件
厳しい財政事情の中で財政措置・・・効率的・重点的に |
Ⅲ 食糧・農業・農村政策の基本的考え方・・・・ なお、以下の考え方には賛否両論となっているものもあるので、
国民の意見を踏まえながら考え方を集約してゆく必要がある。 |
1 国民の生命と健康を守る食糧安全保障政策の確立
(1) 不安定化する世界の食糧需給 |
|
世界の食糧需給は、短期的な不安定さが増すとともに、中長期的にはひっ迫するおそれがある。
その背景は以下のようなものがある。 |
① |
人口が急激に増加し、また食生活が高度化するため、食糧需要が大幅に増大する。 |
② |
世界の農用地の拡大には限界があり、また、土壌劣化、砂漠化など環境問題が顕在化するなど生産面での制約が強まっている。 |
③ |
輸出する国は特定の国に偏る傾向にあり、また輸出国は食料の在庫を減少してきている。 |
|
○ 開発途上国を中心に大幅な人口増加が続いている ○
(単位:億人) |
|
1995年 |
2010年 |
2025年 |
資料:
1996年国連人口推計 |
世界全体
先進国
開発途上国
アフリカ
アジア |
57
11
45
7
34 |
69
12
57
11
42 |
80
12
68
15
48 |
○ 人為的要因による土壌劣化が進んでいる ○
|
過放牧及び不適切な農業活動による土壌劣化面積の農用地面積に対する割合 |
アジア |
ヨーロッパ |
北中米 |
南 米 |
アフリカ |
豪州 |
(資料)
UNEP「World Map of the Status of Human-induced Soil Degradation」(1990年)
FAO「Production Yearbook」 |
28 % |
19 % |
20 % |
22 % |
34 % |
19 % |
○ 砂漠化に至っている面積は毎年500万ha以上に及んでいる ○ |
合計 |
500万ha/年以上 |
(資料)
UNEP「Status of Desertfication and Implementation of the United Nation
Plan of Action to Combat Dsertification」(1991年) |
内 灌漑農地
天水農地
|
100 ~130万ha/年以上
350 ~400万ha/年以上
その他、放牧地でも多くの面積が砂漠化 |
|
|
(2) 国民が必要とする食糧の安定供給の確保
|
食料の安定供給を確保していくためには、 ① 国内農業生産 ② 輸入 ③ 備蓄 を、適切に組み合わせていくことが必要である。
○ 我が国は人口では世界の2%に過ぎないが輸入する食料では世界の農産物貿易の1割を占め、世界一の食糧輸入国である。 |
|
○ 農産物の純輸入額 ○ 億ドル 1994年 |
日本 |
ドイツ |
ロシア |
イタリア |
イギリス |
(資料)FAO「Trade Yearbook」
(注) 純輸入額=輸入額ー輸出額 |
361 |
161 |
97 |
95 |
93 |
|
|
A 〔国内農業生産を基本として位置付けるべきであるとの意見〕 |
① |
輸入依存が更に高まると、食糧供給構造の危険度が高まる |
②
|
食料輸入を拡大すると、発展途上国の食料調達を更に困難にする。自国の資源を最大限に活用することが必要であり、これは地球社会の中での責務である。 |
③
|
農業を適切に維持することにより、国土・環境保全等の機能が発揮されて、国土保全の公益的・多面的機能を十分に果たすことができる。このためにも国内生産を維持すべきだ。 |
④
|
今後、わが国の経済収支が黒字が減少した場合には、また、食料輸出国が国内で供給不足になった場合、日本への輸入が確保されるとは限らない。
備蓄は輸入の短期的な変動に備える措置であるが、品質やコスト面に限界。 |
農業生産投入財価格等の比較 |
資料:農林水産省調べほか |
|
日 本 |
米 国 |
農地価格(千円/10a) 1995 |
1,690 (106倍) |
16 |
農地面積(ha)/戸 1995 |
1.5 (1/127) |
189.8 |
製造業労賃(円/時間) 1995 |
2,208 (1.9倍) |
1,164 |
農薬(NAC剤)(円/kg) 1996 |
1,447 (1.3倍) |
1,099 |
電気料金(円/kwh) 1995 |
17.0 (3.4倍) |
5.0 |
B 〔国内農業生産と同様に輸入の役割も重要であるとの意見〕 |
① |
