それは突然始まった
入園して2ヶ月。周りもそろそろ落ち着きだした6月はじめ。
ちゃむが突然、泣き出した。
「幼稚園は嫌だ。行きたく無い。」と言う。
あまり大きな声で自己主張しない子だったので、余りの訴えの強さに戸惑う私。
幼稚園は義務では無いし、嫌がる子を無理に連れて行くのも可哀相な気もするし。
でも、今、行かなければ、ずっと行けなくなるような気もするし。
始まりは6月1日
朝、いつも通りに幼稚園に送って行き、支度を見届け、帰って来ようとする私に
ちゃむが抱きついてきた。
ちょっと甘えているのかな..と、時間まで抱いていてやるが、離れない。
担任の先生が声を掛けてくれて、そのまま先生に抱かれる感じで、置いてきた。
帰り、迎えに言った時のちゃむは普段と変わらない様子だったのに。
6月2日(土曜日)
この日は、幼稚園PTAの環境美化活動で、草取り作業があった。
幼稚園に行っても、私ははすぐに帰る訳でも無く、作業が始まるまで他のお母さんとおしゃべりしていたの。
ちゃむは、「今日は園でもお母さんと一緒にいられるらしい..」と思ったのか、私と手を繋いで一緒にいたのだ。
しか〜し、いつまでも一緒にいられる訳が無い・・・
母は草取りへ、子はお部屋へと離されてしまったのだ。
しかも、タイミングが悪かったのは、この日、大好きな担任はお休み。
園長が「何いつまでもくっついてるの」って感じで、さっと手を取り、連れて行ってしまったのだ。
ちゃむは、嫌がって泣いていたんだけど、有無を言わさぬ感じでさっさと連れて行ってしまった。
私もちょっと驚いたけど、ちゃむはもっと驚いたんだろうね。
草刈りの間、園児は隣の保育園に遊びに行っていたらしい。
戻ってきた時のちゃむは、3歳さんの手を引いて、おねえさんしていたよ。
そして月曜日(6月4日)
ついに、家で支度をする時点で泣き出した。
「おやすみしたい...」
そうかそうか。じゃぁ、お休みしよう!...な〜んてことは言える訳も無く、
「どうしていきたく無いのか、教えてくれたら、お休みしますって電話してあげる」と。
そしたら、
「みんな、いじわるするもん。あそんでくれないもん」と。
う〜ん、どうしたもんかねぇ...何かきっと、気持ちのすれ違いがあるんだろうなぁ。
とりあえず、園に電話をして、主任先生が出られたので、状況をお話すると、
「何時になってもいいから、ちゃむちゃんの気が向いたら連れてきて」と。
今日は、さつまいもの苗を植えるのだそうだ。
これを口実に誘ってみると、
園では遊ばないけど、苗を植えるのは見に行くと...チャンス!
さっそく支度をして、
(でも、見るだけだから鞄はいらないと持って行くのを拒否)
出掛けた。
車の中は明るくおしゃべりもできたんだけど、やっぱり門の前で、足が止まる。
苗植えはもう始まっていたので、畑に連れて行き、一緒にやらせてもらう。
ちゃむが来たのをみて、クラスの子たちも
「ちゃむちゃんだ〜」
「おはよう!」
と、声を掛けて、受け入れてくれる。
そうだよね、意地悪されてる訳じゃないんだよ。
でも、ちゃむは無言で苗を植え、
主任先生の「おかぁさんは、もういいですよ」の声に泣いて抱きついて来た。
「一応、今日は遊ばないで帰ると言う約束で来たので」と、断って、
帰ろうと、手洗い場へ行くと、担任の先生もいて、
他の子が洗い終える頃、ちゃむに声を掛けて、抱き上げてくれた。
「鞄は後で持って来て下さい」と。
そして、私から離れるように、連れて行ってしまった。
ちゃむはもちろん泣いてたけど、任せてしまった方がいいかなと思って、園を出て来てしまった。
何だかちゃむをだましたみたいで、スッキリしなかった。みたいじゃ無くて、だましたんだよね。見るだけで、すぐに一緒に帰るって約束して、園にいったんだもんね。
