ヴァ・ジャーマ 旅の記録 その9


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 一体誰が言い出したんだかもう忘れちまったが、この間は「聖セローの日」で、恋する男女がゴボウとハチミツを送るという訳のわからない日だってことだ。こんなものを素直に受け入れちまうのも、この町のいいかげんなところだよな。まあ中には「男女」じゃない組み合わせもあったようだが、おぃらにゃ関係ねぇこった。

 まあいつものように街中はお祭り騒ぎだ。「セロー」の名前を争っての異種格闘技大会も例によって行われてる。今度は「罰当たり食べ物勝負」とかで、ゴボウでシバキあい、ハチミツを塗りたくるというまったく意味のわかんねぇものだった。まあ、おぃらは例によって便乗屋台で商売させてもらったけどな。セローの形をした人形焼きモドキなんだが、「セロー」が登録商標で使用料とるっていうから、「七口一」焼き。まあ細かいことはみんな気にしちゃいねぇけどな。

 勝負の方はまったくいつも通り、みんなワイワイやってるけど決定的なヤツが出ないってことになっちまってる。もっとも本家の「セロー」の大将が帰ってきてるんだから、勝負自体になんの意味があったのかもわかんねぇ。大体セローの名前ってのはそんなに欲しいものかね。本人見てるとあんなヤツの名前は欲しくならねぇと思うが。まあこの町では結構知られたな前だけどな。

 そうそう、今度の勝負の最中には例のゴーレムマスター・ティルピッツと、暴走ゴーレムのマルチプライのヤツも来ていたな。一体何がしたかったのかはよくわからねぇが、どっちも女の服をはぎとってやがった。まあ見てるぶんには楽しかったんだが、あいつらも一体何がしたかったのやら。

 そのあとなんだが、セローの大将も騎士団のアズパールの旦那も「ネオ・リーナカウンター」を名乗る奴らにとっつかまって、塔のてっぺんの十字架にくくりつけられてやがる。祭りの後の混乱に乗じてってことだが、二人ともリーダーとしては情けねぇったらありゃしないね。塔を占拠した奴らがいうには、各階に配置したドッチボールのコートに待ち受ける番人を倒し、塔を占拠した者に明け渡すってことだが・・・。占拠した時点で明け渡す必要なん既にねぇと思うのはおぃらだけかな?


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