日本の農産物は生産コスト高い。これを拡大すると国民の負担が増大する。 |
② |
国際協調の時代である。輸入先の多元化等食糧外交によって輸入を確保すべきである。 |
|
A 〔食糧自給率を政策目標とすべきであるとの意見〕 |
① |
「コストを下げながら国内で・」の意見、世論調査結果の8割
「コストを下げながら国内で・」の意見、世論調査結果の8割 |
資料:総理府「食料・農業・農村の役割に関する調査」 |
外国産より高くても生産コストを下げながら国内でつくる方がよい |
H8.9 |
将来の我が国食糧事情について不安がある |
71% |
|
|
② |
政策目標とすることについて国民合意得やすい。(わかりやすい指標) |
B 〔食糧自給率を政策目標とすべきでないとの意見〕 |
① |
自給率を政策目標とするには行政が国民の食生活に積極的に介入・コントロールしなくてはならず困難。 |
② |
自給率は食生活の内容によって大きく変わるもので、国内生産力を示す客観的な指標ではない。国民に安心感をもたらすためにはむしろ食糧供給力の維持が必要。 |
|
(4) 食糧供給力の維持・確保 |
|
国民が安心して暮らすことのできるようにするために、将来、我が国が食料を安定的に輸入することが困難となるような事態が生じた場合でも、国民にとって最低限必要な栄養を供給できるようにしておく必要がある。このため、農業生産基盤(農地、水、担い手、技術等)の確保が必要である。 |
|
○ 将来我が国の食糧事情に不安があるという人が7割以上を占める ○ |
|
まったく不安はない |
あまり不安はない |
分からない |
ある程度不安がある |
非常に不安がある |
資料: 平成8年9月
総理府「食料・農業・農村の役割に関する世論調査」 |
% |
3.1% |
23.1% |
3.3% |
53.2% |
17.3% |
|
○ |
食糧需要が逼迫して安定した輸入が困難となるような事態が生じても、最低限必要な栄養を国内で供給できるような生産基盤(農地、水、担い手、技術等)の確保が必要である。 |
○ |
安定した輸入が困難になるなどの事態に対処し、最低限必要な栄養水準の確保を優先して、体制作り・・・
◇ |
農業生産への迅速・的確な転換に必要な農地総量を明確化する |
◇ |
国民に対する適正な価格での公平な供給のための体制を検討 |
|
|
|
○ 我が国の総農地面積は主要国と比較して少ない ○ |
|
アメリカ |
E.U |
フランス |
イギリス |
ドイツ |
日本 |
資料:EUROSTAT「RAPID REPORTS 1995.12」ほか
注:
1.日本の一戸当たり農用地面積は「耕地及び作付け面積統計」の耕地面積を農家戸数で除したもの。
2. アメリカは1995年、EUおよびEU諸国は1993年の数値。
|
農用地面積(万ha) |
39,255 |
12,845 |
2,811 |
1,638 |
1,702 |
504 |
同 (倍) |
78 |
25 |
6 |
3 |
3 |
1 |
農家一戸当たり農用地面積(ha) |
189.8 |
16.4 |
35.1 |
67.3 |
28.1 |
1.5 |
農家一戸当たり日本と比較(倍) |
127倍 |
11 |
23 |
45 |
19 |
1 |
|
|
(5) 安全・良質な食糧供給と的確な情報提供 ・・・ 食糧の相当部分が破棄されその割合が高まる。栄養のバランスが崩れてきている。
|
量の確保とともに、安全性、品質・鮮度といった質の面を含めた食料の安全供給が求められている。このような国民のニーズに的確に応えられるような供給側の各段階において、より安全で良質な食料を供給するための努力が必要である。
また、国民が適切な商品選択を行うことができるよう、規格・表示など的確な情報提供を行っていく必要がある。 |
|
○ 国民は食料について質の面を含めた安定的な供給を求めている ○ |
|
そう思う |
どちらともいえない |
わからない |
そうは思わない |
資料:
総理府「食料・農業・農村の役割に関する世論調査」 |
栄養のバランスがとれている |
68.5 |
13.0 |
2.4 |
16.0 |
品質や鮮度の良い食品をとっている |
83.7 |
8.9 |
2.3 |
5.2 |
有害物質のない安全な食品をとっている |
55.5 |
22.6 |
6.1 |
15.9 |
|
|
|
|
○ |
適正価格で供給するために、一層の合理化・効率化 |
○ |
原料農産物の内外格差を縮小 |
○ |