少し隠れて見ていたら、すぐに泣き止んで、先生の後を他の子と一緒について歩いていたけどね。
先生の話によると、
ちゃむは、何でも一番になりたがるらしい。一番になれないと、ちょっと嫌ってかんじで...。でも、他の子も自分がだんだん出てきて、今まで譲ってくれていたのが、しなかったり、他の子に目が行ったりして、思うようにならない事が出て来るのだそうだ。
幼稚園が社会生活の第一歩ってこういうことなんだよね。
楽しく遊ぶ事ばかりじゃなのさ。耐えて、揉まれて、大きくなって欲しいものです。
6月5日(火曜日)
園まで後2分のところで足が止まってしまったんだけど、
なんとか幼稚園までたどり着くことができた。
担任の先生にも挨拶は出来なかったけど、それでも、先生が手をとってくれると、
泣かずにお部屋へ入っていくことができたのだ。これで一安心?そして金曜日(6月8日)
またまた、”幼稚園嫌だ”が始まった。
支度はスム〜ズに出来て、「いってきます」も元気に言えて、順調に歩き出したんだけど、幼稚園手前の信号で足が止まった。
今日は、どうしても嫌だという。抱えて連れて行こうかとも思ったけど、暴れて抵抗するし、仕方が無いから、一旦家に戻って来た。
家は、いいよね。
じいちゃんばあちゃんが「どうしたの?つかれちゃったか」なんて、出迎えてくれて。10時になったら「おやつ」まで出してくれて。
でも、おやつは私が断った。このまま家がよくなったらどうするの?休んだ方が、幼稚園にいるより楽しかったらまずいじゃん!
先生から電話が来て、「できたら、泣いててもいいですから、つれてきてください」
でもね、ホントに泣くのよ。それはもう、嫌だって言うのを全身で現わして。
園に行った方がいいのはわかっているけど、こんなに嫌だって無く子を引きずって連れて行って、いい結果は出るんだろうか?
格闘の末、泣き叫ぶちゃむを車に押し込んだ。
すぐ帰るからと、ちゃむも一緒に帰るからと、抱きかかえて連れて行った。
先生はすぐに出て来て、
「ちゃむちゃん、おはよう。まってたよ」としがみつくちゃむの手を引き剥がすようにして連れて行った。もちろんちゃむは号泣。
園長曰く
「離れる時だけで、すぐに泣き止んでいるから大丈夫ですよ。
時間がかかるかも知れないけど、だんだん慣れて来ますからね。
おかあさんも辛いだろうけどね。
辛いですよ〜。泣いてる子を置いてくるのは。
しかも今日は、すぐに帰るっていって連れて行ったのに、置いて来ちゃったんだから...
ほんとにこれでよかったのかな?って言う気持ちはどんどん大きくなっていて。
あんなに泣いてて....休ませてあげればよかったのかな。
影から見ていたら、泣き止んでみんなの後を付いて走り回っていたから、先生のおっしゃる通り、別れ際だけなんだろうけど。
でも、それにしたって、我慢しているだけかも知れないし。ホントは嫌だけどって。
答えは出ないです。。。
6月11日(月曜日)
やっぱり、幼稚園には行けませんでした。
今日は、休ませてしまった。
あまりの抵抗に、私の方が負けてしまったの。
先週は、ちょっとだけ、とか、すぐ帰ってくるから、なんて言って置いてきちゃったりしたもんだから、今日は、警戒心の固まりで、車にのせるのにも大暴れ。
一応、園の駐車場まで、無理矢理連れて行ったけど、どうしても嫌だって。
「いやだ〜、やめて〜」
こんなにまでして、いかせなきゃ行けないのか..って気持ちと、
今甘やかすと、調子に乗ってずっと行けないんじゃないか...って気持ちと葛藤した挙げ句、
やっぱり無理矢理じゃダメだって思って、説得!?して。
明日から行くと言う言葉を引き出して、今日は、休む事にした。
明日になれば、素直に行けるとは思えないけど、一応、約束したから。
明日は、泣いても、暴れても連れて行くつもり。
でも、これも結構ずるい手かもしれない。追い込んでるかも....
