帝都双月八犬伝:要約


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舞台ナンバー0015(お色気モード)


 
第1回「妖婦と聖女」
担当:吉岡邦恵マスター

 元治元年、京の廓の花魁と近江の農村の隠れ切支丹の娘が「ミカド」候補の「蓮」と「刀」の「姫」として選ばれた。京都御所で彼女らを補佐する「八犬士」とも引き合わされ、世間を騒がす事件を解決してよりよい成績を収めた方が次代のミカドとなるのだ。

 現在のミカド孝明帝から、目標となる13人の日本を騒がす人物も示された。孝明帝はミカドが再び表に立つべき日が来るのを感じ、姫たちに強くなるよう求めた。そして彼らの監視と補佐にはチュダイ達と八曜丸という霊犬、それに岩倉具視がつくことになった。

 その日は御所内で過ごし、各人の親交を深めたりしていよいよ世直し道中にでることとなる。そして「刀」の姫と「蓮」の女性犬士の一人がよくわからないままに花街の「女郎蜘蛛」を退治に出かけたが、あまりに不用意な彼女たちはあっさり捕らえられてしまう。そして半玉として「余興」にお座敷で体の痒くなる液体を掛けられ、客に孫の手で掻いてもらうという仕打ちを受ける。実は客には蓮の犬士達もいたのだが、会って間もなく目隠しもされていた彼女たちの正体には気がつかなかった。

 それを助けたのは姫を捜していた「刀」の犬士だった。それにより正体に気付いた「蓮」の犬士達も協力し、女郎蜘蛛は打ち倒される。なお、姫と犬士が捕らえられたことは「ミス」であっても「正義にもとる行為」ではないので減点の対象ではないということだ。

 また、九州では13人衆に名前が挙がっている「エドウィン・サール」と「ヴルタヴァ」がそれぞれ知り合いという犬士二人が接触を試みたが、どちらもうまくいっていない。彼らはみな男だが、深い関係でもあったらしい。

 京の大江山では「鬼姫」と関係があった者達が事実を確かめに向かっていたが、彼らの話は一緒に育ったとか遊んだとかの一方で「喰われそうになった」というのもあってかみ合わない。どうもいろいろと変化があったようだ。そして接触した鬼姫は「拝み屋に見つかっちゃうとみんなを守れない」といい「天狗党のみんなを応援に行かなくちゃ」といいながら姿を消した。天狗党は水戸の過激な攘夷集団である。

 月末の御所では両陣営の報告会が行われる。最も重要なのは競争ではなく世直しであるため、情報はすべて交換される。また、ここで「真言立川流」の使い手で「拝み屋」の元締めという密教僧姿の「萩丸」と巫女装束の「菊姫」も彼らのサポートであると知らされた。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

 わかってない二人の一瞬の隙をつき、女郎蜘妹が手から糸を投げた!
「蜘蛛妖術、人間クモの巣がかり!」
 二人は大きな蜘昧の巣にとらわれてしまった。
「きゃあっ助け……」
 口をネバネバの糸でふさがれてしまう。
 そしてお座敷が始まる……つまり、一般人の客が上がってきてしまった!
 ところがこれが天の助け。
 客に蓮の『義』の犬士・志郎と蓮の『孝』の犬士・久遠がいるではないか! 金持ちの旦那風の男と一緒である。
 「んんー! (助けて!)」
 女郎蜘妹は「女妖怪のカン」で、御津那たちと久遠たちが知り合いであることを見抜いた。そして少女たちに目隠しして、顔がよくわからないようにしてしまった。

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

 一方、旦那は赤ら顔をほころばせて、若者二人に孫の手を握らせた。
「ささ。今日はあんさんらと飲めて楽しかった。ここの余興はあんさんたちで楽しみなはれ」
「えーと、じゃあ、こんちわ〜」
 志郎は孫の手を片手に、しばらくは小雪の汗をぬぐってやったりした。
「大丈夫、半玉さん?」
「んんっ……(もうダメ……)」

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

 んーっ。恥ずかしさと痒みがまぎれた気持ちよさに、小雪は何がなんだかわからない。
「反対もかゆいですか? どこか気持ち悪いところないですか?」
 ぽりぽり。ぽりぽり。痒いところに手が届く志郎である。

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

 「妖怪・女郎蜘蛛! 次代のミカド・御津那姫とわが同胞・小雪に対する狼籍、許すまじ! 刀の『忠』の犬士・綾が成敗してくれる!」
 久遠があーっと手を打った。
「こいつが女郎蜘妹。そしてあんたたちは刀の姫と犬士かぁ」
「馬鹿はお前は!」
 綾は久遠を罵倒してすぐ、女郎蜘殊に襲いかかる。
「くっ。貴様の姫と仲間とやらがどうなってもいいのか!」
 しかし、そこは『蓮』の犬士も立派な犬士。久遠と志郎は一瞬で酔いを覚まし、二人の少女を救出した。久遠は刀を抜くと、きりりと生真面目な表情になるようだ。