国産原料の価格適性化、品質面での安定的供給 |
○ |
内外格差の縮小を踏まえつつ、農業者の経営の安定 |
食料品の内外格差 (平成8年11月)
|
価 格 比 (東京=100) |
資料:農林水産省「東京および海外主要5都市における食料品の小売価格」
為替レート:113.29円/米ドル、190.72円/英ポンド、22.38円/仏フラン、75.02円/独マルク、89.09円/スイスフラン |
|
ニューヨーク |
ロンドン |
パリ |
ハンブルグ |
ジュネーブ |
平均 |
80 |
79 |
86 |
76 |
102 |
|
☆ 次世代にむけた農業構造の変革
|
我が国の農業の構造を見ると、零細経営が多くを占めている。特に稲作などの土地利用型農業において経営規模の拡大が進んでいない。
農業者のうち「昭和一桁世代」が4割を占めるが、そのリタイアする時期がちかずきつつある。これを契機に、農業構造の変革を進めていくことが必要である。 |
|
○ 経営規模の拡大は進んでいない ○ |
農家一戸当たりの平均経営規模 |
|
昭和50年 |
昭和60年 |
平成2年 |
平成7年 |
資料:
農林水産省「農林業センサス」、「農家経済調査」 |
全国(ha) |
0.97 |
1.05 |
1.14 |
1.20 |
北海道(ha) |
6.76 |
9.28 |
10.81 |
12.64 |
都府県(ha) |
0.80 |
0.83 |
0.89 |
0.92 |
|
|
(1) 農業構造の変革と生産性の向上
|
効率的な経営体は自立の精神と優れた経営感覚を持っている。このような経営が地域農業の中心を担うよう農業構造の変革を加速すべきである。
このため、経営感覚に優れた意欲のある農業者(認定農業者数の増加)に施策を集中すべきである。これによって規模拡大等による生産性の向上や高付加価値化を進める必要がある。
また、農地の流動化、農業基盤整備、技術開発の施策について、構造の改革と結びつけ重点化していくべきである。 |
|
○ 農業外部からの就業も出てきている ○ |
|
37年 |
40年 |
45年 |
50年 |
55年 |
60年 |
H2年 |
7年 |
資料:
農林水産省「農業構造動態調査」、「農林業センサス」、全国農業会議所調べほか |
新規学卒就業者(農業が主) (千人) |
79.1 |
68.0 |
36.9 |
9.9 |
7.0 |
4.8 |
1.8 |
1.8 |
新規学卒就業者(他産業が主)(千人) |
- |
- |
- |
- |
32.5 |
25.0 |
23.2 |
19.0 |
Uターン就業者(39才以下) (千人) |
- |
- |
- |
- |
26.7 |
15.7 |
2.5 |
5.8 |
新規就農ガイドセンター等 (人)
相談者数
就農者総数 |
-
- |
-
- |
-
- |
-
- |
-
- |
-
- |
754
92 |
2,474
311 |
都道府県農業大学校への入校者数(人)
うち 非農家出身 |
-
- |
-
- |
-
- |
-
- |
-
- |
1,942
156 |
1,986
319 |
2,342
524 |
|
|
ア |
自立の精神とすぐれた経営感覚を持った効率的な経営体が中心となるよう、農業構造の変革を加速 |
イ |
経営の複合化、高収益作物の導入、高付加価値化、多角化によって自立的な農業経営確立。基盤整備、技術開発などによる生産コスト低減・高付加価値化
|
|
(2) 意欲ある多彩な担い手の確保・育成
|
意欲ある多彩な担い手の確保・育成のため、 ① 農家の後継者の育成 ② 農業経営の法人化 ③ 農業以外の分野からの新規参入などを進めるべきである。 |
|
○ 経営の効率化のための法人経営が増加している ○ 平成7年 |
|
合計 |
果樹・花卉
|
花卉 |
畜 産
|
養豚・養鶏 |
資料:
農林水産省「農林業センサス」 |
法人 計 |
4,986 |
611 |
357 |
2,726 |
1,737 |
うち 農業組合法人
株式会社
有限会社 |
1,529
951
2,073 |
233
120
223 |
71
103
165 |
625
632
1,247 |
300
546
813 |
任意組合・その他 |
1,453 |
170 |
54 |
138 |
39 |
経営組織計 |
6,439 |
781 |
411 |
2,864 |
1,776 |
|
|