6月12日(火曜日)
朝が憂鬱になってきた。
今日もちゃむは「幼稚園は嫌だ!」と抵抗した。
でも、約束だから。約束破ると鬼が来るよ、と。
抵抗するちゃむを車に乗せ、(昨日より、車の中での抵抗は弱いかな)幼稚園に連れて行った。
車から降りようとしない子を引き剥がして、抱きかかえて連れて行く。
余りの抵抗に抱く力を緩めたら、裸足で、門の方に走り出そうとした。
そこを、園長先生がキャッチ!そのまま、預けてきた。。。。
しばらく園の外から眺めていたら、もう泣き止んで、水鉄砲で遊び出した。
ひとりでぽつんとしているでもなく、遊べているんだからいいかな、と帰ってきた。
先生の言われる通り、別れ際だけで、後は、遊べている様子。
でも、先生は朝のあの抵抗を知らない。
幼稚園に置いて行かれたら、諦めて遊んでいるしか無いと、思っているのか。
諦めて遊んでいられるなら、それでいいのか。
頭ではきっと分かっているんだと思う。でも、気持ちがついて行かないんだよね。そう言う事って、あるよね、大人でも。
6月13日(水曜日)
朝起きた時からハイテンションで、着替えも「ひとりでするから」と手を出させないで、朝御飯も、おかわりして・・・
早々と幼稚園の支度をして、「かぁさん、おそいよ」と。
なに?なに?一体どうしたの?
いつ昨日のように泣き出すかと、はらはらしながら見ていた私は、なんだか拍子抜け。余りの機嫌のよさについ聞いてしまった。
私 「今日は幼稚園嫌じゃ無いの?」
ちゃむ「いくよ〜」
私 「きのうはなんで嫌だったの?」
ちゃむ「べつに。なんでもないけどいきたくなかったの」
私 「ふ〜ん。そうか...そう言う事もあるかもね」
ちゃむ「そうなんだよ〜」
幼稚園に着いて、昨日とはうって変わって、元気に登園するちゃむを迎えて、園長も担任も、驚き顔。
そりゃ、そうだよ。親の私でさえ、びっくりなんだもの。
付き物が落ちたみたいに
水曜以降、とても明るく元気よく幼稚園に通う、ちゃむです。
うちの中でも、なんだか逞しくなったって言うか、自己主張が強くなりました。言いたい事は、はっきり言う!みたいな...
何が、転機になったのかは、よく分からないけど、もう大丈夫でしょう...
思うに、月曜日一日、私がちゃむの抵抗に負けた形で休んだことで、自分の欲求を認めてもらえた感じなのかな、と。
6月に入って、ちょっと疲れてきて、行きたく無いな..って思っていたところへ、 無理矢理行かされて。余計にストレス貯まって、行きたく無いが倍増?
大暴れして、大泣きして、大きな声で自分を主張して、ストレスも発散できたし。
一応、母も折れて、一日休ませてくれたし、気が済んだ...ってところでしょうか?
今回の事で、ちゃむは、ひとまわり大きくなって、逞しくなりました。
こうやって、こころは成長して行くのですね。
私も、もっとおおらかに、構えていないと、子育てなんてやってられないのかも...
だけど、あたふたしちゃうんだよね〜。しょうがないね。親ばかだからサ!
私はオロオロしていただけだけど、いっぱい悩んだし、ちょっとは成長できたかしら...?
「幼稚園嫌だ!」再び
月曜日に別れ際、泣けてしまった。
火曜日以降持ち直したものの、金曜日には、また、家にいる時から「幼稚園嫌だ!」が始まった。
こちらも慣れてきたので、またなの?って、抵抗しても連れて行く。
でも、抵抗する力は、だんだん弱くなってきている。
抵抗しても連れて行かれる事が分かっているからか?
抵抗は見せ掛けだけか?
登園拒否におもうこと
今まで、おとなしくしてきたちゃむにとって、今回の登園拒否は始めての抵抗というか、自己主張だった。
今まで抑えていたものが、火山の爆発のように、一気に吹き出したような感じ。
(まだ、序の口なのかも知れないけれど...)
自己主張って大切だよね。
自己中になってはいけないけれど、自己主張しないとどんどんストレスが貯まって行くから...
行きたく無いという気持ちをストレートにぶつけてきたちゃむに対して、私のとった態度がよかったのか、悪かったのか答えはでないけれど、
気持ちを表に現わすことの大切さみたいなものは、感じてくれたのでは無いでしょうか?
それにしても、この態度の 変化。
何だか子どもに試されているような気がしてきた。
おかあさん、あなたはどこまで私の事がわかっているのですか?
どれだけ私の事を考えてくれていますか?
私の事を見ていてください。
もしかしたら、登園拒否は、そんな気持ちの現れなのでしょうか?