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

 「まあよい。久遠、志郎もご苦労であった。姫と相手犬士の顔に気づかなかったのは、目隠しもあるし知り合って間もないし、仕方なかろう。減点の対象にはならぬ。妖怪との戦いで姫たちを守ったことには加点しておこう」

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

 まだ横にいた志郎が言った。
「あの。綾さんはお酒に弱いみたいですよ」
「え。何でわかるの」
「わたし鼻がいいんです。前世が犬だったせいかなぁ。あの人がお酒の匂いの中にちょっと足を踏み入れただけで、顔が赤くなったんです。見ました」
「ん〜良いこと聞いた。志郎くん。キミ、なかなか見所があるよ」


 そうか〜。吉岡マスターは仮名入力派だったのか〜、って、これは誤字からの類推。あとはタグミスもあったりして。

 志郎は女郎蜘蛛の所にいた客の方。無邪気に遊んでましたね。あまりわかってないのかも。

2001,11,27
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第2回「水と火」
担当:吉岡邦恵マスター

 12月の御所の一角では、剣士と姫が再び全国に散って世直しを行おうと準備をしていた。「刀」の姫は「蓮」の者達も含めてお弁当を作ったりもしている。どちらの姫も水戸に向かい、徳川斉彬や天狗党に味方する鬼姫に関わろうとしている。

 その鬼姫の住処である大江山では、山に住む動物たちに鬼姫の説得を頼みに来た犬士がいた。だが、動物の話では鬼姫は「国」を守るのはともかく「人」を守る気持ちが薄れているようだ。動物たちは「拝み屋」を恐れている。

 「拝み屋」の元締めである真言立川流の正当後継者・菊姫は、鬼姫の引き取った身よりのない子供の内から「拝み屋」志望の人材を紹介してもらっていた。菊姫は拝み屋の元締めとして才能のある物には魔術も教え、そうでない者はあまり阿漕なまねをしないよう見張っているという。その辺りを聞かせた犬士に、代わりにと聞いた犬士達の情報の中で、一人の犬士は菊姫の元・婚約者だということがわかった。なんでも誘惑術を学ばなくてはならない菊姫の立場があって破談になったという。実際に菊姫が見せた誘惑術は犬士にも多大な効果があった。

 菊姫の参謀である萩丸には、犬士の一人が拝み屋を恐れている鬼姫に近寄らないよう要望していた。萩丸自身は「鬼姫に何か出来るほどの力はない」といい、あるとすれば過去に強力な者がいたか、菊姫が何かしたかということを語る。

 また、伏見の宿「寺田屋」では、新婚旅行中の坂本竜馬とその妻おりょうを襲うと思われる「心王」に対処するべく、竜馬夫妻と犬士二人が入れ代わって待ち構えていた。現れた心王はそこにいたのが二人の男であったことに混乱して暴れるが(いや、それまでも暴れていたが)、仲間が傷ついたのに激怒した犬士により打ち負かされ、捕らえられる。

 その後、容姿や怪力のコンプレックスから暴れていた心王は、ある犬士の一喝によりそのものの子分となった。また、桂小五郎や西郷隆盛を交えた薩長同盟も成立し、この件は一件落着となる。

 水戸の斉彬は、かつての臣下だったという者に自分が化け猫に乗っ取られているのを自覚していると明かした。ただ、正気でいられる時間が短くなっているという。その犬士は同行してきた姫や犬士の力で化け猫を退治するのを申し出た。だが、乱心している斉彬=化け猫は攘夷派であり、うっかり開国派の岩倉具視の紹介状を見せていた一行は風呂場に誘導されていた。そして化け猫は斉彬を乗っ取り、猫を操って一行を拷問する。

 一方、天狗党の方は、犬士の扇動で「異人の第一目標」として浦和のペリーを襲撃することにしてしまった。元・遊女である姫がかつての客でもあるペリーと接触して黒船に乗り込むまでに持ち込んだが、姫を慕う犬士が我慢出来ずに騒動を起こしたために天狗党の襲撃計画が早められることになる。そしてその混乱の中で犬士は天狗党首領の武田耕運斎に説得を試みるも、結局その手で討ち取ることになる。

 化け猫の方は救援に駆けつけた犬士達の手によって退治された。取り込まれていた斉彬も戻り、邪気が抜けて小さな白猫になってしまった化け猫(名前はまだない)も心を入れ替えると約束し、御所に連れられていった。御所では心王が面倒を見ている。

 そして報告会では各人が情報を交換していた。反省もありつつ和やかに過ぎていったのだが、やがて「孝明帝が長州征伐を命じた」という知らせが入る。これは傀儡師の左近の操る人形であるが、左近を手引きしているのは井伊直弼であろう。本物の孝明帝が病床にあるのを明かすわけに行かない現在、裏から手を回して長州征伐を成功させない必要もある。丙寅丸で奇襲をかけようという高杉晋作を援護するのが得策だろう。

 また、将軍家茂に嫁いだ孝明帝の妹の和宮の予言では、家茂は来月に天命で死亡するという。後継者である徳川慶喜は、賭博紳士デルビーに藩が傾くほどの借金があって首が回らない問題がある。また、吸血鬼ヴァルタヴァも薩摩で暗躍を始めたと西郷隆盛から親書が届いているという。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