女性は農業者の6割を占めており、その地位を明確化し、向上させる必要がある。高齢者も担い手としてその経験を生かした活動ができるようにすべきである。
○ 農業者のうち、女性は6割を占めている ○ (平成7年) |
区分 |
計(万人) |
15~29歳
|
30~39歳
|
40~49歳
|
50~59歳
|
60~歳
|
65歳~ |
資料:
農林水産省「農林業センサス」
注:
農業就業人口は、販売農家ベースである。 |
農業就業人口 ①
うち女性 ② |
414
237 |
21
9 |
29
20 |
46
29 |
69
47 |
248
132 |
180
92 |
割合 ②/① (%) |
57.3 |
44.5 |
69.4 |
62.4 |
67.3 |
53.2 |
50.9 |
|
|
|
|
ア |
経営の法人化・・外部からの就農、農作業の受委託事業体、第三セクタ等 |
イ |
男女共同参画社会形成:家族経営協定の活用により女性の地位向上と明確化したり高齢者も担い手として考え、各種の施策を・・ |
|
(3) 農地制度のあり方 ・・・・ 農地は一貫して減少しているが、食料供給のため優良農地を確保していくことが必要である。
このために、農地の公共性についての認識を徹底すべきである。
|
○ 農地面積は一貫して減少している ○ |
|
昭和40年 |
50年 |
60年 |
平成2年 |
8年 |
資料:
農林水産省「耕地及び作付け面積統計」 |
農地面積 (万ha) |
600 |
557 |
538 |
524 |
499 |
農地かい廃面積 (万ha) |
7.0 |
8.9 |
3.6 |
4.7 |
4.8 |
|
|
ア |
農地は単なる資産ではなく公共性の高い財であるとの認識の徹底が必要 |
イ |
土地利用型農業、株式会社の農地の権利取得について賛否両論、農地の投機的取得の防止を検討しつつ将来の農業構造を展望しつつ、農業生産法人制度の在り方を検討 |
農地に関する権利の移転・設定については、投機目的などによる農地の権利取得を排除し、農地の有効利用を図る観点から、農地法により規制されている。株式会社による農地の権利取得は認められていない。
株式会社に野市の権利取得を認めるか否かについては、賛否両論があり、引き続き検討を行う。 |
A 〔株式会社の農地の権利取得を認めるべきであるとの意見〕 |
① |
農業以外から様々な経営能力(情報力、技術開発力、マーケッティング・ノウハウ等)を持つ株式会社が農業に参入することで農業全体が活性化する |
② |
農業生産法人が、株式会社となることにより、規模拡大や加工・流通分野への進出のための資金調達が容易となる。 |
③ |
すでに、現在、畜産・施設園芸部門で株式会社が参入し活躍している。土地利用型農業においてのみ株式会社の参入を認めないのはおかしい。 |
④ |
土地利用制度充実、農地転用規制の強化による、農地の投機的取得や無秩序な転用の防止が可能である。上記の参入の規制は適切ではない。 |
B 〔株式会社の農地の権利取得を認めるべきでないとの意見〕 |
① |
現在の状況下では、不耕作や転用を目的とする投機的な農地の取得を、完全に排除できない。無秩序な農地転用につながりかねない。 |
②
|
土地利用型農業の収益性を踏まえると、資本の集合体である株式会社では収益の出ないときには、採算性の問題から事業から撤廃し、農地荒廃につながる。 |
③ |
農業は水管理、土地利用などの面で地域の集団的な活動により成り立っている。株式会社の参入は地域社会の繋がりを乱すおそれがある。 |
④ |
自然相手の農業は、家族経営が基本であり今後もこれを崩すべきではない。 |
|
|
☆ 市場原理の活用と経営の安定 |
(1) 価格政策における市場原理の一層の活用 |
国民生活の安定を図る上で特に重要な品目について、価格安定の措置が講じられてきており、これは国民の家計を安定させ農業経営を安定させてきた。
しかし、問題は・・・ |
|
ア |
需要の動向が生産者に的確に伝わりにくい。 |
イ |
零細企業も含めて、すべての農業者に効果が及ぶので、農業構造の改善につながらない。 |
ウ |
内外格差の是正につながらず、製品半製品の輸入増加、食品産業の空洞化となって、ひいては国産農産物の需要の減少。 |
|
(2) 意欲ある農業者に対する経営安定対策の在り方 |
|
このため、価格政策において「市場原理を一層活用することが必要である。これによって、価格が需給や国民のニーズを反映するシグナルとしての機能を十分に発揮しうるようになる。 |
