日本の塔の特徴〜独自の技術発展

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日本の塔の構造の特徴

心柱の存在

 塔はそもそも仏舎利をおさめるストゥーパがその源でした。日本の仏塔では仏舎利は心柱の下に埋め込まれていたり、ストゥーパの形式を残す相輪の中におさめられたり、心柱そのものの中に収められたりしており、いずれにせよ心柱と一体となった部材に収められています。この意味で心柱は塔そのものともいえるでしょう。これは、朝鮮半島の塔にも共通する特徴かも知れません。
 多層塔は耐震性に優れているといわれています。この耐震性にも心柱が大きな役割を果たしています。日本には歴史上500以上の塔があり、火事によってなくなったり建て替えられた塔は数多いのですが、地震によって建て替えられた塔は2塔しかないそうです。兵庫県には江戸期以前の塔が五つあるのですが、1995年の阪神大震災ではほとんど損傷していないそうです。
 この耐震性の良さの原因は模型実験などで調べられています。(参考文献:五重塔はなぜ倒れないか)それを自分なりにまとめると、
  1. 下層と上層が剛につながっていないため上層部の首振りが下層部の振動を抑える。(一種のダイナミックダンパといっていいのでしょう) 
  2. ある層の動きが大きくなった場合に、各層と結合されておらずクリアランスを持っている心柱がその層にぶつかりだして過度の変位を抑制し、各層の変位を平均化する。(変位に対する非線形性?)
ということのようです。塔はガタが非常に大きな構造なので計算モデルで解析するのは大変そうですね。模型実験を用いた理由だと思います。
法隆寺五重塔('99/5/13)

法隆寺五重塔

法隆寺心柱
 

五重塔の心柱           


 

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Last Updated :  12-Jan-2003 by Naoki