『蓮の義』の犬士、犬井志郎は山の奥深くわけいった。
(鬼姫の気配が無い。もう水戸に旅立った頃なのか。ならば、その方が都合いい)
 志郎は両手をあげて大きな声をあげた。
「わうわうがおー!」
 山犬が、小鳥が、ウサギさんが志郎のまわりに集まってくる!……記憶が無いとか何かと不思議な男・志郎だが、獣と話せるとはなお不思議だ。
「わうわう(おやおや。この人間はオレらの言葉を話すよ)」
「ぴいぴい(こんにちわ。何か用? )」
 ウサギは鼻をヒクヒクさせているだけだ。
「わうわうがおー(大江山の鬼姫はこの国を守るつもりで、乱暴者の仲間になっているんです。あなたたちなら説得できませんか? )」

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

 動物達がぴたっと会話をやめた。志郎はふりかえった。
「あの人は真言立川流の菊姫?」
 拝み屋だ! 拝み屋だ!
 動物たちはクモの子を散らすように逃げてしまった。
 菊姫は鬼姫を探しているようだ。
「キキ、キキ、キク姫だヨー」
「もしもし。鬼姫さまはしばらく大江山を離れていると思いますよ」

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

「キク姫は立川流再興のタメ、オトコノコを惑わす術を究めるまでは、オトコノコとホントに仲良くしたらダメなの。迷いが出るカラ……それデ、破談になっちゃっタ……」
「わあ……そんなご苦労が……。菊姫さまが誘惑術を使うなんて想像できないですね」
 菊姫は可愛く清潔な感じの娘だ。魔性の女とは程遠い。そんな彼女が志郎の前でくるくるっと指を回すと……
「ぱ……ぱおおぉぉぉーん!」
 志郎は獣語モードで大興奮。目の前の菊姫に、妖しい魅力を感じた!
 日をこらせば菊姫の着物の内側の、異人っぽく引き締まった肢体が見えるような……ぱおーんぱおーん……
 菊姫が指を反対向きにくるくるっとまわすと、志郎は水でもかぶったように興奮が冷めるのを感じた。
「おお、すごい術だ!」
「アリガト。キミはキク姫の話開いてくれたカラ、術で心を縛ったりしナイよ。バイバイ……久遠にヨロシクね……」


 今更ながらだけど、敵が13人ってのは多いよなぁ。ラストを盛り上げようと思ったら序盤は数人ずつ倒していかないと追いつかないし。

2001,12,24
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第3回「光と闇」
担当:吉岡邦恵マスター

 京都御所では「蓮の姫」が天気の変化を言い当てたチュダイ達に驚いていたが、流れを読んだだけだというし、乱世の混乱した流れは彼らの水を使った先見でも読みきれないと言う。そして多少の脱線を交えつつも、犬士達は今月の世直しに出発していった。

 慶喜が借金をしている「賭博紳士」デルビーの元に向かった犬士の一人は、自分も借金をしていた。そして犬士となった自分が井伊の率いる13人衆にとって価値がある者と、自分の身で自身と慶喜の借金を帳消しにと願った。

 偽ミカドによって討伐令が出された長州で、迎え撃とうという高杉晋作は真の「ミカドの戦士」である犬士達に真実を告げられ、彼らの協力を受け入れていた。また、幕府軍側にも「ミカドの使いで見届けに来た巫女」に扮した犬士が訪れ、激励しつつも内情を流す手筈となっていた。そして「蓮の姫」に惚れて「改心」していたペリーの黒船も仲間として長州の応援に向かう。

 そして伊勢では「偽ミカド」の正体を暴き、黒幕の人形師佐近をなんとかしようという犬士達がいた。「国を守るため」と説得された鬼姫もそれに協力することになる。佐近も油断した所を倒され、補助のない人形をニセモノと暴き、退治するのは難しいことではなかった。そして孝明帝に「変身」して騒ぎをおさめた犬士が長州征伐の中止を宣言した。

 長州では征伐中止がまだ届かずに戦闘が始まっていたが、黒船の参戦もあり幕府軍の船は撤退していった。それをねぎらう八曜丸は、こっそりと高杉の余命が長くないのを告げる。もっともこれは確定といえるほどの「流れ」ではないし、本人に明かすかどうかも自由という。

 デルビーの所では、賭を持ちかけて負け、魔力で逆らえない状態にされた犬士が増えていた。その過程で知ったのは、デルビーが読心能力の使い手であり、魔術の結界も関係なく読んでしまうというものだった。彼女らと慶喜を解放するべく「どちらの演奏が名器ストラディバリによるか」を持ちかけたものに、直接忠告することが出来ない犬士は身振り手振りで必死で対抗策を伝授する。そして酒を飲まされた犬士により混乱した思考で行われた演奏はデルビーに判別出来ず、立会人も不協和音に倒れて解決出来なかった。「賭の結果がわからない」という状況に混乱したデルビーは昏倒して魔力も消え、デルビーは国外へ逃亡した。