需給事情によって価格の変動幅を大きくすることは、大きな価格低落では、
大規模な意欲ある農業者の経営が大きな打撃を受ける。 |
|
作目別の生産・流通事情に応じた経営安定措置の導入 |
中・長期的には個々の作目ごとではなく経営全体をとらえた安定策を・・・ |
|
○ 主要農産物ごとに価格安定制度が設けられている ○ |
類 型 |
対象農産物 |
制度の概要 |
最低価格保証制度 |
麦類
甘しょ、馬鈴薯
てん菜、さとうきび |
市場価格が一定の最低価格水準を下回る場合に政府が買い入れることなどにより最低価格を保証する。 |
安定帯価格制度 |
豚肉、牛肉
繭、生糸(廃止予定) |
農畜産業振興事業団の売買操作や生産者団体の調整保管などにより、一定の価格を安定指標価格の一定市場価格を安定させる。 |
安定指標価格制度 |
指定乳製品 |
農畜産業振興事業団の売買操作や生産者団体の調整保管により、市場価格を安定指標価格の一定幅に収れんさせる。 |
交付金制度 |
加工原料乳 |
保証価格とメーカー支払い可能価格との差額を交付金として不足払いする。 |
大豆、なたね |
基準価格と標準販売価格との差額を交付金として不足払いする。 |
肉用子牛 |
指定肉用子牛の平均売買価格が保証基準価格を下回った場合に生産者補給金を交付する。 |
需要・価格安定制度 |
米 |
全体需給のバランスを確保するため、計画に基づく生産調整、備蓄、調整保管、安定流通の実施を行い、米全体の価格安定を図る。 |
|
|
(3) 米対策のあり方 ・・・・・・・ 米の過剰基調とその他の作物の自給率の低さが同時並行的に存在 |
水田の
公益的な機能 |
→ |
○ 稲作は、米の生産基盤 |
|
◇ 当面して、米の生産調整 ・・・ 実施しながら・・ |
○ 国土・環境保全 |
○ 水資源の涵養 |
他作物への転換進める・・・ |
各地区において適地適作の観点を踏まえて、地域農業の在り方を積極的に再構築。 |
意欲ある農業者が大きな打撃をうける事態を避けるために・・・
政策方向に沿って、農業者の参加と一定の負担の下に経営の安定を図る措置を講じる必要がある。 |
|
|
(4) 農産物についての内外較差の縮小への対応策 |
|
我が国の農産物については、諸外国と比べ無いが格差が生じている。これは経営規模が小さいこと、地価、資材料、人件費が高いことなどのコスト要因による。
しかしながら、内外格差の拡大により、食料の製品輸入の増加や食品産業の海外進出に伴う空洞化が生じ、結果として国産農産物の販路を狭めてjきたという問題がある。
米以外の農産物についても意欲のある農業者の経営の安定を図りながら内外格差を縮小していく必要がある。 |
|
○ 消費者価格で比較すると食料品価格は諸外国に比べ2割程度高い ○ H8.11.調査 |
価 格 比 (東京=100) |
|
ニューヨーク |
ロンドン |
パ リ |
ハンブルグ |
ジュネーブ |
資料:
農林水産省「東京及び海外主要5都市における食料品の小売り価格差」
注:
為替レートは、1ドル=113.29円、1ポンド=190.27円、1仏フラン=22.38円、1マルク=75.02円、1スイスフラン=89.09円 |
食料品(調査品目平均) |
80 |
79 |
86 |
76 |
102 |
米 |
40 |
79 |
126 |
103 |
82 |
食パン |
96 |
52 |
123 |
74 |
127 |
豚肉(肩肉) |
73 |
103 |
65 |
46 |
125 |
砂 糖 |
71 |
71 |
99 |
69 |
61 |
|
農業振興を阻むもの |
◇ 粗放的な栽培や大規模経営の諸外国に比較して、
日本の農業は生産コストが高くなる |
◇ 円高による経営の不利 |
|
○ 農産物の内外格差には様々な要因がある ○ |
|
日本 |
米国 |
日本/米国 |
資料:
農林水産省調べ(1995年) |
農地条件
農家一戸当たり農地面積(ha)
農地価格 (千円/10a) |
1.5
1,697 |
189.8
15.0 |
1/127
113倍 |
製造業賃金 (円/h) |
2,206 |
1,233 |
1.8倍 |
生産資材価格 (硫安・円/t) |
33,650 |
20,650~18,020 |
1.6~1.9倍 |
電気料金 (円/kwh) |
17.4 |
4.4 |
4.0倍 |
ガソリン価格 (円/リットル) |
108.1 |
28.5 |
3.8倍 |
|
|
☆ 中山間地域等の振興
