ブラシレス用ESC考('10/05)

黒船(TEKIN)に和船(フタバ)で挑む

 私はフタバのブラシレスESC、MC950CRのユーザーで、プロポもフタバオンリーと
フタバファンなのですが(やっぱり飛行機とかもやるのでその信頼感から)、
TEKINのブラシレス用のESC、RSはもの凄いモノらしい。
でも、もしフタバ950のログ機能にTEKIN並みのパワーが加わったら言うこと無し?
百聞は一見にしかず、TEKINを購入してフタバでもなんとかならないか
色々と試してみました。


##### ご注意 ########################
本件の内容は個人的な興味で実施したものであり、製品の善し悪し云々を
言っているものではありませんし、結果についても何ら保証するものではありません。
また、本件に関わる如何なる問題についても当方は一切関知致しません。
特にモーターの進角に関しては発熱への影響が大きく、最悪の場合
モーターが破損する恐れがあります。以上、ご理解よろしくお願いします。
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<結果のまとめ>

・TEKIN:ESCの進角設定をすると確かにモーターがもの凄くブン回ります。
 Turbo機能(回転に応じてさらに進角)を使うとなおさらです。

・フタバ:進角無しモーターではESCの設定をいくら弄っても残念ながらTEKINには
 及びませんでした。
 ただし、進角付きのモーターを使えばちゃんとTEKIN並みになります。
  実走行でどちらが優位かは不明ですが、フタバでもそこそこいける気がします。

・どちらでも同じバッテリー(LiFe)で比較した場合、540(ジョンソン)より、
 ブラシレス21.5Tの方が良くまわりパワーもあります。

・ただし、いずれも大進角側ではモーターがかなり発熱するので限界の見極めが
 難しいところです。うまく見極めればLiFe+21.5Tブラシレスで540+NiHを
 上回ることが出来るかもしれません。


以下、設定を含めて詳細結果です(長文)。


<計測方法>

ブラシレス用ESCのニュートラルブレーキを負荷に使った自作簡易モーターダイノ
ver2を使います。


負荷用に使用したESCはフタバMC950CR、回転数のログも取れるので一石二鳥です。
ver1との違いは、ver1では負荷用モーターと被計測モータを直結していましたが、
負荷側のモーターがあまりにも高速で逆転するため、ギヤダウンに変更した点です。
あとは受信機とPCでコネクターを抜き差しして切り替えるのが煩雑で、しかも
二台もPC接続のESCを使うともう頭がこんがらがるので切り替えスイッチを追加
した位です。

負荷側のモーターに取り付けたMC950のニュートラルブレーキの設定値を変えて
測りたいモータにかかる負荷を変えて回転数を計測します。
テストモーターは手持ちのSP21.5、負荷側にもブラシレス21.5Tを使います。

こんな使用方法はメーカーで認めていないので、何か問題が起きるかも
しれません。また、モーター発熱などで結果が変動しますので、
計測は1条件当たり数秒とちゃちゃっとやりました。

なお、グラフの表示はギヤ比分を考慮して修正してあります。
バッテリーはいつも参加しているJOYBOXレースに合わせてLiFeを使いました。


<TEKIN編>

ESCにはRSとRS proがありますが、サポートに聞いたところではモーターの
対応ターン数以外のプログラムなどに違いはない、ということでしたので
安い方のRSを購入しました。

RSの進角には2種類あります。
 ・Timing:基本となる進角です。
 ・Turbo :さらに回転数(と時間に)応じて進角していきます。

まずは基本となるTimingを順に上げて、さらにTurboを設定しました。
設定結果です。


ジョンソン(こちらもLiFe)での結果も示します。
Timing:40位から急に回転が上がるようになり、45、さらに50ではジョンソン
を軽く上回る結果となりました。

加えてTurbo機能を使ってみました。スロットルトリガーを握ると
ブ〜フュ〜キ〜ンと加速度的に回転が上がっていくのが体感出来ます。
スロットルワークがシビアなDDやホイールスピンを抑えたいFWDに良いかもしれませんね。

Timing:50とTiming:40+Turbo:10でどちらも合計50なので定常回転数は同じになるか
と思いましたが後者の方が何故か良くまわります。ちょっと不思議ですね。

TEKINのサイトに公開されているサンプルのセッティングシートでは
Timing:50+Turbo:10が普通の様です。Turbo機能で必要なときだけ進角アップ
ということかもしれませんが、高ターンモーターでいつも全開に近い状態で
使うとなると、これだとちょっとモーターに厳しくて結構な発熱が感じられます。

ブラシレスモーターに使われているネオジム磁石は耐熱温度を超えると
磁力を失って、温度を下げても二度と元に戻りません。死にます。

ビッグレースに出るような方ならともかく、私の様なサンデーレーサーにはもう少し
Timingを低めにして使用した方が良さそうです。


<フタバ編>

負荷用に950を使うので計測用にもう1台950が要ります。流石にそのためには
買えないので工場長にお借りしました(感謝)。

フタバMC950CRでは進角を直接設定するのではなく、LeadAngleという設定項目を
変えると進角が付くようです。
説明書によると以下となっています。

 進角=[LeadAngle]×回転数×3/1000000

(回転数に比例するということはLeadAngleは名前こそ角度ですが、
あくまで憶測ですが、角度というより時間の固定値なのかもしれません。
同じ時間だけ進めるので高回転ほど角度でみると大きくなる?
3は3極だから??)