 九州で活動している吸血鬼ヴルタヴァが狙っているという有力者は西郷隆盛から聞き出した。そして対峙したヴルタヴァと犬士達は決闘を始めるが、実は知り合いだった「刀の姫」に説得され、御所へと同行することになる。

 御所で聞いたヴルタヴァの話から、13人衆の頭・井伊直弼の狙いは平安時代に世を騒がせた妖女「道香(どうきょう)」の復活にあるという。あふれ出る闇の力は井伊に力を与えつつあり、ヴルタヴァはやがて来るであろう闇に対抗出来る手段として「吸血鬼化」を誘っていたのだという。

 また、鬼姫によると「拝み屋」は鬼の隠れ里から鬼の子を奪い、拝み屋候補の人間の子供を要求しているという。鬼の隠れ里を見つけだすほどの力は「道香にわけてもらった」と言っているという。犬士達の前に現れる菊姫や萩丸は直接鬼の子の誘拐に関わっていないようだが、どこまで事情を把握しているのかはわからない。そして今は京に姿を現さず、おそらく江戸に向かっていると思われる。

 そして状況の説明が行われた。13人衆の多くを無力化したことで江戸城の結界が弱まり、井伊への直接の攻撃も不可能ではなくなっている。

 また、薩摩と土佐の同盟の仲介を行う坂本竜馬を「人斬り以蔵」が狙っているという。現在の状況では同盟は締結が確実であり、竜馬を見捨てても減点対象では無いという。

 幕府に対してはエドウィン・サールが大金の貸し付けを行っている。オランダ豪商の力をバックにどんどんと幕府に対する影響を強めていくエドウィンの意図はわからないが、借金を抱えた幕府は日本の将来のためにならないだろう。

 岩倉具視には夢魔ル・フェが取り憑いているらしく、岩倉はかなりの衰弱を見せている。ミカドもうなされていると言うが、これは純粋に現状への心痛でありそれ故に簡単に解決することもできない。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

 京都・大江山。
 鬼族の女王・鬼姫に会うために、志郎は山深くわけいっている。
 伊勢の件、なんとか鬼姫に助力を願えないだろうか……

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

「これが私のお願いです。鬼姫さまは自然を自由に操ると聞きます。鬼族の女王でもあります。ならば、神の使いの生き物に配下はいませんか。白い獣とか、そういうものです。その者に頼んで、伊勢で偽ミカドを攻撃して欲しいのです。公衆の面前で!
 神の使いの怒りを見て、人々も偽ミカドを疑いましょう。
 これは聖地・伊勢を守る戦いでもあります。鬼姫さまや聖なる獣の御心にもかなう戦いではないでしょうか?」
 風は止まないが声も聞こえない。

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

 ……ややあって、頭上の木から一羽のカラスが舞い降りた。
「三木足のカラス……これは神の使い八咫烏……鬼姫さま、ありがとう!」
 降りたのはカラスだけではない。
 鬼姫も、ついで志郎の前におりたった。
 (疲れた顔をしている)
「志郎と言うのね。鬼姫も伊勢に行くよ。……みんなの前には出られないんだけど……」


 実はパロディネタが混じっていたりするのですが、要約では出来るだけその辺が出ないようにまとめました。実際のリアを読むともう少し軽い感じに見えるかも。しかしやはり今回も複数の事件が解決してしまいましたねぇ。一発アイデア勝負も悪くないけど、流れの中で解決策を探るというのも好きなんですけどね。

 あと、要約文の中にタグミスあったけど修正してます。フリガナ指定と本文が混じってるのはさすがにねぇ。

2002,02,02
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第4回「昇る陽と沈む陽」
担当:吉岡邦恵マスター

 京都御所では改心した13人衆が何人も居候していて、犬士の一部や八曜丸などは苦言を呈している。チュダイ達は姫の言葉ならと容認しているが。また、女性犬士の一人について怪しい噂も流れているようだ。

 今月の世直しでは、一部の犬士と姫は岩倉具視に取り憑いた夢魔ル・フェを退治するべく御所に残っていた。結界を張られたことで姿を現したル・フェは犬士の一人と因縁があり、更に別の者は取り憑かれて人質となる。そして救援に現れた犬士の一人は「自分に化けてふしだらな真似をしている」というが、ル・フェは「アタシはアンタ」だという。

 坂本竜馬を「人斬り以蔵」が狙っているということで会談の場所に赴く者もあった。以蔵を知るという犬士達の話からすると、やはり今は何かに取り憑かれているようである。趣味嗜好においても犬士達が上回るのを見せつけられ、改心した人形使いの佐近に作らせた人形を身代わりに仕立てたこともあり、井伊に操られていた以蔵は捕らえられる。待遇はともかく以蔵も御所で預かることになったが、竜馬の予想ではここで事件を起こしたのは戦力を分散させるためではなかったかということだった。