中山間地域には、我が国の食料の供給に加え、国土・環境の保全や水資源のかん養等重要な役割を果たしている。
中山間地域においては、規模拡大による生産性の向上には限界があるため、平地地域とは異なった施策の検討が必要である。 |
☆ 中山間地域の主要指標 ☆
|
全 国 ① |
中山間地 ② |
②/① |
資料:
農林水産省「農林業センサス」,「耕地及び作付け面積統計」、「生産農業所得統計」、国土地理院「全国都道府県市町村別面積調」、総務庁「国勢調査」 |
総面積 (平成4年) |
3,713 万ha |
2,527 万ha |
68 % |
総人口 (平成7年) |
12,557万人 |
1,747万人 |
14 % |
耕地面積 (平成7年) |
504 万ha |
209 万ha |
41 % |
総農家数 (平成7年) |
344 万戸 |
146 万戸 |
42 % |
農家粗生産額 (平成7年) |
105,846億円 |
38,914億円 |
37 % |
人口自然減市町村 (平成7年) |
1,915 |
1.412 |
74 % |
耕作放棄地率(平成7年) % |
3.8 % |
5.2 % |
- |
|
☆ 生活環境施設整備状況 ☆ (平成8年) |
|
農 村 |
中都市 |
大都市 |
資料:自治省「公共施設整備状況調」 (平成8年3月末現在) |
汚水処理施設普及率 % |
17 |
59 |
95 |
道路 改良率 % |
45 |
56 |
64 |
道路 舗装率 % |
64 |
81 |
86 |
|
|
(1) 立地条件を生かした特色ある農林業の展開 ・・・・・ 多様な立地条件を活かした特色ある農業を展開し、付加価値の高い農業生産を目指す
○ 多品目少量生産の展開
○ 特産物の導入
○ 農業以外の分野を含めた多彩で複合的な活動
(加工・流通分野への進出・グリーンツーリズム・都市と農村の交流)
EUで実施の条件不利地対策=直接所得保障措置 |
内 容 |
地域指定区分 |
① 山岳地域 ② その他条件不利地域 ③特別ハンディキャップ地域 |
対 象 農 家 |
保有農用地3ha(一部2ha)以上、
5年以上農業継続 1.4家畜単位/ha上限 |
助 成 単 価 |
20.3ECU(約2,500円)~121.5ECU (約15,000円)/家畜単位またはha |
EUの補助率 |
原則25%(最大65%まで引き上げ) |
実 績 |
総支給額 1994
受給農家数 1994
一戸あたり支給額 1994 |
1,701 億円
105 万戸
16万円 |
○ EU型の直接所得保障措置を導入すべきか ○ |
意 見 |
導 入 に 積 極 的 |
導 入 に 消 極 的 |
理由 |
① |
農業生産活動を維持するためには、傾斜地が多い等の生産条件の不利を補うことが必要である。 |
我が国はヨーロッパとは異なっていて規模拡大が進んでいない。零細な農業構造の温存や意欲の減退などの問題が生じない施策でなければならない。 |
② |
農業活動により国土・環境保全等経済外的な価値が生み出されている。 |
農業者のみの助成することについては、地域住民が納得できる合理的な理由が必要である。 |
③ |
地域社会の維持のためには産業振興、生活環境整備だけではなく、より直接的な所得確保が必要である。 |
助成の対象地域、対象者の範囲などを明確にしなければ国民の理解を売ることはできない。 |
|
|
(2) 食糧供給、国土保全等の観点からの施策のあり方
ア 過疎化・高齢化進行・・・集落機能の低下が今後の問題
イ 耕作放棄地の増加・・・・地域資源の維持管理困難
ウ 中山間地等の条件不利地において、農業者の収入機会を確保
A 〔直接所得保障措置の導入に積極的な意見〕
① |
傾斜地・農地狭小・農地分散などの不利・・・生産活動維持のためこれを補う |
② |
中山間地の貢献(農地のもつ経済外的な価値を、多くの国民が享受)に、支援 |
③ |
農業収益性低い、兼業機会に恵まれない・・・産業振興、生活環境整備のみではなく、定住を確保する観点から直接的な所得確保 |
|
☆ 農 業 関 係 主 要 指 標 ☆
|
|
昭和35年 |
平成9年 |
生 産 |
国内総生産(名目) 兆円
内 農業 兆円
(農業のシェア) % |
16.7
1.5
(9.0) |
* 488.5(H7)
* 6.8(H7)
(*1.4) H7 |
人 口 |
農業就業人口 万人
総就業人口に占める割合 %
65歳以上人口の割合 % |
1,196
27
*12(昭43) |
