風呂は世につれ 世は風呂につれ(もうじき完成)


  ここはお風呂ならびに温泉にかかわる特別のお部屋です。日本人は世界でも珍しい風呂好きですが、我が国も経済構造の転換により、「お風呂」のあり方も、大きく替わろうとしています。
 ここでは、その歴史を振り返りながら、現在の「お風呂巡り」や温泉、銭湯関連サイトを紹介して行きます。
  なお、湯遊めぐりは、筆者が自分の足で確かめたものの報告になります。過去に「西三南だより」で順次紹介したものをベースにWeb用に再編集したものです。軌道に乗れば、週1回のペースでアップします。

定義
 温泉  地球内部の熱により温められた地下水の自然にわき出る現象が温泉である。成分に着目すれば無機物質を多量に溶かしている泉水を鉱泉と総称し,そのうち温度が比較的高いものを温泉,冷たいものを冷鉱泉と呼ぶ。
 通常天然温泉とは、温泉源から採取される温度が25度以上で、特定の含有物質を1つ以上有するもの。日本の温泉法(1948制定)では,温泉を,地中から湧出する温水,鉱水および水蒸気,その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)で,表1の温度または物質(いずれか一つ)を有するものと規定している。これによると火山ガス,火山性水蒸気,25℃未満の鉱泉も,一般常識と多少かけ離れているが,温泉とされる。(平凡社世界百科事典より)
 これからすると、我が国で使われている「温泉」という用語はずいぶんあいまいです。

以下特定の用語使用法
 かにかま  まがいものです。たとえば、準天然温泉。トロン原石やトゴール原石を入れて温泉風に仕上げているもの。
 ローリー   これは本物です。ただし、本場からタンクロータリーで運んでもってきているもの。岐阜県池田町の源湯を運んでいるのが有名です。ロリコンではありませんから、間違えないように
 健康センター方式  80年代後半に登場した、サウナをはじめ沢山の種類の風呂と演芸などの娯楽施設や休養室を備え、風呂セットも入場料に含まれ家族で過ごせる施設で大体1日時間を過ごすことができます。クアハウスも広い意味ではこの1種。
 スーパー銭湯方式  石鹸やタオル持参で通うのは従来の銭湯と同じだが、サウナや塩サウナなど沢山の風呂があり、大体500円前後で入場できる。軽食やマッサージや垢擦りなどもあるところが多い。90年代に入って爆発ヒット。
 日帰り温泉施設  言葉通りだと様々なものがあるが、ここでは古竹下センせのふる里創設のお金を使って温泉発掘に成功した町村が村人を中心にスーパー銭湯並の低料金の入場料を設定したことにより爆発的にヒット。地域的に偏りはあるものの、全国的に出現。特に信州はメッカで、冬場は村人だけでなくスキー帰りの若者で込み合うのも特徴。

最近のわが国の風呂事情〔序)

  わが国の銭湯全盛時代は昭和40年代までです。その後、自宅の風呂が主流になり多くの銭湯は廃業の憂き目になります。外の風呂はといえばその後は、風俗の○○○風呂とか。あるいは男性用のサウナなどが中心でした。一方、温泉といえば、伝統的な古風な宿に、大風呂がある温泉旅館で無礼講の宴会でという日本人のバカ騒ぎが中心でしてその流れは、古くからのお湯の町を支えてきました。湯の町なんて表現も、過去のエピソードです。今の若い者にそんなこといっても、それはスーパー銭湯か健康センターと結びつくわけがありません。たとえば愛知県の三河地方にあるA温泉について考察してみるならば、ここが湯の町として機能していたのは1970年代までです。確かに現在もここには温泉宿はありますが、いずれも大きなホテルが中心です。宿の外には、昔は遊技場やみやげや、あるいは日本舞踊ショーなどがありましたが壊滅的な打撃で今はありません。ほとんどは、中のホテルですますことができるからです。
 こういう状況は、全国的にも古くからある温泉街にもみられるようになりました。しかも、老舗の温泉宿ほど昔の権威にのっかっていくものですから、時代の流れに取り残されていくわけです。大浴場さえあれば、無礼講の団体旅行の宴会で色の変わった刺身を食べさせておけばよかったという発想があったのでしょう。かくして、熱海や伊東などの温泉街が没落するのです。その意味を本当に理解していたのかどうかは疑問です。
 1980年代半ばには健康センター方式のサウナや様々な風呂がある施設が全国的に見られるようになりました。タオル、アロハシャツ付きで2000円前後の入浴料というのが一般的でした。中で食事も宴会もリフレッシュもできるということで多目的レジャー施設として、これはけっこうヒットしたようです。家族連れが休日には見られました。
 1990年代に入ると、スーパー銭湯が愛知県だけでなく全国に広がるようになりました。これは銭湯の手軽さに多様な風呂があるという珍しさと500円前後の割安な入浴料も手伝い爆発的にヒットしました。おりしも竹下先生のふるさと創生プランで少なからぬ村が温泉発掘に成功し、各地に日帰り温泉をつくっていったことも今日の新しい「温泉ブーム」を促したことでしょう。
 かくして、風呂は世に連れ、世は風呂に連れの現代を生み出したのです。(続く)  2000・12/1