 御所ではル・フェが自分を犬士の一人が修行で押さえつけた欲望から湧いたもので、サキュビ族のエリートなのだという。ル・フェを殺すのはその犬士の心を傷つけるということで、犬士の一人はゲームでの勝負を提案した。その相手となったのは「蓮の姫」で、やはり本人は知らないながらル・フェと因縁があったらしい。

 ゲームは姫の優勢に進んだが、ル・フェは岩倉に妨害させてミスをさせ、勝利を宣言。あからさまな不正に一触即発の睨み合いとなるが、更に援軍としてやってきた犬士の一人が好みであったために13人衆としての任務を放棄、「近くにいることで互いに足りない部分を学ぶ」ようにという姫の進言でやはり御所に留まることになった。

 以蔵に関わっていた犬士の一人が御所に帰ると、鬼姫の神獣の八咫烏が待ち受けていた。八咫烏の知らせで現れた鬼姫は、ミカドが昔のことで心痛を受けていて、それを治す方法は身近にあるという神託を伝えた。そして気に入っているらしい犬士に贈り物を渡して去っていった。八咫烏はそのお目付役として残るらしい。

 そのミカドを見舞ったものは、帰りにチュダイから「ミカドにはミコがいるかもしれない」ということを告げられる。ミカドの即位から間もない頃、当時5歳のミカドは夢で「ミコを取られた」と泣くことが何度もあったらしい。そして成長して夫を迎え懐妊したが、その子は産まれることなく消えてしまった。その時は原因不明だったが、今にして思うと何者かが産まれると同時に奪い去ったのではとも思える。その子は産まれた年から考える12歳であるか、夢を見たときの過去に送られた26歳と思われる。そして鬼姫の神託を合わせて考えると、その者か関係者は身近に生きている可能性が高い。

 長崎の出島に住む異国商人エドウィンは幕府に多額の金を貸している。改心したヴルタヴァから情報収集したところでは、彼は好んで井伊に従っているわけではないし、特殊能力もなく財力に目をつけられただけらしい。旧知の人物が犬士となって井伊と戦っているのを知ったエドウィンは彼らに頼って見るつもりになり、人間関係を見守るために京に滞在することになる。

 井伊のいる江戸に向かった犬士達もいるが、内部は瘴気に満ちていて連絡は取れない。空間を越える八曜丸も江戸の関所にまでしか犬士を運ぶことはできなかった。

 また、一橋慶喜から「ミカドに政権を返し、自分が最後の将軍として幕府を廃す」という大政奉還を行うという連絡が入った。ただ、13人衆デイビッド・カッパーフィールドがその妨害をするつもりらしく、警護が必要だ。

 江戸に潜入した犬士達は、探す必要もなく江戸城の天守に立つ井伊を見つけた。その腹中では道香が復活しようとしているのか、蠢くものがあった。井伊はただ時間を稼げばいいのだという。また、力を欲した立川流の萩丸は当主の菊姫を裏切り、井伊についたらしい。対峙する犬士は密かに式神を放ち京へ情報を伝えたが、今後の連絡は不可能となる。

 御所ではついにミカドが意識を失った。二人の姫も自分の資質を疑い、悩みを抱えている。決着の時は近づいていた。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

 虎之介のほかに『蓮の義』犬井志郎と『蓮の忠』犬祇晃尚、そして『蓮の悌』犬原志吹が人斬り以蔵の凶行をはばむ。
 志郎が話を聞いてみると、なんだかみんな以蔵と知りあいらしい。
「おやおや。世間は狭いんですねぇ。それでは、みなさまが知るところの以蔵さまの姿を教えてくれませんか」

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

 志郎がなるほど、とうなずいた。
「話はわかりました。きっと井伊の影響で以蔵さまの心に異変がでているのでしょうね……」
 わうわうぴいぴい。
 おっ。志郎が懇意にしている動物たちがやってきた。

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

 ……志郎は疲れてるから、そんなウンチクはどうでもいい。押入れから布団を出して寝ようとしたら……
 部屋の真ん中に三本足のカラスがいた。志郎をじっと見上げている。
「あっ。あなた様は、先月伊勢でお世話になった神獣・八咫烏さまでは……」
 八咫烏はカァ、と一声鳴いて
 「鬼姫さまーっ! 犬士の志郎が帰ってきましたよ!!」

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

 鬼姫は真顔になって言った。
「志郎にはちょっと借りができちゃったわ。だから、ちよっと骨を折ってあげたよ。神様の住む森に行って来たの。それで、大事な話が聞けたから、教えるね……」

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

「あの……鬼姫さま、他に何か……」
「う、うん……大した用、じゃ、ないけど……」
 鬼姫は懐から何か出してきた。
 赤い小箱だ。
「これあげる」
 志郎は礼を言い、箱をあけてみた。
 黒いゲンコツセンベイみたいなものが入ってる。八咫烏がつまらなそうに言った。
「西洋の習慣『ばれんたいん』の贈り物よ。ありがたーく受け取るように」