** 321(H8)
** 5(H8)
** 41(H8) |
戸 数 |
農家戸数 万戸
専業農家のシェア %
第Ⅰ種兼業農家 %
第Ⅱ種兼業農家 % |
606
34
34
32 |
334
17
16
67 |
耕地面積 万ha
一戸当たり経営耕地面積(全国) ha |
607
0.9 |
495
1.5 |
水稲10a当たり労働時間・平均年収 |
173時間・371kg |
**38時間・502kg |
輸 入 |
農産物輸入額 億ドル
為替レート 円/ドル |
9
360 |
* 393(H7)
** 112.7(H8) |
予 算 |
農林水産関係 億円
割合(一般会計にしめる%) |
1,319
8.4 |
35,922
4.6 |
① |
ヨーロッパはすでに規模拡大が進んでいる。日本では零細な農業構造温存、農業者の生産意欲を失わせる。 |
② |
多様な住民から成る地域社会、農業者のみに助成は合理的な理由がないと国民の理解を得られない。 |
③ |
作目・土地利用の点でヨーロッパほどに地域差がないので、助成の対象者・対象地の範囲を明確にしないと国民の理解が得られない。 |
|
|
☆ 農村地域の活力の増進 |
(1) 農村の公益的・多面的機能の発揮・・・ 農村は、国土・環境の保全、水資源のかん養、自然・景観のの提供等公益的な木野が発揮される場である。
このような機能は広く国民が享受するものであり、美しい農村空間は国民共有の財産として位置づけられる。
○ 農業・農村は多面的・公益的な機能を有している ○ |
1 |
農産物の供給 |
農産物供給 |
|
2 |
生活・就業の場の確保 |
農業就業による所得の確保 |
|
住宅地の供給 |
静かな環境、ゆったりとした居住空間の提供 |
施設等用地の供給 |
工場、事務所、レクレーション施設用地の供給 |
3 |
国土の保全 |
浸食防止 |
土壌浸食防止、土砂流失防止、風食防止等 |
自然災害防止 |
山崩れ防止、洪水の防止等 |
4 |
水資源の涵養 |
水の貯蔵、水量調整、水質浄化 |
5 |
自然環境の保全・形成 |
自然景観 |
|
気象緩和 |
気温緩和、地温緩和、温度調節 |
大気浄化 |
CO2吸収、O2供給、塵芥浄化等 |
野生動植物の保護 |
|
6 |
自然・文化資源の提供 |
自然学習 |
自然探求、体験学習(観光農園)、農山村留学、情操等の涵養 |
レクレーション |
スポーツ活動、行楽、健康維持増進、地域交流の場 |
農村の景観 |
|
文化 |
伝統文化の保存の場 |
|
○ 水田は土砂崩壊を防止する機能を有している ○ |
水田の耕作放棄と土砂災害発生確率との関係(新潟県牧村) |
耕作放棄以前 |
耕作放棄率50%未満 |
耕作放棄率50%以上 |
資料:農林水産省「土砂災害抑制機能調査」平成6年
注: 土砂災害の発生確率とは、地滑りが発生しやすい一定面積の地域(5~10ha)で
100年間に土砂災害が発生する回数である。 |
0.56 % |
1.62 % |
2.03 % |
|
UNESCO(国連教育科学文化機関)の世界遺産条約にあるように |
公益的・多面的機能は広く国民が享受するものであり、美しい農村空間は
国民共有の財産、心のよりどころとして位置づけ、保全保護されるべき時代に来たといえよう。 |
○ |
食糧供給の場 |
○ |
多数の国民の居住の場 |
○ |
適切な農林業生産活動を通じて国土・環境の保全、水資源の涵養、 |
○ |
自然景観の提供 |
○ |
地域特有の文化や伝統をはぐくむ場 |
○ |
青少年の自然とのふれあいによる教育の場 |
○ |
良好な余暇・生活空間の場 |
|
|
(2) 農村地域の活性化と魅力ある「むらづくり」・・・・ 農村地域の活性化を図っていくため、農林業を含む多様な産業の振興や生活環境の整備促進等が重要である。
この場合、中小都市と周辺農村の連携・機能分担や総合的・計画的な土地利用を図ることが重要である。また、農村住民と都市住民の交流の条件整備が必要である。
○ 農村地域の生活基盤整備は立ち後れている ○ 平成8年3月末現在 |
|
道路改良率 |
道路舗装率 |
屎尿処理率 |
ゴミ収集率 |
上下水等普及率 |
汚水処理施設普及率 |
資料:自治省「公共施設整備状況調」(平成8年3月末現在)
中都市とは、特別区、政令指定都市を除く人口10万人以上の市を指す。 |
大都市 |
64.0 |
85.8 |
99.3 |
100 |
99.2 |
94.7 |
中都市 |
56.3 |
81.1 |
99.1 |
