日本の塔の特徴〜独自の技術発展2

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日本の塔の構造の特徴


軒の深さ

 雨が多い日本ではどうしても軒を深くしておかないといけません。この軒の深さが、日本の塔を特徴付けているように思えます。造形という面で見ると、外から見て彫りを深くして独特の印象を作り上げていますし、深い軒を支える構造部材の形がそのまま塔の意匠を作り上げています。
 この深い軒を支えるための構造は、時代と共に変遷していきます。
法隆寺軒組写真

法隆寺五重塔の軒組

支え方:力を梁の曲げ荷重でとる

 基本的にはトラスの考え方はとらず、天秤のように支えてゆく考え方です。図の法隆寺の五重塔で見てゆくと、側柱・力肘木などにより、通肘木・雲肘木・尾垂木・出桁などの組み物を下から支え、その上に屋根を直接支える垂木をのせています。オーバーハングしている部分の重さは、組み物や垂木の内側を自分の層のものより内側にオフセットしている上層の四天柱・側柱で押さえ、自分の層の側柱を支点とするテコの形で支えています。塔の塔身が必ず上ほど細くなっているのはこれが理由だといわれています。薬師寺の東塔・西塔も基本的な考え方は同じですが、垂木(地垂木)の上かつ外側に飛檐垂木を追加して軒を外にのばし、軽快な感じを出しています。この構造には通し柱がなく、軒を支えるのに上層の重さがなければ支えられない構造となっています。実際薬師寺の西塔を再建した西岡常一棟梁によれば、このような塔は組みあげるまでの工程途中の段階ではぐらぐらのものだそうです。組み上げる時の困難さが思われます。
法隆寺軒組図

法隆寺五重塔の軒荷重の支え方


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Last Updated :  12-Jan-2003 by Naoki