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

 ……志郎は付録を閉じ、八咫烏に質問してみた。
「これはつまり、わたしは攻略されているんですか」
「ええ。それも『攻略大作戦』でね」

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

「鬼姫さまのご命令だからねぇ。ここの八曜丸といっしょで、神獣はたいへんなのよ。中間管理職は。あたしのことは『ヤッタちゃん』でいいわよ」
 ヤッタちゃんは部屋のすみの鳥かごに、自分で飛んで入った。
 志郎はため息をついた。チョコはガチガチでおいしくなかった。胃が荒れる感じがする。

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

 ……チョコはともかく、鬼姫の伝えてくれた
『孝明帝には古傷があり、それが今の彼女を弱らせている』
『孝明帝を癒すもの、犬士たちの身近にある』
 ……という情報は、孝明帝を気遣う者には重大なものだ。


 実は遅刻しているんですが、登場シーンはなかなか多め。以前にお世話になったマスターでもあるし、わたしがアクション以外の行動させても平気なプレイヤーだとわかってることもあるのかな?

2002,02,23
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第5回「無垢と成熟」
担当:吉岡邦恵マスター

 今月の京都御所には、井伊の待つ江戸に先発した者たちの姿が欠けていた。彼らを追って江戸に向かうものたち、大政奉還の護衛に当たるものたち、そして本来の犬士の役目ではない孝明帝のミコを探すものたちとに分かれての行動が始まることになる。

 孝明帝のミコは、年齢から犬士の一人がそうではないかとも考えられたが、彼は半妖であり、夫が人間である孝明帝のミコである可能性はないと結論がでた。

 大政奉還では一人の犬士の父親である岩倉具視が中心となって実務をおこない、犬士達が警備を補助していた。改心した13人衆のエドウィン・サール、ヴルタヴァ、デルビーも「蛇の道は蛇」とばかりに連れてこられている。そして現れたデイビッドの「いたずら」も予想して対策を練っていたことでやり過ごすが、デイビッドは秘薬「プレマ」を使用した。

 江戸城ではル・フェの分身、というか分離した片方である犬士がル・フェのフリをして潜入を計っていた。潜入で怪しまれることはなかったものの、淫魔が分離した残りの存在である犬士にはル・フェとしての扱いはかなり衝撃的なものであった。そしてル・フェの方が犬士に扮して騒ぎを起こしたのに乗じて、やはり改心していた米国提督ペリーの黒船からの援護砲撃が始まって突入が開始された。

 一方「プレマ」が広がった京都御所は桃色の霧に包まれていた。『ももいろ行動』しかできなくなるというその薬の影響は犬士達にも及んだが、デイビッドを対象として『ももいろ行動』をとる犬士がいたのは予想外であったらしく、デイビッドは陥落して大政奉還は無事行われた。

 孝明帝のミコを探していた面々は、過去の妖異について記憶がないかと鬼姫の所にやってきていた。江戸から引き上げてきたル・フェの魔術で鬼姫の過去の記憶を探った一行は、かなりの力を持つ妖怪が京都御所に向かい、結婚問題に悩む孝明帝の相談を受けているのを目撃した。

 その妖怪がミカドの夫となったのではないかと考えた者達は、やはり半妖の犬士がミコではないかとチュダイたちに確認を迫り、それが正しかったのを確認した。孝明帝と夫…白龍によると、人間の権力争いにミカドの婚姻が使われるのを憂いた白龍が、自分が夫となることを提案。とある老夫婦の記憶を操作して息子がいるとし、自分がその息子となって旅商人出の天才陰陽師であるとの経歴を作り上げ、孝明帝の夫となった。孝明帝もそれを知りつつ周囲に秘密裏に事を進めたのだという。憂いの元の無くなった孝明帝は江戸で戦っているだろう犬士達のために祈りを捧げ始めた。

 犬士達は井伊の前にまで達していた。

 その井伊は拝み屋の「我が子に殺される」という予言に怯えていた男だった。予言を受けて以来、彼の子や正室、側室が『変死』した。その一方で女色に溺れ、生まれた子たちはやはりほとんどが『変死』した。それを生き延びたうちの何人かは犬士となっている。そして桜田門で殺害された井伊は「我が子に殺される」予言が正しいなら滅びるわけがないと黄泉であがき、道香の力を見出して復活することになる。

 井伊との戦いは、捕われていた拝み屋の元締め菊姫を救出し、その力で護られたこともあり井伊の本体を火だるまにすることに成功する。だが、最後の瞬間に井伊はその体内の道香を「蓮」の姫に取り憑かせた。そして井伊と道香、「蓮」と「刀」の姫の力がぶつかり合い、過去に遡って運命を変化させようとする。

 京都の花魁であった蓮の姫は、元々は姉の代りに売られた。実はやはり井伊の子であった刀の姫は、里に戻っているときに切支丹摘発にあって親とはぐれ、現在の養父母に巡り会った。道香は、蓮の姫に逃げる機会を与え、刀の姫を里帰りさせないことを井伊に提案する。それがなされない場合、蓮の姫が売られ、井伊が娘である刀の姫を失うのは避けられない。