98.9 |
98.1 |
58.8 |
町 村 |
44.5 |
63.6 |
92.9 |
79.6 |
89.4 |
17.0 |
|
☆ これからの目途 ☆
地域の活性化 |
|
○ 多様な産業活動による経済的な活力向上
○ 地域の風土・文化的個性や独自性生かした魅力ある村づくり |
快適な居住環境の整備 |
|
☆ 施 策 ☆ |
◇ |
生産・生活面に・・高度情報通信技術の活用とそのための条件整備 |
◇ |
高齢者の生きがいの場づくり |
◇ |
中小都市と周辺農村との連携により機能分担して圏域全体として発展 |
◇ |
計画的な土地利用・都市住民も参加した地域資源の管理 |
|
|
☆ 環境と調和する持続的な生産の推進 |
(1) 農業の公益的機能の発揮
|
○ 農地は公益的機能を果たしている ○ |
機 能 |
便 益 |
評価額(億円) |
資料:三菱総合研究所による試算(平成6年)
(代替法) |
水田 |
畑 |
計 |
1 |
洪水防止機能 |
洪水被害の軽減 |
19,527 |
3,881 |
23,408 |
2 |
水資源かん養機能 |
河川流況の安定化及び安価な地下水供給 |
7,398 |
236 |
7,634 |
3 |
土壌浸食・土砂崩壊防止機能 |
土壌浸食や土砂崩壊による被害の軽減 |
472 |
55 |
527 |
4 |
土壌浄化機能 |
食物残渣等の廃棄物処理費用の軽減 |
45 |
37 |
82 |
5 |
農村景観・保健休養機能 |
都市住民訪問による価値 |
17,116 |
14,581 |
31,697 |
6 |
大気浄化機能 |
大気汚染ガスを吸収し大気を浄化 |
1,717 |
1,465 |
3,182 |
合 計 |
46,275 |
20,225 |
66,530 |
|
農業は環境と最も調和し得る産業
である。
土・水・生物などの物質循環の上に成り立つ産業
今後の農政のあり方について
農業の有する国土・環境保全等の機能について
① 適性に評価し国民の理解を求めて行く
② 政策の構築に当たってこれを十分に踏まえる |
|
|
(2) 環境に対する負荷の軽減 ・・・・・・ 「負荷」とは・・・ |
○ 農業全体を環境保全型農業に移行させる必要がある ○ |
|
取り組み内容 |
環境保全型農業 |
|
施肥量を節減 |
農薬の施用量を節減 |
有機物のリサイクル |
合理的な輪作・土地利用 |
有機農業 |
化学肥料と農薬を使わない |
|
[負荷の要因] |
|
地下水汚染の課題 |
◇ |
化学肥料や農薬の不適切な使用 農業用水汚濁 |
○ |
農業と環境との調和をはかるための技術開発 |
◇ |
家畜糞尿の不適切な処理 河川・湖沼の富栄養化 |
○ |
糞尿・食品残さ・・・堆肥化の促進と農業上の利用 |
○ |
草地資源の有効かつ循環的に利用・・・資料の国内生産拡大 |
|
☆ 食糧・農業分野における主体的・積極的な国際貢献について |
「世界食料サミット」が、 1997年11月 に開かれた。
この時に、
○ 世界の食糧安全保障の達成 ○ 2015年までの栄養不足・人口の半減 が、重要な協議の課題となった。
現在、世界では8億4千万人の人々が栄養不足に苦しんでいる。これを早急に減少させ、飢餓、貧困問題の解決に向けて努力することが国際的な課題となっている。 |
○ 栄養不足人口 ○ 1990/92年 |
|
中南米・カリブ |
南アジア |
東アジア |
近東・北アフリカ |
サブサハラ・アフリカ |
資料:FAO「第6回世界食糧調査」 |
人口(百万人 |
64 |
255 |
269 |
37 |
215 |
% |
15 |
22 |
16 |
12 |
43 |
|
世界の食糧の安定的な確保・供給だけでなく、我が国の食料安全保障にもつながるものとして、技術協力、資金協力及び食糧援助を積極的に推進していくべきである。 |
食料・農業分野での 国際貢献の重要性が、再認識された。 |
|
さらに、開発途上国の農業生産の拡大や栄養不足人口の解消 のために
○ 技術協力 ○
○ 資金協力 ○
○ 食料援助 ○ が、具体化に向けて協議された。 |
○ 世界食糧安全保障のためのローマ宣言 ○ (1999年11月)
我々は、世界の食糧安全保障(food security for all) の達成と、全ての国で飢餓の撲滅のために努力を継続し、まず2015年までに栄養不足人口を現在の水準の半分に削減することを目指すとの政治的意思と各国及び共通の誓約について宣誓する。
|
|