第七巻:ブギーポップ・エンブリオ浸蝕

人の心の中にはひとつの卵があるという。その卵は心の中で表向きはないことになっている何者かを貯えながら育っていき、殻の中で生まれ出るその日をずっと待ち続けているのだという。それが殻を破ったとき、その可能性はこの僕、ブギーポップをも凌いで、世界を押しつぶすかもしれない。そして卵の指し示す運命はここにひとつの対決を生み出す。1人は最強で、もう1人はこれから殻を破る。だが運命の秒読みは二人が出会うその時まで刻まれ続ける。最強と稲妻、この二人は己の生きるたったひとつの道を見いだすために、多くの者を巻き込み避け得ぬ激突を迎えることになるだろう。・・・・・・・・・・・・謎のエンブリオを巡る、見えぬ糸に操られた人々の死闘の第一幕がいまあがる。

管理人談

一巻だけでもかなりの読み応えがある物語です。エンブリオと呼ばれる人の未知なる力を引き出すことのできる謎の物体を巡る戦いののですが、ブギーポップにしては全面的に戦闘を押し出した作品だと思います。高代の能力は実に良いもであるが、それを使っても倒すことのできない最強「フォルテッシモ」の余裕がなかなかにおもしろい。

 

高代 亨 (イナヅマ)

エンブリオによって能力を開花させられた豪傑。身体的にも恐ろしく強い男である。かつて榊原弦によって命を救われて以来、弦の姿にあこがれを抱くようになり、ひょんなこから知り合った凪から弦の弟子である、谷口正樹を兄弟子と仰ぐようになる。彼の能力は、相手に「線」が見えるというものであり、その線が意味することは相手の弱点。そのものの隙というものである。

穂波顕子

彼女もまたエンブリオによって少し能力を開花させられそうになった人物であるが、その能力はあの水乃星透子の能力を一時的に借りることのできた代物であった。その能力を使って彼女は1人の少年を助ける。しかしそれ以来、能力は徐々に失われていくことになり、最終的には肝心なときに使えないという事態であった。

穂波弘

本編に登場するが、特に何をしたというほの人物ではないが、最初にサイドワインだーからエンブリオを受け取った人物であり、彼を発端として、物語はすすむ。彼の場合は終始一貫してフォルテッシモと行動を共にしていたため、特に被害を被ったことはない。

フォルテッシモ

統和機構に所属するMPLS。その危険性とはあいなって、統和機構に生存を許されている「最強」の男。統和機構の中でも彼にかなう合成人間はそうはいないようであり、唯一ユージンが彼と対等に渡り合ったことがあるようである。彼の能力は空間そのものを切り裂くというのもであり、それを防ぐことは不可能である。彼の夢は戦える相手を見つけることらしい。

パール

統和機構に反抗する組織の中でも最も巨大な組織「ダイヤモンドズ」に所属する変身型合成人間。もともと統和機構に所属していたが、統和機構が「マンティコアショック」という事件が元で、返信型合成人間を見境なく処分するという噂を聞いて逃亡。ダイヤモンドズに逃げ込む。本編では高代を使って統和機構との対峙を夢見るが、フォルテッシモが現れたうえに、自身もフォルテッシモの横にいなければならなくなるという不遇の事態に陥り、窮地に追い込まれる。

本木三平(カウントダウン)

別になんと言うことのないただのくそガキ(失礼)であるが、高代の部屋に窃盗をしようとして入り込んだ所に、警察がきてしまい、逃げようと思って窓から外へでたけど、落ちて瀕死の状態になっているところを、穂波顕子のエンブリオによる能力によって一命を得るが、その時に彼もまた、エンブリオによって能力に目覚める。彼の能力「カウントダウン」は人々を不安と恐怖の底へ陥れ、自分の危険を回避するというものであり、その危険性から、ブギーポップに始末されそうになる。

谷口正樹

ご存じの通り、凪の弟的存在。今回は彼の師匠であった榊原弦がからんでくるので、結構活躍する。しかし、高代と一緒にファルテッシモと対峙したときに、空間の断裂攻撃を受けて瀕死の重傷を負う。

織畑あや

今回は特に重要な存在ではないが、怪我をして瀕死の重傷である正樹のそばを片時も離れない、一途な女の子を演じる

霧間凪

あんまり出番なし、今回は完全にサポート的存在。

サイドワインダー

統和機構を裏切った戦士。かなりの腕の持ち主だったらしい、フォルテッシモに狙われてからもエンブリオを弘に渡すまで死ななかった所を見ると、かなりの強さを持った合成人間のようである。

エンブリオ

かつて、相手に助言を与えることでその人を成功に導く能力を持った少年がいた。彼はその能力の特異性故に統和機構の暗殺者「モ・マーダー」によって殺された。そんな彼の人格というか、能力をデジタルコピーしたものがエンブリオである