 子供であった蓮の姫は全ての事情を知った上で、誇りのために自ら人買いに買われることを選んだ。そして井伊は、道香が人の親子の情をもてあそび、ミカドのミコを隠した存在であるとも知らされてその進言を拒んだ。否定された道香は止めの術で霧散し、彼らが過去に干渉した記憶は消えていく。

 全てが終わり、井伊も成仏した。その一同の前には、過去において彼らを導いた初代ミカド、卑弥呼が現れた。卑弥呼は新帝の星が誕生したのを告げると共に、二人の姫がそれぞれ「成熟」と「無垢」を象徴する存在であり、どちらもミカド候補として恥ずかしくない存在であったと諭した。

 京都御所で発表された最終結果では、蓮の陣営が二十二点、刀の陣営が二十一点という接戦で「蓮の姫」が新たなミカドとなる。そして全ての十三人衆を討ち、あるいは改心させた結果と接戦であったことを加味し、「刀の姫」は女官の最高位『姫』の位につきミコと同格の補佐となる。

 そして拝み屋により、これからの霊気が集う場所であるとされた江戸への遷都が決定し、即位の義は江戸城で行われることになる。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

 志郎は一応、自陣の姫・藤子に了承を取った。
「藤子姫。私はミコ探しに多少の心当たりがあるので、特に孝明帝を心配している犬士たち……銀麗と流音を支えたいと思います。
 決戦と大改奉還と言う大事な場面ですが孝明帝のお命も危うく、後にしてはおけません」
 藤子はうなずいた。
「孝明帝は乱世のミカドの運命に翻弄され、お体を壊されました。
 あのお方の悲運があってこそ、星々は『二人の姫』を選んで鍛えてくれるのでしょう。志郎、しっかり頼みます……」

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

「志郎のお兄ちゃん、ひょっとして鬼姫のお姉ちゃんのところに行くの?」
「はい。鬼姫様は百年ほど生きておられるとか。ミコ隠しの頃のこと何かご存知かもしれません」
「なるほど〜」
 大江山の奥の奥。ヤッタちゃんがやる気のない声をあげた。
「鬼姫さま〜。犬士の志郎がまいりましたよ〜」
 びゅうびゅうびゅう!
 いつもの二割増し位の突風とともに鬼姫が現れた! なんだかやる気マンマンの様子だ!
「わ〜鬼姫のお姉ちゃん、面白い着物着てるねぇ」
 鬼姫は短い巻きスカートに革靴を履いている。白いブラウスの上に紺のベストという格好だ。なんだかこころもち鬼の角が巻いているような気がする。

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

 志郎はミコに関する情報をあらまし語った。
「なるはど。ミコをさらったのは井伊たちってことで九分九厘間違いないね」
「何か当時のことで、霊的な異変など記憶にありませんか」
「う〜ん……鬼姫、あんまり人里に降りないからなぁ……」
 さすが手がかりに乏しいか。どうしよう……。
 と、そこに白い煙があがった。どろろん。
「夢魔ル・フェ登場〜☆」

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

「西洋の淫魔に頭の中をゴチャゴチャされたくないよ!」
 鬼姫はムッとした。
「何よ〜大妖怪だからって気取っちゃって!」
 志郎がまあまあ、と仲裁に入った。
「鬼姫さま、ここはひとつご協力いただけませんか」
 鬼姫はう〜んと悩んだ様子……。
 突然、ヤッタちゃんが志郎に体当たりをくらわせた!
「おおっと」
 志郎の懐から小さな包みが転げ落ちた。
「志郎、これは……」
 あ。志郎はもう一つの用件を思い出した。
「あの。先月のお返しです。西洋には『ほわいとでー』なる習慣があるようですね。つまらないものですが……」

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

 最近の夢世界では『大江山でだきしめて』風の挿絵で、志郎と鬼姫の学園ラブストーリーが展開されていた。志郎はバンドをやってる不良という設定だった。キャラが違う。


 得点に関係ないミコ捜し。実は最終決戦が最終回まで引っ張られると読んでました。もっとも出番を作るという意味では問題なし。かえってライバル減ってるし。

2002,03,23
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第6回「出会いと別れ」
担当:吉岡邦恵マスター

 ミカドの選抜試験は蓮の陣営が僅差で勝利。井伊直弼を筆頭とする13人衆と、過去の大霊能力者の道香も打ち倒し、あるいは改心させている。そして刀の姫も女官筆頭である『姫』の地位についた。都は江戸へと移されることになり、その準備も進んでいる。

 京都御所での生活も最後となり、最後の夜には丸山で花見ということになった。この機会にと意中の人物に思いを伝えるものもいる。そして人知れず旅立つことを選んだ犬士もいた。

 また、大江山では鬼姫が井伊に従う原因であった『鬼の子』の誘拐事件がまだ未解決であるのにようやく気付き、協力を申し出た犬士と共に江戸に向かうことになる。その過程では多少の誤解も生じているようで、大江山の鬼が総出で江戸に向かうことになった。

 江戸に着いた一行には『改心』した13人衆の多くが同行しており、徳川慶喜や斉彬などは自分達を苦しめたデルビーや化け猫の姿に驚きを隠せない。それでも彼らを改心させた力にかえって感心する面もあった。

