第五巻:夜明けのブギーポップ

君はこの夜に取り返しがつかないことはないと思うかい?つらい過去も、どうにかして精算することができると思うだろうか。それとも過去は、触れることのできない暗部でどうしようもないかな?昔に起きたことはその後の全てを決めて変えることはかなわないのだろうか?・・・・・・・・・・これは僕、ブギーポップの誕生に関する物語だが、ここは四人の変わり者が登場する。彼等は探偵で、人の恐怖を喰らう者で、作家で、暗殺者だ。彼等が炎の魔女を出会うときに、四人が辿る道を、あなたは取り返しのつかぬ失敗と見るか、それとも・・・・・・・・・・。ささやかで不思議な、六つの異形の視点から語られる、ブギーポップ最初の事件。

管理人談

この話はブギーポップが初めて霧間凪の前に現れたときの話を回想する形で始まる、そうブギーポップが初めて姿を現したのはまだ霧間凪が10才の頃。彼の父親、霧間誠一郎がまだ生きていた頃である、そのころ凪は原因不明の奇病にかかっており、そう長くはない命であった。しかし、入院している病院で黒田慎平という探偵と出会い、その心を動かされる。その黒田は実は統和機構の合成人間であり、凪の病気の原因がMPLSとしての覚醒の準備段階であり、このままでは凪が死ぬことを悟り、自分でも分からない動機で、統和機構の施設からある薬品を盗みだし、殺される。そんでもってその黒田を殺した統和機構の暗殺者モ・マーダーもまた、凪に心を引かれ、その隙をつかれ敵に殺される。統和機構の合成人間たちの悲しい思いがこうさくし、人と人との関係が一番よく書かれていると思われる。

 

スケアクロウ(黒田慎平)

統和機構に所属する生体ユニット。情報探索・MPLSの発見を主任務とし、社会の異端者を発見して組織に知らせることが任務。表向きは探偵。しかし霧間凪との出会いにより、統和機構を裏切った結果、モ・マーダーによって殺される。霧間には「正義の味方」になると良いさと言われたことが彼の心を微妙に動かしたようだ。

ピジョン

スケアクロウとコンビを組んでいた統和機構の生体ユニット。スケアクロウに対して恋心を抱いていて、彼を殺したモ・マーダーに復讐を果たす。

モ・マーダー(佐々木政則)

統和機構の暗殺専門の合成人間。腕に仕込まれた超振動装置で敵を殺すことが可能。スケアクロウを殺し、連続猟奇殺人事件の犯人探しの途中に霧間凪との出会い、凪に心を引かれ、その行動理念を崩され、統和機構とは関係のない行動をし、凪を助けるために敵の罠にはまり戦死する。

来生真希子

もとは普通の人間であったが、スケアクロウの持ち出してきた秘薬を体内投与し、常人では計り知れない力を手に入れる。連続猟奇殺人事件の犯人であり、霧間凪、未真和子らを狙っていた。その能力と言うべきか、性質は、人の恐怖を味わうことができるものであり、その恐怖はより精神力の強い者のものこそ好む。