唯一絶対神教 ユダヤ教を嚆矢とする唯一絶対神教世界において神霊性は唯一の神の独占となり、『神』に魂を与えられた人間とその他の生物の間に絶対的差別がもうけられました。人間においても選ばれたものとそうでないものとの差別が生まれました。また魂からは永遠性が剥奪され、肉体とともに滅ぶものとされたのでした。肉体を自然の一部として、動物も物質と同一に見る考え方の誕生でもありました。このように物質的自然から霊性を剥奪した唯一絶対神教の誕生は、現代の唯物信仰へつながるといえるでしょう。 |
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唯一絶対神教的思想と自由意志 | ||
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もともと宗教のはじめは、原始アニミズム、シャーマニズム的多神教でしょう。その神々を否定し、絶対的創造者を立てたのが唯一絶対神信仰です。すべての唯一絶対神教の源は旧約聖書です。唯一絶対神教には転生とか、死後直行の天国や極楽、地獄という考え方はなく、人生は一度きりしかないと考えるのが普通のようです。そのために、魂の不滅を信じる仏教徒などとは違い、自己保存本能によって、子供を大切にします。 個々の宗派によって違いますが、一般的には、最後の審判の後すべての魂は復活し、信仰を貫いたものだけが、永遠の魂を得て天国へ行き、そうでないものは煉獄や地獄へ落とされるといいます。天国にも段階があって、信仰や善行の程度によって賞罰の違いがあるとも考えられているようです。霊魂の思想としては見るべきものがありませんが、一瞥してみましょう。 |
旧約聖書 |
旧約聖書は元来はユダヤ人の神話であり、ユダヤ教の聖典となったものでした。ユダヤ教において、教派によっては最後の審判の後の天国は存在しないというようです。しかし地獄は存在するのですからきわめて懲罰的な教のようです。良い行いをやり遂げた人は永遠の魂を得るもといいます。天国がないのに永遠の魂を得た後何をするのでしょう。苦しみのない永遠の楽園のようにこの地球上に住むということなのでしょうか。永遠の魂の救済を得るとも表現されていますから、おそらく、堕落する前のアダムとイブのような純粋無垢の状態あり続けるのでしょう。 |
ユダヤ教 |
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イスラム教は、最後の預言者ムハンマドを絶対とするとするところに特徴のある信仰で、最後の審判の後の天国というのが酒池肉林のパラダイスだという点も変わっています。 ムハンマド自身は旧約聖書や新約聖書を尊敬していたとコーランにあるというのですから、キリスト教もユダヤ教も受容していたのでしょう。それなのに、権力主義的聖職者によって排他的宗教へとゆがめられたようです。 |
イスラム教 |
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唯一絶対神教にとって、もちろん魂は「神」によって作られるものです。ユダヤ教やイスラム教はそれ以上深く魂のことを考えないようですが、イエス・キリストを神の子と見るキリスト教には様々な考え方があるようです。 キリスト教には多くの宗派があります。カトリックやプロテスタント、正教会などに所属する一般信者は天国を目指す単純な信仰状態でしょう。しかし、キリスト教徒でも懐疑的な人はいます。「生まれるたびにその人の魂が作られる」のか、「両親から遺伝される」のか、「生まれ変わりがあるのか」と問います。その他様々な少数意見があるようです。また魂と精神(理性的な心ということでしょう)を別なものと考える人たちが少なくないようです。 |
キリスト教 |
ただし、唯一絶対神教の世界にあっても、いや、現代のような科学的唯物論の時代でも、民衆の間では、古代的世界観における「天界、地上界、冥界」という感覚は根強く生きているように思われます。 |