良く判りませんが、とりあえず結果です。


う、ジョンソンに比べて回りません。周波数設定とかいじっても
あまり変わりません。

LeadAngleにも最適値があり、あまり大きくしても駄目でした。
(元々電圧が低いLiFeなので回転数が低く、思ったほど進角がつかない
ためかもしれません。LiPoでは良く回るそうなので。)
バビューンと回らないいのにLeadAngleに最適値があるというのも解せませんが。

では、モーター側に進角を付けるとどうなるんでしょうか?
SP21.5は固定進角なので、そのままでは本来モーター側の進角をいじれません。
そこで、こんなことを。


通しボルトを抜いてエンドベルをフリーにして希望の進角に設定して
クランプで固定して測ってみました。
(流石にここまでやるのは気がひけますが)


お〜、モーター側の進角を20〜25度つけてやるとLeadAngleが低めの値でも
良〜く回るようになりました。 十分、ジョンソンを上回れます、TEKIN並みです、いやそれ以上かも。
遂にやりました。

ただTEKINと同様に大進角側ではモータの発熱が気になりましたので
十分な注意が必要です。


<進角付きモーター編>

SP21.5のエンドベルに穴を空け直して大進角を付けようかとも
思いましたが、流石にレギュ上、NGです。
そんなときに朗報が。

ヨコモのブラシレス21.5TはKV値(1V当たりの回転数、ちなみにジョンソンは
2400〜2500前後に相当します)が2200と他社が1600〜1800位なのに対して高い。
標準でも進角がついているっぽい?、しかもさらに進角がつけられるそうな。

では早速購入してテストです(あ〜、散財)。


おお〜、無改造で前項でテストしたような結果が出ましたね。
これはイケル、万歳、パチパチ。
概ねLeadAngle:200位がジョンソン+αで丁度良いところでしょうか?
後は実走行させてモーター温度をみながら調整していけば良さそうです。


<フタバさんへの要望>

出来ればTEKINのようにモーターの進角無しでもそこそこ回るように
して欲しいですね。
素人考えですが、ファームウエアーのアップデートで対応出来そうなんで
有料でも良いので是非お願いしたいです。

あと、折角ログ機能があるので温度センサー&ログ機能を付けるというのはどうでしょう。
温度をみて高くなりすぎたら自動で進角制御とか、って理想かも。

ノバックのブラシレスモーターには温度センサ付きがありますよね。
(モーター側のセンサーケーブルの?番かと?番との間に温度センサー:サーミスタ?
が入っているようです)

それを外付けに出来るようにセンサーケーブルから追加で2本出して、
モーター缶に貼り付けて、ESC側で温度をセンシングして設定値以上になったら
進角を抑制するとか、やろうと思えば出来そうな気がします。

なお余談ですが、950のPC設定ソフトのダウンロードページにはPC用インターフェイス
CIU-2のドライバーも一緒に置いておいて欲しいですね。
最初なぜ繋がらないのかさっぱりわからず、MC850用のところにに置いて
あったドライバーをダウンロードしてようやく解決。ちょっと不親切では?


<補足編>

さて、これを踏まえて次戦のJOYBOXレースではこんな感じで臨もうかと思っています。

クラス
モーター  / ESC   / バッテリー

#ミニ#  
 ヨコモ21.5 /フタバ    /LiFe:レギュで指定、ギヤ比も固定なので回転数勝負です
#F103GT# 
 EPIC21.5 /LRP-SPX-SS/LIFe:NiHも選べますがギヤ比自由なのでギヤ比を上げて対応
#FWD#  
 SP21.5  /TEKIN     /LiFe:ギヤ比固定なので遅すぎる場合はNiH(固定進角ブラシレスや540なら選択可)

ミニクラスにTEKINを投入してバビューンと直線番長でも面白いかもしれませんが、
もし540勢とあまりに差がつくと規制が入るかもしれないので、おとなしい感じで
いこうかと思います。
F103GTは昨年からLiFeを使っていてギヤ比で稼いでいるので問題なしです。
FWDはNiH+540との対決になるのでTEKINを使っても厳しいかもしれません(熱的に)。

これで上手くいけば、全クラスがブラシレス+LiFeと私的には超楽ちんな
夢の組み合わせになります。
もう、NiHの充放電管理とか、何本も持ち歩くとか、540モーターの慣らしがどうとか、
メンドクサイこととは全ておさらば出来ます。本当にお気楽ラジコンの実現です。
(逆にモーターの温度管理とかLiFeの電圧管理とか、かえって難しくなるという
心配もちょっとありますが)

補足の補足
6月の掛川PCCに向けてヨコモ13.5T、カタログKV値3500も購入しました。
MC950で実測してみると概ねカタログ通りのKV値でした。
(MC950ってモーターテスターの代用も出来ても本当に便利なESCですね)

PCCのレースレギュではKV3800までなので初期値より2〜3度ほど進角すると3700位に
落ち着きました。勿論ESCの進角無しでの値です。
余裕をみてこの位に設定しておけば良いかな。
ギヤ比固定ではないので初期設定のままでも大した問題ではないのですが、
ま〜、折角なので調整してみました。


<感謝>
フタバESCを貸して頂いた工場長、ほかTOSHIさん、はいどさん色々と有難うございました。
以上、長文、最後までお付き合い頂きどうもです。