 そして今回の一連の事件について説明が行われ、一同は更に驚くことになる。理解の範囲を超えるほどの話もあったが、「とにかくすごい」という認識は出来たようだ。更にミコであった犬士と『姫』の結婚話もまとまり、列席者が振り回されるほどの展開の中でお披露目も終わった。

 試験が終わり、犬士達も身の振り方を決めるときが来た。何人かはこのまま新帝の補佐として仕えることになった。新帝の両親も江戸に住むことが可能だったが、生まれ育った家を守ることを選んだようだ。

 宮仕えを選ばなかった者たちの多くは、ある犬士のはじめる商売をもり立てようとしている。長崎を拠点として江戸にも会社を置き、さらにヴルタヴァにデイビッド、エドウィンもそれに関わることになる。

 井伊に協力した立川流の萩丸は、既に影響力のない存在として菊姫を代表とする拝み屋一同に委ねられることになった。彼を救うよう説得した犬士は別の犬士との人生を送ろうとしたが、相手の犬士の分身であるル・フェのイタズラの対応にそれどころではなくなっている。

 孝明帝(今は元、であるが)をまじえた一行は、彼女の妹である和宮が逗留している箱根へ湯治に来ていた。病み上がりである孝明帝の静養という意味もある。それに同行しなかった新帝は実は去っていった犬士の子を宿しており、別の犬士はそれを知りつつも夫となることになる。

 黄泉では平穏に退屈した卑弥呼が地上の様子を見ていた。坂本竜馬に協力して海援隊を盛立てる犬士には13人衆の心王も従っていた。江戸城では彼らからの土産を受け取る岩倉具視と娘の犬士もいた。また海援隊とも取引をする犬士達の会社は多くの関係者で賑わっている。鬼姫たちは鬼の子も取り戻し、南の島へ旅行に向かっているようだ。里に帰った者達もそれぞれ平和に暮らし、江戸城でもそれぞれの役目を務めている。そして伴侶を見つけたことを報告に戻る者達もいた。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

「志郎……来てくれたのね!」
 鬼姫は半ベソかいている。どうも思い込みの激しい子だ。
「はい?……ええ、今日は大事な話があって来ました」
 鬼姫はのけぞりハッと胸をおさえた。ズキューン。
「ど……どうぞ。志郎、なんでも言って……」
「鬼姫様、我ら犬士は井伊を討ちましたが、いまだ鬼の子は見出されておりません。
 そこで江戸の拝み屋に話を聞いてみました」
 「あ、そんな話があったね!」
 鬼姫は自分が依頼した事件を忘れていた。

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

「えっ……志郎も一緒に行ってくれるの……」
「はい。ご縁があったものですから、最後まで責任を持ちお付き合いしますよ」
 志郎としては『受けた依頼は最後までこなしますよ』という意味だったが……
「『最後まで』……『責任もってお付き合い』……」
 鬼姫は手を頬に当て陶然となった。明らかに勘違いしている。ヤッタちゃんが「どうにでもなれ」という風情である。
「ところで鬼姫様、私、すぐに江戸に行かないといけないんですよ。新帝即位の儀まではみんなと一緒に行動しようと思って……後からいらっしゃいますか?」
「ままま、待って! すぐ支度するわ!」
 鬼姫は突風とともに消え……数分後に現れると……

「うふ☆」
 洋装の白いドレスに身を包んでいる。ウエディングドレスなんだが、志郎には意味がわからない。ただ『新帝即位の儀のために正装したのかな』と思い
「実によくお似合いですよ」
 と言った。鬼姫はきゃあっと顔をおおって喜んでいる。

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

「しかし鬼姫様、鬼の子取り戻すのにずいぶん大所帯ですねぇ……」
 自分が婿入りしてしまったことに、いまだピンとこない志郎である。
 ヤッタちゃんは肩をすくめつつ
「ま、志郎も鬼姫さまが自分を好いてるのは知ってるみたいだし、今後も仲良く旅していれば、なるようになるでしょ……」

〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜

「鬼姫さまー。無事、鬼の子が取り戻せてよかったですね」
「うん! 志郎のおかげよ☆」
「ところで、鬼の子を長老さまたちに託して、我々はどこに行くのでしょう」
「うふ☆私は南の島がいいな……でも、志郎の希望も聞き入れるよ」
「は?」
 ヤッタちゃんが
(鬼姫様が志郎をねぎらって旅行につれてってくれるってよ)
 と耳打ちする。
「そうですか。それはそれは……確かに、南の島とやらはノンビリできそうですね」
「でしょ! でしょ! 向こうに行ったらこれ着ようね!」
「おお、揃いの服ですね……」
『ハワイでペアルックを着る日本人カップル第一号』に認定された二人であった。ポロシャツのエリを立てるのはよそう。


 最終回は後日談。普段の自分の要約ならPCだけに関わることはばっさりと切るんですが、NPCが絡むしPCはかなりが重要人物だしでなかなか大変でした。要約にPCの名前を出さない方針だし。

2002,04,22
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