ヴァ・ジャーマ 旅の記録 その4


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 セローの大将、なんでも聖域騎士団からスクエアベースでの対決って挑戦状が届いたとかいって、張り切って練習してたみたいだな。・・・もっとも張り切ってたのはコーチ役を買って出た奴だって話も聞くが、なんにせよ千本ノックとかやってたみたいだ。あとで聞いたら公舎裏では聖域騎士団のアズパールも特訓してたみたいだが、よくお互いに気づかないもんだぜ。

 試合の方は開始前から随分盛り上がってたぜ。賭札作ったはいいが、教育実習生に声かけちまって没収されてたやつなんかもいたようだがな。それになんでも図書館に調べ物に来てたらしいヴァルキリーの「空姫」とやらが、セロー団「でっち」の女子制服・・・体操服にブルマってカッコさせられてたりもしたが、一体誰にどう丸め込まれたんだか。あと試合前にあったといえば、共に遅れてきたセローの大将とアズパールの旦那が開始前に退場させられちまったってことぐらいか。まったくこの二人はなんのために特訓したんだか。

 しかし試合は予想通り凄まじいものになったな。なにしろ暗黒魔法の「黒炎球」をボール代わりに投げたりする奴がいるんだから・・・。しかもことごとくがバッターをノックアウトしてやがる。まあそいつは投げられたバットと相打ちになって引っ込んだがな。

 ところでセローの大将、気がついたらアズパールの旦那と一緒に「解説者」なんかやってやがった。まああんまり役には立ってなかったようだが・・・。おぃらも試合やってたってのに、のんきなもんだぜ。

 ああ、おぃらも試合には出てたんだ。黒炎球投げてた奴の代わりにピッチャーやってた鉄球参謀、キャサリンの「魔球」、文字通り魔力の塊を投げるってものなんだが、そいつに耐えられるのが、こないだおぃらが拾った「ロケットパンチ」を改造した物しかなかったみたいでな。まあそれでも受けたら充分痛かったけどな。

 試合の方はこれだけ派手な展開というのに両チーム無得点のまま進んじまってた。キャサリンの珠も打たれないかわりに、あっちの球は打ってもマトモに飛ばないと来てやがる。どうなってんのかと思ったら、実は中にフェアリーがいて操ってやがった。そいつがわかったのはファウルになった球が客席のヤツにぶつかったからなんだが・・・。セローの大将、いつのまにやら観客席でチアガールに見とれててよけ損なってやんの。妖精が入って強化されてたせいか、仮面の角も一本折れちまってたし。

 で、結果なんだが、実はおぃらも途中退場しちまった。聞いた話じゃ誰かが空姫を「オバサン」呼ばわりして怒らせたらしくてな。確かにヴァルキリーってのは人間より遥かに長寿、というか、純粋なヴァルキリーは歳もとらねぇらしいが。まあともかく空姫の魔法が炸裂して、全員KOってことになっちまったらしい。

 まあ、そんなこんなで医務室はてんてこ舞いだったみてぇだ。セローの大将の仮面、残ってたもう一本の角も添え木代わりって切り取られちまったみたいだし。なんでもその騒ぎの最中仮面が外れかけた時、そこから光があふれて、それを浴びたドブ川の水がキレイになっちまってたとかいうが・・・。それに大将、角が切られたのが原因で衰弱して、新しい仮面を探しに行くとかいうし。一体何者なんだろうね、あの大将は。

 あとで聞いた話じゃ、挑戦状は聖域騎士団側にも届いてたみたいだ。どうも互いに誰かにハメられたらしいな。なんでも以前セローが「買った」リーナって女が「ゲル・セロー団」の首領におさまったとかいう話も聞くし。ここもなかなか油断できねぇところらしいな。


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