シーク教 

 
シク教制限不二一元論のラーマヌジャの思想を受け継いでいるということです。魂の思想としてはヒンズー教に属しているというべきでしょう。諸宗教の本質は一つと言いますが、制限不二一元論では個我は創造神・ブラフマンの分身ではなく一部分に過ぎないのです。 唯一なる「神」の「思」の現れの一つに過ぎないのです。宗教を、そして魂を差別しないのが一元多神教の精神です。

 シーク教はシク教というのが正しいのかもしれません。現在のシク教徒は人間としてのグル(師匠、シク教徒にとっては法主という意味合いのようです)をもっていないということです。
 グルは創始者であるナーナクから10代続きました。10代目のグル、ゴービンド・シンクが不慮の死を遂げてから、彼の遺言によって聖典、宗教詩「グラント・サーヒブ」がグルとみなされることになったということです。シク教の歴史は波瀾万丈で、一時パンジャーブ地方に王国を形成しましたが、イギリスに滅ぼされました。

 ナーナクの思想は、唯一絶対全能の創造神がマーヤ(幻力、神の神秘な力)で世界を展開しているという世界観と、業と輪廻からの解脱、神との合一など、人生の最終目標はヒンズー教と共有しています。しかし、儀礼や学問、修行の効果、偶像崇拝を否定し、カーストも否定しています。つまり、神の前で人間はすべて平等で、人間の価値はそれぞれの行いによって決まるということです。おそらく、神が与えた仕事をまじめに、正しく行うことが神の意にかなうことであり、行いの最善なものは神への信仰ということでしょう
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